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つづれやの仕事

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洗い張り(水洗い)で培ってきた技術の上にあらゆるしみ抜き、洗いを承っております。
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記事一覧

2023年2月:仕事の様子をまとめておきます。

古い綿と新しい綿の油分の検証ご近所で綿花を栽培されている方からいただいた新しい綿と、使い古した座布団で使われていた綿を検証しています。 水をいっぱいに張った容器の上に、古い綿と新しい綿を浮かせる 少量の界面活性剤(中性洗剤)を水に含めると、古い綿だけが沈む様子 製品として加工されることと、経年変化によって綿表面の油分が失われていくことで生じる違いとなりますが、お手入れの方法を工夫すれば、素材の油分をできる限り残していくこともできます。 レーヨン素材の房に付いた折り紙の

2023年1月:仕事の様子をまとめておきます。

前回に続いて、カシミア素材の検証を動画にて実施しています。 カシミア素材の底力!! 醤油編カシミア素材に醤油がこぼれても慌てることはありません! カシミア素材の底力!! アロンアルファ編カシミア素材にアロンアルファが付いても慌てることはありません! カシミア素材の底力!! 牛乳編カシミア素材に牛乳がこぼれても慌てることはありません! しみぬき工房 つづれや 代表:田川 芳弘 住所:〒678-0172 兵庫県赤穂市坂越1754番地 フリーダイヤル:0120-975-35

2022年11月:仕事の様子をまとめておきます。

カシミア素材の水洗い検証何回揉んだら縮むのか? 延々と揉んでみると、縮み始める揉み回数が解ってくる。何度も何度も繰り返してみる。手揉みとワッチャー内での揉み具合の違いをイメージしながら検証する。 元の生地 50cm 揉み回数 70回ほど 49cm 揉み回数 160回ほど 48cm 30~40年間使用された暖簾変色と退色が激しい。何処まで直せるか? 『水洗で移染した』とクリーニング店から相談有り麻、ポリエステル50%混紡のカーディガンに、他の商品からピンク色に移染した

2022年10月:仕事の様子をまとめておきます。

祭りの帽子『絹羽二重』汗の変色補正に挑戦。瀬戸内の太陽の恵みを受けて「雪晒し」技法を施す。 仕事の相棒、亀の子束子新しい亀の子束子(たわし)から使い古して生地に馴染ませた。素材、温度、時間、風合い、商品の使用状況、等などに合わせて使い分けています。 ウール&シルク素材でシミのサンプルを作る。半年後、1年後、2年後、4年後、8年後に状態を確認しながらしみぬきテストを行う。 納品時の包装を検証するおよそ16年前に手入れした訪問着の虫干し依頼。湿度計でポリ袋の中を測ったところ

2022年9月:仕事の様子をまとめておきます。

藍染絞りの浴衣当社では50年前から藍染ゆかたの変色を直してきました。衿や汗の変色を藍を傷めること無くお手入れいたします。 こちらは新反ではあるが長年の汚れが気になっている。絞りを延ばさずに、藍染の色が褪めないように手入れしていきます。 左:絞りに原因不明の変色が見られる 右:絞りの部分だけをシミを抜いた状態 藍染の麻のれん緑の糸印を長年の使用で手垢で変色しておりました。下にした生地は変色を直した状態となります。 藍染は手入れする度、使う度に移ろいゆく色合いを楽しんでく

2022年8月:仕事の様子をまとめておきます。

戸塚刺しゅうのお手入れ戸塚刺繍の仕上げとして手垢などのお手入れ処理を、当社(洗い張り屋)が担当いたしました。 戸塚刺繍(97×100mm)を張木でテンションを掛けながら幅を調整すると、立体感の有る仕上げが出来る。 地蔵盆の幕 黒カビと青カビの除去黒カビと青カビで汚れた幕。 染色を傷めずに直すには方法が無い。塩素系漂白剤を使用すると染めに影響が出るため、最近まではクリーニング業界では絶対に禁止されていた。 酸素系漂白剤ではこれが限界。 過酸化水素35%と過炭酸ソーダを配合

2022年7月:仕事の様子をまとめておきます。

ポリ袋での保管状態(30年後)30年前にばあちゃんの留袖を手入れした。ポリ袋に包装してタンスに保管。30年後に出してみた。直射日光に10分程晒すと 37% だった湿度計が 65% になった。温度が上がると湿度もあがる。(飽和水蒸気量による現象) ウレタン樹脂の文字を『消して』とご依頼いただく。だが…ウレタンを溶かす方法がございません。 シャチハタスタンブと朱肉色泣きテスト噴霧の量を調整しながら紫外線に晒すと違う結果が出ないかな? 志んしと張木着物の洗張りには欠かせない「

2022年2月:仕事の様子をまとめておきます。

『藍の色止め』はできません。(藍染め剣道袴)藍染め剣道袴の『藍の色止め』をご依頼いただきましたが、藍の色止めは出来ません。手入れする度、着用する度に移ろいゆく色合いを楽しんでください。此れが藍染めの文化です。 アイロン掛けの様子です。 アセテート素材の子供袴変色の汚れを抜いてみました。メーカーは『ドライも水洗いも不可』と言っているが、しみぬきは『駄目』と言ってはいない。 対馬つむぎの変色補正兵庫県丹波篠山の「ふた藍」様から、ご依頼いただきました。おそらく150年程前の対

2022年1月:仕事の様子をまとめておきます。

家庭で水洗いをしてしわくちゃになったよだれ掛けを風合い良く仕上げる吉祥文様である鶴と亀の刺繍は素敵です。 赤穂緞通のしみ抜き作業 牡丹唐草に蝶文・縁卍繋文京都にある伝統工芸品を扱う記念館よりご依頼いただいた赤穂緞通のお手入れ 作業中の動画 2020年5月に移染経験のある同じ図案の緞通でした。そんなこともあって、今回は少し緊張しつつ作業を行いました。 日蓮宗の本衣、全体と襟袖回りの変色が酷いので漂白を行う全体の漂白と袖口の内側を改めてしみぬき漂白を試みるが限界か…

2021年6月:仕事の様子をまとめておきます。

麻100% サマーセーターの変色を直す 購入されたのは30年ぐらい前だと聞くが、変色をしてからは何年になるのか、衿に変色が見られ、肩まわりは汗と紫外線で変色している。何処まで直すことが出来るのか? はじめに受け取った印象ではおそらく回復不可能だと想定していた。 お手入れ前 お手入れ後 今回のポイントとしては、過炭酸ソーダ5%に12時間浸漬させることでの変色部に新調感を戻すことだったが、やれるところまでやってみるも、まだ肩や襟元の変色は残っている。 しみぬき工房 つづれ

2021年4月:仕事の様子をまとめておきます。

鍋島緞通のお手入れのご依頼いただきました。当社は赤穂緞通のお手入れのノウハウを生かして、鍋島緞通、堺緞通のお手入れも承っております。一般的なカーペットのお手入れ方法となっているドライクリーニングではなく丁寧に水洗いを行っており、今回は羽毛布団のお手入れで使われる「雪晒し(ゆきざらし)」の技術も応用しております。 先日、ご依頼いただいたお客様からの新たなご依頼です。鍋島緞通は100年余りの年月を大切に扱われてきました。歴史を感じさせられます。 作業中の動画 お手入れ前

2021年1月:仕事の様子をまとめておきます。

鍋島緞通のお手入れのご依頼いただきました。当社は、赤穂緞通のお手入れのノウハウを生かして、鍋島緞通、堺緞通のお手入れも承っております。 こちらの鍋島緞通は100年余りの年月を大切に扱われてきました。歴史を感じさせられます。 お手入れ前 お手入れ後 房は綺麗になりましたが、ムラが気になります。課題が残りました。 水玉の移染(色移り)を直す 上がお手入れ後、下がお手入れ前 水玉で使われている染料が白地に広がっていましたが、水玉の柄を痛めることなく、移染(色移り)を取

2020年11月:仕事の様子をまとめておきます。

西陣織の帯の洗い張り 洗い張り屋が久しぶりに西陣の帯を水洗いしております。正絹の場合は石鹸を十分に使ってやわらかいブラシでお手入れしますが、帯の素材がレーヨン製であったため、亀の子束子でゴシゴシ洗っております。 お手入れ前(ぽつぽつとシミがあります) 帯に付けられていたネームタグ。アブラムシに噛られた傷は仕方がないが汚れを落としてみました。 ウレタン樹脂使用の柄を傷める事なくシミを抜く シミの種類は不明でしたが、前面にウレタン樹脂による加工が施されたトレーナーのシミを抜

2020年9月:仕事の様子をまとめておきます。

ご家庭で水洗いされ移染されたシミを抜く お客様から、ご自宅で洗濯したTシャツの貼り付けられた文字から染料が染み出してしまったと相談を受けた。そのTシャツメーカーにも確認してみるも、『ドライクリーニングも水洗いも不可』と回答をいただいたという言う。 お客様からダメ元でもできるだけやって欲しいというお話となって、一度お預かりすることになり調査をしてみるも、貼り付けられた文字の素材が不明。フィックス剤が不明。泣き止めの方法が不明。アルカリで染料が流れ出し始める結果となった。