地層

物事への考え方は、人それぞれ違う。

震災だってそうだ。

その点で当時どう思ったか、揺れることがなかったほど震源地から離れた場所に住んでいた友人に話を聞いたことがある。

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友人曰く、その時は全く揺れずとも携帯の回線途絶による通信電波の被害を受けたらしい。

感情としては恐怖よりかは困惑の方が大きく、なぜ何も起こっていないのに電波が止まっているのか疑問に思い、突然の出来事に困惑する中、ニュース報道をみて現実に起こっていることを目の当たりにしたそうだ。

そして同じ国内で起こったことなのにこんなにも被害が違うのか、そしてこんなに離れていても被害が及んでいるのかと思った、と言った。

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この友人の話を聞いた時、いくら離れた場所であろうと被害があったということを知った。

そして1つ、自分の中で眠っていたある突っかかりが消えた瞬間でもあった。

「被災者は言うまでも大変だけど、被災してない私たちも大変、ある意味日本国民みんな被害者だよ。でもみんながしんどい中だからこそ今助け合わないといけないんだ。」

震災直後どこかで聞いた、あまりうまくイメージ出来ずに突っかかっていた言葉だ。東北部近隣ならまだしもさすがに日本全土はないだろうと、そう思っていた。

でも友人の話を聞いて、遠い場所であっても自分の見えていないところで確かに被害があったのだなと気づかされた。

思い返してみれば震災直後は食料の買い占め、特にパンなどの供給不足であったり、ガソリンスタンドに並ぶ車の群衆、広範囲での停電、回線など情報インフラの不具合など、全国各地が混乱し大変な事になっていたことは間違いなかった。

みんな被害者なんて被災された方に失礼なのではないかという考え方もある一方、みんなしんどいからこそ助け合う、そんなマインドの基でのみんな被害者だという考え方も確かにありだなと、そう思えたのだった。






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