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#3 僕がフリーランスになるまで - Flashクリエータ編 -

派遣社員は、本来、即戦力にならなければいけない。
にも関わらず、僕は、スキル不足のまま、ある制作会社に派遣社員のFlashクリエータとして、採用になった。

既に3名のFlashチームがあり、僕は4人目として、加わることになる。
他のメンバーは圧倒的に僕よりスキルの高いFlashクリエータだ。

アルバイトならまだ気が楽だったが、派遣社員として加わる以上、早く即戦力にならなければ・・・というプレッシャーが強かったのを覚えている。
当時、原宿にあったこの制作会社は、30人くらいの規模で、業界ではかなり有名な制作会社だった。
求められるスキルも高い。
配属された当初は、即戦力になれず、先輩クリエータに教えてもらいながらアシスタント業務をこなしていた。
朝礼で社員が「本日は、〇〇案件を進めます」と報告している中、僕だけ「本日は、〇〇を勉強します。」という勉強の報告だった。
派遣社員なのに、時給をもらいながら、勉強させてもらっているだけ・・・、という自分に焦りがあった。

1ヶ月ほど経った後、ディレクターから、ある化粧品のFlashバナーをゼロから実装してほしいと声がかかった。
FlashチームのリーダーからもGOサイトをいただき、これが初めての実践だった。
ようやく戦力になれると気合いを入れて担当し、見事、高評価をもらえた。
それから、まだまだスキルは足りていないが、次々と案件を任せてもらえるようになった。
先輩クリエータのサポートをもらいながら。

それからすぐに、チームリーダーが退職した。
業界ではFlashの案件の需要が増え、人手が足りていない。
そんな中、3人になってしまった。
僕ももう甘えるわけにはいかないと、先輩方からのサポート無しで、案件をこなせるようになってきた。
とにかく忙しかった。
そして、スキルが上がっていくことを感じることができ、とにかく楽しかった。
昨日までできなかったことが、今日できるようになった。
今日できなかったことが、きっと明日にはできるようになる。
やはり、実務でスケジュールに追われながら、必死にやると覚えるスピードも上がる。
とにかく必死だった。

自分が実装したWebサイトが話題になった。
Flashの実装がよかったのではなく、コンテンツの内容がよかった。
そして、このWebサイトが「東京インタラクティブアドアワード」に入賞し、そこに自分の名前が載った。
嬉しかった。

同時に、もっとスキルを上げて、自分の可能性を高めたいと思った。
それからも貪欲に勉強した。

所属している会社自体が有名なため、業界の雑誌に掲載されることが頻繁にあった。
その雑誌の中に掲載されるFlashの技術的な記事に執筆もさせてもらった。
また、公開されたWebサイトの紹介の中にあるクレジットにも何度も名前を載せてもらった。

そして、徐々に、Flashのスキルがどのくらいあれば、この業界で1人でやっていけるかを意識するようになった。
既に半年以上、この制作会社で実務を重ね、いろんな経験をしてきた。
派遣社員は、3ヶ月ごとの更新で、そのタイミングで、自分にジャッチを下す。
まだ、スキルが足りない。

この制作会社に入った当時とはまた違う焦りが出てくる。
業界的には、Flashの需要が多く、Flashクリエータが足りていない。
手を上げれば、仕事はあるんじゃないか。
でも、スキルは本当に足りているんだろうか。

所属して、約12ヶ月経つ頃には、ディレクター・デザイナーから要求してくる実装に対しては、問題なく対応できるスキルまでは上がっていた。
そして、派遣社員の更新のタイミングが近づいていた頃、同じ派遣社員のデザイナーに「知り合いの制作会社がFlash案件の実装者を探しているんだけど、吉本さん、どう?」と、声をかけてくれた。

これで腹が決まった。

2007年の12月で、所属していた制作会社での更新をやめ、同時に、派遣社員をやめた。
そして、2008年1月、Flashクリエータとして、フリーランスになった。

今まで大変お世話になった派遣会社の営業担当に言われた言葉を今でも覚えている。

派遣に登録してくる30代・40代の中で、元フリーランスの方がいる。
彼らは、今あるスキルでしか仕事をしてこなかった。
気づいたら業界でスキルが足りなくなっていた。
そして、仕事がなくなり、フリーランスとしてやっていけなくなった。
フリーランスになって、今あるスキルだけでやっていてはダメ、勉強をしなくなったらダメになる。

Flashクリエータとして、数年活動を続けた後、Web制作の業界からFlashの技術がなくなってしまった。
本当に残念だったが、僕は、勉強を続け、JavaScriptという技術を身に付けていた。
おかげで、Flashクリエータからフロントエンドエンジニアとして、活動していくことができた。

勉強しなくなったら、技術者として、終わりが近く。

フリーランスになるまでに、多くの人に助けてもらった。
そして、フリーランスになった後にもまた、助けてもらった。

フリーランスになって、ひとりになったが、独りではやっていけない。
仕事を通じて、いろんな人たちと出会い、いろんな繋がりができた。
そのおかげで、自分は生活ができる。

出会いに感謝し、目の前の1つ1つの仕事に真剣に取り組む。
そして、常に勉強。

僕は、フリーランスを2年半続け、そして、友人と法人化することになる。

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