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2023/01/24の日記 雪!

「最強寒波」って凄いネーミングだなぁと思う。公式に「最強」という文字が付いている名詞を「最強寒波」くらいしか知らない。あとは最強ジャンプくらいだ。
テレビで偉い人や頭が良さそうな人が最強最強言っている様子はシンプルに面白い。最強!

そんな最強寒波が九州南端にもやってきた。最強寒波が来ます。キダムが来ます。
私はワクワクしていた。地元も今住んでいる場所も南九州な私は、住んでいる地域に雪が降るなんて一年に一回あるかないかのスーパー異常気象だ。排出率約0.00274%のSSRガチャ。クソガチャすぎる。

朝起きて、すぐカーテンを開く。雪は降っていない。ただ寒いだけ。なんなんだ! と思いながらみぞれみたいな雨が降る中をチャリで爆走した。今日に限って1限だった。
どうでもいいけど「みぞれ」って漢字で書くと「霙」らしい。かっこいい。

帰宅して、ご飯を食べて部屋の掃除をしてベッドに潜る。なるべくエアコンをつけたくないのでベッドに潜るのが寒さ対策として一番有用なのだ。そうしたらもう寝るしかなくなってしまうので、ちょっとお昼寝。
社会人になったら昼寝せずに一日過ごさなければならない。今のところ毎日昼寝をしているのだけど私はちゃんと社会人ができるのだろうか。不安すぎる。

起きたらめちゃくちゃ雪が降っていた。ぼやぼやの頭でiPhoneを取り出し写真を撮る。

白い屋根は全て雪です

冬の空気が好きだ。澄んでいるという言葉が似合う。
冬は星空が綺麗に見えるのは、本当に冬の空が澄んでいるかららしい。詳しい中身は分からないけれど、息を吸ってつめたい空気を肺に入れる感覚は冬にしか味わえない。しばらく窓を開けて冬の空気を味わっていた。たまに雪が部屋に入ってくる。良い目覚めだ。

しかしこの写真を撮った5分後にめちゃくちゃ吹雪いてきたので急いで窓を閉めた。あんなに雲無かったのになんでだよ。

するとインターンに応募した企業からメールが届いているのに気付いた。寝ている間に届いたらしい。見ると、「インターン選考のテストの受験は今日まで! 申し込みは今日の16時まで!」という内容だった。現在の時刻は15時35分。

雪の写真撮ってる場合じゃない!

慌てて申し込みだけして、受験までは少し時間があったので少し散歩することにした。寝起きで頭がぼやぼやしていたので、今慌てて受けてもヘマをする未来しか見えない。今自分の家にある服の中で一番あたたかな組み合わせをして家を出た。

久々に雪を見た。前回雪を見たのは去年の3月、東京に遊びに行った時。友達と原宿で遊ぼうという日に何故かこれまた「最強寒波」が来て雪が降ったのだ。私と友達はその日に限って可愛いミニスカートを履いていた。足が凍るかと思った。

画像では全く伝わらないけど、雪が降ってました

雪、懐かし〜と思うのと同時に、傘を持ってくるんだったと思い出した。
あまりにも雪と触れ合わないと、雪は雨に並ぶ気候であり一般的には傘をさすものだということすら忘れてしまう。冬の晴れのオマケ、みたいな感覚だ。晴れでないことは分かっているのに、雪を傘で防ぐという発想になかなか結びつかない。

傘もささず身一つでてくてく道を歩いていると、髪の毛に雪が絡まっているのに気付いた。
あ、これ小説でよく読むやつだ。

私は趣味で小説を書いている。ふとなにか思い立った時、全く知らない私の中の世界に住む住人にそれのロールプレイをしてもらうのは面白い。
大学に入学してから小説を書き始め、なんだかんだで全部まとめたら文庫本5冊くらいになるのでは? というくらいの字数を書いている。

雪が髪に絡まる、というのは情景描写に便利なシチュエーションだ。
例えば、
「AさんがBさんの髪に雪が絡まっているのを見て払おうとするけれど、雪はBさんの手の温度で溶けてしまい払うことはできない」
という描写があった場合。これは、

・Aさんの心になかなか近づけないBさんの心理
・Bさんに心を開こうとしないAさんの様子

この二つを表すことができる情景描写となる。雪は「溶ける」「溶けない」を動詞としていろんなものに例えられるから便利ですね。言葉って面白い。

閑話休題。
凄い、本当に雪って髪に絡まるんやね……と思い、何気なくそれを払ったところで気がついた。これって髪が黒い人特効の描写なのでは?

例えばヨーロッパのゲルマン系の人々はブロンドヘアーが大半だ。中には色素が限りなく薄く、もはや白なんでは? と聞きたくなるような人もいる。
そんな美しいブロンドに雪が絡んでも、パッと見て気づけるのか?

「あ……雪が」
「え?」
「……いや、なんでもないんだ」

みたいな会話が生まれることなんてないんじゃないか?
ヨーロッパのティーンに大人気な恋愛小説に「髪についた雪を払う」描写ってあるのか?
黒い髪に白い雪が絡んでるからこそ「あ……」になるんじゃないか?

そう思ったらなんだか興味が湧いてきた。
そもそもAさんとBさんが北陸とかのガチの豪雪地帯に住んでいたら「あ……」どころの話じゃない。髪に絡んだ雪を払ってる間に吹雪で吹き飛ばされるかもしれない。雪を払おうとしても新しい雪が飛んでくるからキリが無い。

「あ……雪だ」
「ホントだ」
「初雪だね」

しゃらくせ〜!!
こんな会話もしてる場合じゃない! 多分「クッソー!! 雪だ!! 止まん!!」くらいのテンションが正しい。
じゃあ北陸で雪をきっかけにラブロマンスが始まらないのかと問われればそういうわけでもないと思う。

吹雪の中、暖を求めてスターバックスに入る。新作のラテを飲みながらあったまるねなんて言っていると、Bさんがおもむろに Aさんの髪に手を寄せる。

「あ……雪、まだついてた?」
「うん。だいぶ降ったから」
「そっか」
 二人は窓から吹雪く街を眺める。手のひらの中には暖かいラテが湯気を立てている。
「もうちょっとだけ、ここにいようか」
 Aはカップを口につけた。このあたたかな時間を、少しでもゆっくり味わいたくて。
 カップの中身は、あと半分残っている。この冬限定の贅沢を、少しでも長くBと過ごせたら。

みたいな。
これはこれで胸キュンなんじゃないだろうか。
そう考えると、ゲルマン人にはゲルマン人の冬の胸キュンがあるんじゃなかろうか。太陽の下に出たらいつもに増してAの金髪が輝いていて、ああ雪を纏っているのか、と気付くBとか。ありそう。
雪もアクセサリーのひとつになる、なんか良い。

そんなことを考えながら帰宅して、テストを受けた。
散歩のおかげで脳がシャッキリして良い感じで回答できたけど、最終問題の途中でめちゃくちゃ腹を下してしまい最後はトイレに篭りながら提出しました。

頼むから早く春が来てくれ。

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