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不思議な箱物

国が裕福になり、膨よかな人が量産された。

そんな裕福になった国の大都市に、突如大きな箱物が建てれた。

完成すると人々は「待ってました」と言わんばかりに、吸い込まれるように箱物に入っていった。

ケイコは呟いた。
「みんなバカね。あんな箱物に行くなんて。あんなもん食べるからだよ」

ケイコの食はシンプルで、
お米、味噌汁、焼き魚、漬物
焼き魚は変わるが、朝昼晩だいたい同じ。

悪魔の粉と称された白い粉は、形を変え色を変え、お茶の間にすぐに浸透した。

「う、うまい」
「何個でも食べられる」

悪魔の粉は、油と砂糖の相性が非常に良く、たくさんの商品が作られた。さらに、焼いても揚げても質量がないからか、食べ過ぎる人が続出した。

裕福になった国は、国民の期待に応えるかのように、白い粉をどんどん他国から買った。

それから1年足らずで、膨よかな人が量産された。


白い粉を食べる→膨よかになる→箱物に行く→白い粉を食べる→膨よかになる→箱物へ、、、

そして、50年が経過した。

箱物の中は体を美しくする最新の機械がある。

しかし、
50年前から変わらない事がある。

手続き用紙を記入した時が1番の幸福を感じる事。それは50年経った今でも変わらない。

まだ何も始めてないのにサインすると変わった自分が想像できるらしい。

「3ヶ月で10kg痩せるために入会します」
白い粉中毒になったケイコは、箱物手続き書にサインした。

何とも不思議な箱物である。

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