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(優しい)お父さん

ぼくのパパは、七福神のお腹が出ている人と同じお腹です。

説明すると、お腹がでているという意味です。

「お父さんのお腹にはあかちゃんがいるんだよ」
と言いますが、あまり面白くありません。

お母さんは昔に比べて10kgも太ったらしいです。

なんで大人になるとみんな太ってしまうのだろうか。

そんな僕の疑問がひっくり返る時がきました。
僕の通う小学校で初めて授業参観がありました。授業は、お父さんお母さんと協力して問題を考え発表する授業でした。となりの席のゆきちゃんのお父さんとお母さんもいました。
僕はゆきちゃんのお父さんとお母さんを見て、びっくりしました。まるでテレビに出ている人のようにカッコよく綺麗でした。もちろんお腹はでていません。

大人でも太らない人もいるんだな。
なんだか、羨ましくなりました。

その夜のこと、僕は一緒にお風呂に入っているお父さんに言った。

「お父さんがゆきちゃんのお父さんみたいにカッコ良かったらいいなぁ」
「ハハハー、そうか、ゆきちゃんのお父さんのようにか。確かにカッコよかったな。でもパパも負けてな、、、このお腹だな。よし、わかった、お父さん頑張るぞ」

お父さんの口は笑っていたけど、かなしい目をしていました。

次の日からお父さんの食べるご飯が少なくなっていました。僕は心配だったのでお父さんに言いました。
「お父さん、ご飯いっぱい食べないと元気でないよ」
お父さんはニッコリ笑い
「カッコいいお父さんになる為さ。ユキちゃんのお父さんよりカッコよくなるぞ」

心配しなくても大丈夫でした。

しかし
それが、悲劇の始まりとは知りませんでした。

お父さんが少ないご飯にしてから1週間が経った頃です。

「ばかやろー、何でこんなもん食べるんだよ」
お父さんはお母さんに怒っていました。

お母さんにお父さんが何で怒ってるか聞いてみたところ、お父さんは痩せる為に食べたい物を我慢しているのに、お母さんと僕のご飯はなんで豪華なのが気に食わないみたいです。

豪華と言っても、チキンの唐揚げとコロッケとハンバーグとオムライスです。お父さんもよく食べていた物です。

人は食べたい物を我慢すると、怒るという事を学びました。

そして、怒っているお父さんは、僕はあまり好きではありません。

それから数日して、お父さんはいつものご飯に戻っていました。あれだけ我慢していたのになんで辞めたのか気になったので聞いてみました。

「もう、少ないご飯は辞めたの?」
お父さんはニコリと笑い
「そうだな、腹が減っては戦ができないからな」
「イクサ???」
「ハハハ、一年生ではまだ難しかったな。お腹が空いたらお仕事が出来ないって事だよ、ポンっ」
お父さんのお腹は七福神の2倍になっていました。

やっぱり僕は
カッコいいお父さんより
優しいお父さんが大好きだ。

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