士業がめざすべき経営参謀とは(AIにできない「情緒的価値」の提供 の重要性)④

前回に引き続いて公認会計士で税理士の藤田先生の著作の
「経営参謀としての士業戦略 」をご紹介していきます。

そして、気持ちに寄り添いながら経営者の話を深く聴き、
課題の本質を引き出す質問をし、その質問に対する回答を

整理してフィードバックします。このフィードバックが
経営者に大きな気づきをもたらすことも少なくありません。

特に知識やノウハウを提供しなくても、このフィードバックを
するだけで大きな付加価値を発揮することができます。

私もかつて経営コンサルティングは
経営改善の知識やノウハウを伝えることが重要だと思っていました。

ただ、経験を積むにつれ、この関わりの重要性に
気づくようになりました。

人は一方的に押しつけられる提案と、
自分が言ったことを踏まえた提案とでは、

後者のほうが受け入れやすいという心理的な傾向があります。
そのため、経営者が自ら話したことのフィードバックと

合わせて解決策を提案すると、
受け入れられる可能性は大きく上がります。

売り手と買い手の関係において、
売り手が提供する価値には

「機能的価値」と「情緒的価値」の2つがあります。機能的価値とは、
商品・サービスが提供する機能や利便性などをいいます。

税理士であれば税務申告書の作成や税務コンサルティング、
社会保険労務士であれば社会保険の加入手続きや給与計算。

一方、情緒的価値とは、
商品やサービスがもたらすポジティブな感情です。

具体的には、親身に相談に乗ってくれて得られる安心感、
しっかり話を聴いて自分の意図を汲み取り

的確なアドバイスをくれる頼もしさ、
話していると自分もやる気にさせられる熱意や元気、

礼儀やマナーのよさなどから
感じられる好印象といったものです。

士業が提供する機能的価値の中には、
単純な書類作成や入力業務も多く含まれますが、

そういった業務はAIや機械によって自動化されていきます。
一方、情緒的価値は人間が関わることで

はじめて得られる要素が多く、
AIや機械で代替することが難しい部分です。

そのため、情緒的価値は
今後人間が提供する付加価値としてより重視されていくでしょう。

士業は他のサービス業と比べて
情緒的価値の提供がおろそかになりがちです。

だからこそ情緒的価値の提供を
強く意識することで大きな強みにつながります。

そしてこの情緒的価値を発揮することは、
なかなか口に出せない話を打ち明けられる、

重要な意思決定にあたって意見を求められる、
といった深い信頼関係を築くことにつながります。

深い信頼関係を築くことなく
機能的価値だけを提供する関わり方をしていると、

クライアントがより安い料金で同業者から
営業をかけられた場合、

すぐに乗り換えられてしまうおそれがあります。
技術の進歩に伴う業務の効率化、低コスト化によって

低価格競争の激化が見込まれる中で、
現状の料金を維持していくうえでも、

クライアントと深い信頼関係を
築くことは非常に重要です。

以前、私は複数の経営者仲間に
「他に値段が安い会計事務所があったとしても、

今の顧問税理士を変えないとすれば、その理由は何でしょうか?」
と質問をしたことがあります。

「対応が早い」「税務の知識が豊富」
「経営の相談にも乗ってくれる」など、

さまざまな答えが返ってきましたが、
なかでも多かったのが

「立ち上げ時や資金繰りに困った時など、
苦しい時に親身になって相談に乗ってくれた」

「自社の利益が大きく伸びた時に
自分のことのように喜んでくれた」という答えでした。

自分が苦しい時にその苦しみに寄り添ってくれる人、
自分が嬉しい時に一緒になって喜んでくれる人、

そういう士業は、他に少々値段が安い
別の士業が現れても契約を切りにくいものです。

単発の取引での付き合いであっても、
また何かあればそういう人に依頼しようと思いますし、

だれかに紹介したいという気持ちも強くなります。
「相手の気持ちに寄り添う」ということを続けるのは、

難しいものかもしれません。ただ、クライアントが「苦しい」「嬉しい」
といった強い感情を感じている時は、

特にその感情に寄り添うことを
意識していただきたいと思います。

苦しい相手にはできる範囲で相談に乗り、
喜んでいる相手とは一緒になって喜びを分かち合ってください。

と、ここまで藤田先生が情緒的価値の提供
の重要性についてお話しされています。

実際に提供する前にトレーニングが必要だと思います。
より具体的なやり方を検討しながら
私相手にトレーニングができますので
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