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守護霊からのお告げ

私は物心ついた時には"すでに"見えていた。みんな見えているものだと思っていたが、そうではなかった。

「誰に話しかけてるの」
幼稚園の時、好きだった男の子に言われた。
「おばぁちゃんだよ」
そう答えた私を見る男の子の顔は、今でも忘れられない。

それからは、人前でおばちゃんと話す事を辞めた。

おばぁちゃんが私の前に現れる時はいつも決まっていた。

4000gで生まれた私は、食欲旺盛だった、らしい。それは今でも変わらないが。

昔から食べ過ぎそうになると周りが、
「もう、ダメ」
と止めていたらしい。しかし納得いかない私は大声で泣いて催促。

そんな時おばちゃんが出てきて、首を横に振り、
「食べたい分だけ、いっぱい食べなさい」
と、言ってるような気がした。だから私にしか見えないおばぁちゃんは、唯一の味方だった。

おばぁちゃんはまるで、私を見守る守護霊だ。

中学生、高校生になる頃には、おばぁちゃんが現れる回数は減っていた。相変わらず現れても、首を横に振るだけ。

しかし私の食欲はさらに増していた。

そんなある日。
用事で実家に帰った時、古い写真アルバムが食卓テーブルに置かれていた。母に聞くと、父が押入れから引っ張り出して見ていたらしい。

アルバムを覗くと、全体写真が多くほとんど白黒写真だった。最後のページをめくると、

「あ、え、えー、おばぁちゃん?」
そう、紛れもない、守護霊のおばぁちゃんだった。
「お母さん、このおばぁちゃん誰?」
「あぁ~、しげばぁちゃんね。お父さんのおばぁちゃんよ。私も数回しか会った事ないけど、食べる事が大好きで100kg超えていたみたいだよ。最後は自分で歩けなくてね。後悔していたみたいだよ」

それを聞いて、私は青ざめた。

今までおばぁちゃんが首を振っていたのは
「食べたい分だけ、いっぱい食べなさい」
ではなく、
「もうこれ以上食べるでない。後戻りできなくなる」
だった。

それから、おばぁちゃんは現れなくなった。

食欲を抑える理性が残ってない私の体重は、後5kgで、3桁だ。

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