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緞通のしみ抜き・お手入れ

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日本三大緞通のしみ抜き・お手入れ承っております。http://dantsu-shiminuki.com/
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2022年1月:仕事の様子をまとめておきます。

家庭で水洗いをしてしわくちゃになったよだれ掛けを風合い良く仕上げる吉祥文様である鶴と亀の刺繍は素敵です。 赤穂緞通のしみ抜き作業 牡丹唐草に蝶文・縁卍繋文京都にある伝統工芸品を扱う記念館よりご依頼いただいた赤穂緞通のお手入れ 作業中の動画 2020年5月に移染経験のある同じ図案の緞通でした。そんなこともあって、今回は少し緊張しつつ作業を行いました。 日蓮宗の本衣、全体と襟袖回りの変色が酷いので漂白を行う全体の漂白と袖口の内側を改めてしみぬき漂白を試みるが限界か…

六畳敷木綿製赤穂緞通のお手入れ

2021年8月、赤穂市立美術工芸館 田淵記念館 にて展示されていた六畳敷。当社の工房裏にて赤穂緞通を織り手の皆さんがお手入れされる機会がありましたのでまとめておきます。 公開展示「新発見!赤穂緞通」 展示日時:令和3年8月11日(水)~令和3年9月27日(月) ・六畳敷木綿製赤穂緞通 8月11日(水)~8月30日(月) ・三畳敷絹製赤穂緞通  9月 1日(水)~9月27日(月) ※六畳敷、三畳敷それぞれ1枚ずつ展示。 一般的な緞通は、鍋島、堺、赤穂ともに一畳敷(およそ 9

2021年4月:仕事の様子をまとめておきます。

鍋島緞通のお手入れのご依頼いただきました。当社は赤穂緞通のお手入れのノウハウを生かして、鍋島緞通、堺緞通のお手入れも承っております。一般的なカーペットのお手入れ方法となっているドライクリーニングではなく丁寧に水洗いを行っており、今回は羽毛布団のお手入れで使われる「雪晒し(ゆきざらし)」の技術も応用しております。 先日、ご依頼いただいたお客様からの新たなご依頼です。鍋島緞通は100年余りの年月を大切に扱われてきました。歴史を感じさせられます。 作業中の動画 お手入れ前

2021年1月:仕事の様子をまとめておきます。

鍋島緞通のお手入れのご依頼いただきました。当社は、赤穂緞通のお手入れのノウハウを生かして、鍋島緞通、堺緞通のお手入れも承っております。 こちらの鍋島緞通は100年余りの年月を大切に扱われてきました。歴史を感じさせられます。 お手入れ前 お手入れ後 房は綺麗になりましたが、ムラが気になります。課題が残りました。 水玉の移染(色移り)を直す 上がお手入れ後、下がお手入れ前 水玉で使われている染料が白地に広がっていましたが、水玉の柄を痛めることなく、移染(色移り)を取

2020年3月:仕事の様子をまとめておきます。

世界中が慌ただしい中、土筆は春の訪れを伝えてくれています。 赤穂緞通のお手入れ 水洗いの時点で染料が泳ぎだし、自然乾燥時には染料や100年分の灰汁がにじみ出す。 乾燥終了時には危険な様子は微塵も伺わせない、これが私たちが持つ技です。 水洗いと変色補正を試みる ひょっとすると30年間一度も水洗いをされていなかったのだろうか...、持ち込まれた時の状態から水洗いと変色補正を試み新調感を戻しております。 お手入れ前 お手入れ後 20年余り使用したキャンバス地のバッグ

2020年2月:仕事の様子をまとめておきます。

鍋島緞通のお手入れ お手入れ前 お手入れ後 着物の胴裏の変色を直します。時間と自然の条件が揃えば綺麗に抜くことが出来ます。 全体が変色した戸塚刺繍 お手入れ後 日蓮正宗様の五条袈裟をお手入れ 口コミのご縁もあって全国の日蓮正宗様の法衣のお手入れに携わっております。今回は、五条袈裟のお手入れ(漂白)を承りました。 LINEにてご相談 こちらはLINEにてお客様から受け取ったシミの写真です。実際のシミの色と写真との違いは有るものの想像は出来ました。お客様からのご相

2020年1月:仕事の様子をまとめておきます。

冒頭の写真は、2020年1月1日午前7時10分、相生市万葉集岬の初日の出です。本年もよろしくお願いいたします。 鍋島緞通のお手入れ お手入れ前 お手入れ後 「一般向けの美しさ」と、御依頼いただきました。 100年余り前に織られたと考えます。型崩れ、移染防止、風合い確保、灰汁の防止、裏地に糊入れ、古美術向けの美しさを目指しました。房を比較してください。全体の汚れもすっきり、藍染めもくっきりしています。 飾りの刺繍 飾りの刺繍が立派です。手入れの方法を考えています。

2019年12月:仕事の様子をまとめておきます。

赤穂緞通と鍋島緞通のお手入れ100年余り前に織られた物と推測されます。藍染めを基調に草木染めの物です。 赤穂緞通:手入れ前 赤穂緞通:手入れ後 藍染めを痛める事なく仕上げられました。型崩れ、色滲みを防ぎながらの作業です。 赤穂緞通:上が手入れ前、下が手入れ後 目指す仕上がりは古美術向けの美しさです。 鍋島緞通:下が手入れ前、上が手入れ後 汗で変色した祭りの帽子素材は絹。「変色を直して」と御依頼いただきました。赤い飾りの染料を痛めず抜くために難儀する。此を直さねば

赤穂緞通の手入れによる予測事例

つづれやでは、赤穂緞通に限らず、堺緞通、鍋島緞通などの絨毯の手入れを行っておりますが、これらの事例は予め予測できるものですが、防ぎきることはできません。また、予測不可能な場合もあります。自然の成り行きと見ていただければ幸いです。段通の強度や染色の退化を少しでも遅らすことが目的です。新品には戻りません。これらをご理解していただければ幸いです。 日本三大緞通のしみ抜き・お手入れについて ・日焼け 日焼け知らず知らずのうちに日光や蛍光灯から出る紫外線のため染色に影響があり変色や

赤穂緞通、鍋島緞通のお手入れ

かつて赤穂市の産業として栄えた赤穂緞通。そのお手入れとなると百年余り前の緞通を手入れすることがざらにあります。 当時は糸の染色にドイツの化学染料を使用されたので色止めをしたくても色止めをする技が有りませんでした。水で手入しなくてはならず、水で手入れすると染料が滲み出し移染してしまいます。百年分の灰汁が浮き出し、型崩れもあり糊抜けなどが絡み手入れすることが不可能でした。 「つづれや」では段通に含まれた水の動きを熟知して、移染、糊ぬけ、灰汁の浮き出し、型崩れを防ぐ技を開発し不

「しみぬき工房 つづれや」 のお仕事まとめ

当社が洗い張り業を始めたのは創業である昭和9年(1934年)からですが、歴史を紐解くと国内では江戸時代には洗い張り(水洗い)が行われていたそうです。 さて、近年、当社にお持ち込みいただく着物の着用状態から判断すると、初めての着用、もしくは1~2回の着用が一般的となってきているのだと推測しております。そのようなケースだと衿袖口洗いなどで対応しており、着物はすべて丸洗いしないといけないってことでは無いと断言いたします。無駄な手入れになって費用もかさみます。当社は着物の立場に立っ