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ロボット人間

「言われたことしか出来ないって、ロボット人間だね」
「なんで言われた通りにやらないんだよ」

世の中、言われた通りにやっても皮肉られ、言われた事以外やっても怒られる。

どっちが正しいか、私は証明した。

私は、学生の頃から給料が安定の「公務員」になると決めていた。他と比べて秀でてるものもないし、やりたいことも特にない。親からも「公務員になりなさい」と勧められていた。

「公務員なんてつまんないぜ、自分の意見なんて通らないし、上から言われたことだけをやるだけだよ」
大学時代、高校からの友人だったSから言われた。
「やりたことないし、別にいいかな」
と、答えた。

もう入職して25年になるが、黙々と仕事を続けている。3年に1度ぐらいの割合で途中退職する人がいる。理由は、自分のお店をやるのが夢だった的なやつだ。
「うらやましいなぁ、俺もいつかは自分の店持ちたいなぁ。家のローンがあるから無理だけど」
と周りは毎回同じ反応をする。私は「ふーん。そうなんだ」程度だ。

私は昔から、感情をあまり表に出さないタイプで、ロボット人間のように思われる事が多い。
一応言っておくと、仕事で達成感を感じないわけではない。

では本題に入っていこう。

「公務員なんてつまんないぜ、、、」と言っていた友人Sと駅内で偶然に遭遇した。大学卒業以来だから、25年振りだった。

「久しぶりだな。元気か。相変わらず公務員しているか」
駅内にSの大きい声が響き渡る。
「あぁ。Sは何してるの」
「起業の準備だよ。スタートアップ。web3に未来を感じてな。お前も来るか、、来るわけないか」
私が答える間もなく話を続ける。
「お前ちょっとたるんでるんじゃないか」
私は入職してから体重が15kg増加していた。
「そうかもね」
「カラダ資本だぞ。いくら職が安定でも何もしなければ体は不安定だぞ!俺が通っているジム紹介しようか」

言われてみれば、、、
私の父は退職前に糖尿病を患った。暴飲暴食をするタイプではなかったが、私と同じく運動を一切しなかったのが悪かったらしい。その事を思い出した私は、ジムに行く事にした。

「体重を減らしたいなら、食事は、、、」
私はトレーナーに言われた通りに行動した。

久しぶりジムで忙しそうなSと会った。
「お、おい、誰かと思ったら、凄いじゃないか」

私を見て驚くのは無理はないだろう。
筋肉が付き体重が10kg以上も減ったんだから。

「どんだけ頑張ったんだよ」
「いや、トレーナーに言われた通りやっただけだよ」

話を聞くとSは、トレーナーに言われたメニューでは足りないからと独自メニューで行っていた。自分で作ったメニューだがハード過ぎて休みがちになっていたらしい。

Sは昔から、人と同じ事をやるのが嫌いだったから、メニューが退屈だったんだろうな。

言われた通りにやる事を無心で出来る私は、苦なくできた。一方Sは、何も変わっていなかった。

言われた通りの事しか出来ないロボット人間は、ダイエットに向いていたらしい。

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