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【動画を文章化】パレスチナ、イスラエルの歴史について

https://www.youtube.com/watch?v=8TtXbIi446I


トータル約120分の動画を観て学んだことの一部を、文章としてシェアしたいと思います。
2023年10月7日から半年の今日、おそらくいつもより多くの報道がされると思います。
でも、10月7日に何があったかやそこから何が起きたかではなく、なぜ、どのような経緯があって、10月7日を迎えたのか。そのことをわたしは数日前まできちんと理解をしていませんでした。

パレスチナのこと、ガザのこと、気にはなっている。大変なことが起きていることはわかる。でも何が何だか、よくわからない、何から知ればいいのか。そういう人の関心がきっと少し高まる今日だからこそ、できることをしたいと思いました。

動画を観る方が理解を進めると思いますが、まず文章の方が触れやすいという人もいると思ったこと、明後日とかではなく今日何かをすることの力がある気がして、動画で伝えられていたことの一部を文章化したもの(一言一句ではありません)を下記に掲載します。

わたしがこの動画を通してパレスチナの歴史的文脈を知って、考えたこと、こういう発信をするにあたって前提としたい考え方は次の記事に投稿します。


動画において伝えられた4つの内容

・現在起きていることはジェノサイドであるということ
・日本のメディアは、イスラエルの主張をそのまま報じ、現在起きていることばかりを報じ歴史的文脈を報じないことで、ジェノサイドに加担しているということ
・イスラエルは入植型植民地国家であるということ、アパルトヘイト国家であるということ
・イスラエルはずっと国際法違反の戦争犯罪をしてきているが、裁かない伝統があるということ


■建国の発端は、ホロコースト後のユダヤ人難民の発生


・イスラエルは1948年に建国された
・1945年にアウシュビッツが解放された。それまでに600万人のユダヤ人が亡くなったが、生き延びた人たちはどうなったか。生き延びたが、故郷(ヨーロッパの各地やアメリカ)に帰ると、クリスチャンがいて入れなかった。ポーランドでは戻った村で集団虐殺が起こったこともあった。親族のいるアメリカに渡りたいと思っても、当時アメリカは新規移民を受け入れていなかった。そのことから、連合軍占領下のドイツや東欧で、25万人のユダヤ人難民が生まれた。

・国際連合は、ヨーロッパのユダヤ人問題をどうするかという課題に直面する。そこで出たのが、パレスチナを分割して、ヨーロッパのユダヤ人国家をつくろうということ。
ヨーロッパのユダヤ人が住むところとしてなんでアラブ人が住んでいるパレスチナに作ろうとなるのか?分割って?という話になる。ここで持ち出されたのが、シオニズムという思想だった。

■「ユダヤ人」が受けてきた差別の歴史。シオニズムとは


・シオニズムとは、19世紀の終わりに提唱された、パレスチナにユダヤ国家をつくろうとする政治的なプロジェクト
・そもそもユダヤ人はヨーロッパにおいて歴史的に差別をされてきたが、そのはじまりは宗教的な観点からだった。神が絶対的だった時代において、クリスチャンではない、イエスが救世主だとみとめないという点から差別された(宗教的な理由での差別)
・しかし近代になり、神が絶対的だった時代から市民社会に移行していくと、信仰については内面の問題になり、問われなくなっていった。ユダヤ人差別は克服され、平等になるように見えた。それぞれの国(たとえばドイツとかフランスとか)に同化して生きていけば、ユダヤ人も権利を奪われずに生きていけるのではないかと。
・でもそうではないのだと、同化したユダヤ系知識人が失望する事件が起きた。それがドレフュス事件(1894)。ドレフュス事件とは、ユダヤ系のドレフュスという軍人が冤罪で終身刑にされた事件。フランスにおいて、国のために命を捧げるという軍人になってまで同化しても、「ユダヤ人である」ということで冤罪をきせられ、終身刑になるということ。それは、差別の理由が信仰の問題から血の問題になっていったということだった。(ユダヤ人という概念が、ユダヤ教を信仰している人ではなく、ユダヤ人の血を引いている人ということになった。ナチスは、たとえユダヤの血を引く人がカトリック教や無神論だとしても、血を理由に、600万人を殺害した)
近代市民社会になろうと、ヨーロッパから反ユダヤ主義はなくならないのなら。真にユダヤ人が人間的に解放されるためには、ユダヤ人のユダヤ人によるユダヤ人のためのユダヤ人国家をつくるしかないと、ヘルツルという人が提唱する。(1896)
・翌年、第1回世界シオニスト会議が開かれ、パレスチナにユダヤ人国家をつくろうという案が採択、決議され、入植活動が始まった。

■だが当時、シオニズムは人気がなかった。

①敬虔なユダヤ教徒にとっては、シオニズムはユダヤ教の否定になると考えたため。
※ユダヤ人が世界に離散してどこの国でもマイノリティとして様々な差別にあうというのは、神がユダヤ人に与えた試練である。その試練を甘受しながらユダヤ教徒として神の教えにそって生きていれば、いつの日か神はメシア(救世主)をつかわして、我々をパレスチナに戻してくれるというのが、少なくとも紀元移行のユダヤ教の教え。神がまだメシヤを遣わしてもいないのに、帝国の軍事力を背景にして人為的にディアスポラ(離散状態)に終止符を打つのは、ユダヤ教の否定になる。ユダヤ人とはユダヤ教の教えを信じて守る人のことなのだから、シオニストはユダヤ人ではないとまで考えた。
②社会主義や共産主義のユダヤ人は、今自分たちが暮らしている国で革命を起こして民族差別のない平等な社会をつくるべきだと考えたため
③アメリカに住むユダヤ人は、ヨーロッパから来た白人として、アメリカ社会の中でエリートとしての特権があったので、祖国アメリカ以外にユダヤ国家を祖国をつくることで、アメリカ国民としての忠誠を疑われたくなかった。特権を失う可能性からマイナスであると考えた

つまりシオニズムを推進したのは、同化ユダヤ人、非宗教的な人たちだった。ユダヤ人国家をつくる場所として、ヘルツルは列強に援助を願う。ベルギー領だったウガンダやイタリア領だったリビアなども検討した。でも、聖地であるパレスチナでないと、世界のユダヤ人の指示は得られない。そう考えて、パレスチナになった。パレスチナは神がユダヤ人に与えた約束の土地であるという宗教的熱情に駆られて計画したのではなく、世界のユダヤ人のシオニズムへの支持を得るために、その聖書の神話的な物語を利用した。

■ヨーロッパのユダヤ人がパレスチナ(アジアのアラブ人が住んでいる土地)に自分達の国をつくるということが意味するもの


・その発想になった背景には、近代西洋社会が、近代市民社会になっても、反ユダヤ主義という歴史的な課題を克服することができなかったことがある
・ヨーロッパのユダヤ人はヨーロッパにおけるレイシズム(=人種主義)の犠牲者である
・が、自分達の人間解放を実現する手段として、帝国の武力を背景にして、アジアのアラブ人が住むパレスチナという土地に武力を背景に自分達の国をつくるということを選んだ。(植民地主義)
・当時の、西欧の、アラブ人やムスリムに対するレイシズムと植民地主義を共有していた

■それでも人気のなかったシオニズムなのに、実現されたのはなぜか?なぜ、イスラエルが建国されたのか?国際社会の課題解決に利用されたからである。

・ホロコースト:ヨーロッパ・キリスト教社会における、歴史的宿痾としての反ユダヤ人差別・反ユダヤ主義の頂点
・ホロコースト後に発生した25万人のユダヤ人難民の行き場がないという課題に直面していた国連総会が、そうだシオニズムという考えがあったじゃないかと利用した
・1896年にシオニズムが生まれても、50年かかっても入植したのは60万人であった。しかもシオニストとしてというより、ホロコーストがありヨーロッパにいられず逃げてきた人たちだった。
・終戦後1946年の時点でユダヤ人の人口はパレスチナ全体の3分の1、ユダヤ人が所有する土地は6%だったが、国際連合がつくった分割案は、ユダヤ人に52%(ユダヤ人が多く住むところ、アラブの人が多く住むところという分け方)。それが成立してしまった
・この分割案が1947年総会にかけられる前に、国連は特別委員会を設けて、分割案について検討させた。
・アドホック委員会の結論は
①国連憲章違反であり、法的に違法
当時パレスチナは第一次世界大戦の結果オスマン帝国が敗れ、オスマン帝国領であった東地中海のアラブの国々をフランスとイギリスが植民地分割した結果、国連による委任統治という名のイギリスの植民地だった
「委任統治とは、その土地の住民が独立できるようになるまで国連が別の国(この場合はイギリス)に統治を委任するというものであって、そこにどこか別のところの人の国をつくるためにこの委任統治というシステムがあるのではない、これは国連憲章違反である。国際法にも違反している可能性があるので、国際裁判所にはかる必要がある。」
②分割すれば「アラブ国家」は経済的に持続不可能になる
③政治的に不正
「今ヨーロッパで起きているユダヤ人の難民問題は関係当事国が速やかに解決しなければならない問題を、ホロコーストになんら関係のないパレスチナ人に代償を払わせるかたちで、パレスチナにヨーロッパ人の国をつくるかたちで解決しようとするのは政治的に端的に言って不正である。採択されても実現不可能である。」

・それでも、特別委員会で可決され、総会にかけられ、ソ連とアメリカの工作により賛成多数で可決されてしまった。誕生したばかりの国連は誕生してすぐにその憲章を裏切ってしまった。

■民族浄化のはじまり


・分割されてユダヤ人国家となった土地でも、アラブ人が40%住んでいて、ユダヤ人が60%だった。
・のちにイスラエル初代首相となる人は「ユダヤ人国家ができても、ユダヤ人が6割では、安定して強力な国家にはならない」と言った→民族浄化の教唆になった

・そして1947年11月の分割案採択から1年以上にわたって、各地で民族浄化(集団虐殺)が起きた
・イスラエルはこのことを自ら報道して、パレスチナに留まるパレスチナ人は危険な目にあうとパレスチナと世界に示した→パレスチナの各地からとにかく人が逃げる。75年前、故郷を追われ、こうしてパレスチナ人は難民となった。(ナクバ=アラビア語で大惨事)
・一度国境を超えた者は、あれから75年経って、孫子の代になっても戻れずにいる。安全になったら戻ってこようと思っていたのに
・イラン・パペ(イスラエル出身でユダヤ系反シオニストの歴史家)
「戦争で難民になったのではない。アラブ人が多数をしめるパレスチナに圧倒的多数をしめるユダヤ人国家をつくろうとすれば、民族浄化は不可避だった。シオニズムというプロジェクトには民族浄化は本質的かつ包括的に含まれていた」

■パレスチナの人々は自国に帰る権利があるとみとめたのに、国際社会はそれを守っていない


・世界人権宣言(1948.12.10)
すべての人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する
・国連総会決議194号(1948年12月10日)
イスラエル建国によって難民となったパレスチナ人は即刻自分達の故郷に帰る権利がある。帰還を希望しない難民に対しては、イスラエルは彼らが故郷に残してきた財産を保証するように。

・パレスチナ人が自分達が住んでいた土地に帰るのは、基本的人権であり国際社会がみとめる民族的な権利である。それでもまだ民族浄化は続き、帰れないでいる。これは語られていない事実である。(ユダヤ人が祖国をもった結果として、パレスチナ人は第二の現代のユダヤ人にされてしまった。)
・イスラエル建国にともなう民族浄化で、75万人のパレスチナ人が、ガザや西岸、レバノン、シリア、ヨルダン、エジプトなどに難民となっていく
・国際社会(西洋諸国は)ヨーロッパ・キリスト教社会における歴史的ユダヤ人差別と近代のユダヤ主義、ホロコーストを、パレスチナ人を犠牲にすることで贖った。
・そして今にいたるまで、イスラエルの行いを是認することでその暴力を75年間継続している
・現在100万人以上のガザ北部にいる人たちがまた民族浄化をされている


本当はここまでにしようと思っていたけれど、発端はハマスのテロ行為じゃないかという声があると思ったので、動画で語られた概要、ものすごく一部だけですが下記です。詳しくは動画を見てください。

■要点
・ハマスはイスラエルで民間人を人質にとったことは認めている。人質にとることも戦争犯罪である
・だが殺害はしていないのではないか?といういくつかの証拠もある
・ハマースはテロ組織と報道されるが、民主的な選挙を経て選ばれた経緯がある(アメリカの力で認められなかった)。民族解放(国際社会もパレスチナの権利を認めているじゃないか)を訴える組織。
・イスラエルはこれまで情報工作をしてきた

■イスラエル国営放送で流れた生存者へのインタビューでイスラエル人が証言したこと
・人道的に扱ってくれた
・人質が亡くなったのは、イスラエル軍による攻撃だった
・この証言はイスラエル側が期待したことと違ったのではないか?その後削除されたが、SNSで一部広まった

■イスラエルのフェイク、これまでの事例
・イスラエルが報じた、ハマースが赤ちゃんを焼き殺したという画像があったが、後にフェイクだったとわかった
・パレスチナで子どもがイスラエル人に殺害された報道などがされるとすぐに、イスラエル側は子どもが爆弾を持っていて投げようとしてきたので正当防衛だったと報道を流してきた
・これまでも、自分たちで行ったことをパレスチナ側が行ったと報道してきた
・それらによって、何が本当かわからないと感じさせてきた

■岡真理先生の主張
・国際社会に自分たちの正当な権利を訴えたくて、これまでのいくつもの平和的な手段で国際社会が動かず、自ら銃を取るしかなかったハマースにとって、不利にしかならないので彼らがしたとは思えない

■わたしの考え
・体感として岡先生の話したことを信じられると思ったが、これだけ情報のフェイクが存在すると、今回のハマースの奇襲に関して絶対にこれが真実だと誰も証明できないというのが難しいと思った。
・でも、全然報道されない多数の事実(パレスチナの人は故郷に帰る権利がある、そもそもイスラエルの建国が違法で不正と判断されていること、ハマースがテロ組織としての成り立ちではないこと)を考慮すると、どっちもどっちという判断やハマスのテロ行為という語りしかしないことは、すごくおかしいと思った

・知的教育のある人ほど、わからないから追及できないと考える方に行ってしまうというの、本当に難しいと思った

▽動画全体では、ガザの現状について、攻撃だけでなく完全封鎖されるとはどういうことかや、ハマスとは何か?なども詳しく説明がありました。


▽学んだあとに報道を見て驚いた

初めの一文から、「襲撃した事件から半年」「双方の報復合戦」…

やっぱり歴史は語られてなかった



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