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視覚障害者はプログラマーとして生きられるか ~1年働いた感想~

こんにちは、土田淳也(@mocoatuya)です。
網膜色素変性症という目の病気により視覚障碍者となりながらも、プログラマーとして生きていくために考えたこと、実践したことなどを綴る記事です。

2022年4月から自社のWebサービスを開発するエンジニア(プログラマー)として働いています。

1年ほど働いたので、思ったことを書いていきます。

視覚障害の状態

網膜色素変性症という病気のため視野狭窄が進み、現在は障害者手帳2級をいただいています。見え方としては中心部分と最外側の視野が残っているという状態です。最近では中心部分の視野欠損も進み、小さい文字が見えづらくなっていますが、拡大すれば問題なく文字を読むことができます。

他の症状としては以下のものがあります。

  • 夜盲症(暗い部分が人より見えづらい)

  • 軽い羞明(眩しさを感じやすい )

  • コントラストが低い文字などの読みづらさ

仕事・職場について

■ 仕事内容
自社のWebサービスの開発・運用・改修などを行います。

■ 環境
フルリモート勤務のため、PCを使って自宅で業務を行います。大きめのモニタを使う、OSやブラウザの文字サイズを拡大するという対応で基本的には問題なく業務が出来ています。

■ 障害についての周知状況
視覚障害については、自身と関わる方々全員に症状を伝えてあります。

1年働いた感想

■ 小さい文字が見えづらい問題

大きめのモニタを使う、OSやブラウザの文字サイズを拡大するという対応で問題なく対応できることがほとんどですが、稀に問題となることがありました。

画面を共有してもらいながら作業をするとき

Google Meetなどで誰かの画面を共有しながら作業をするという場面が多々ありました。共有されている画面はOSやブラウザの文字サイズを拡大しても見えづらいので以下のお願いをしていました。

  • 画面共有で共有されている資料をいただく

画面共有されている資料がもらえないという事は基本的にはなかったです。自分の画面で資料を見ていると画面共有者が資料のどの部分の説明をしているか見失いやすい気はしますが、現状大きな問題とはなっていないです。

  • コードを書く時のペア作業では、VSCodeのLive Shareをお願いする

業務の多くの時間でコードを書いています。二人一組でペアとなってコードを書いていく作業もあるのですが、その際はVSCodeのLive Shareという機能を使ってペア作業をお願いしています。Live Shareを使用すると見えやすい環境に整えた自分のエディタで作業ができます。

■ 目が疲れる問題

毎日PCでの作業なので目は結構疲れます。
目が疲れないように文字サイズを大きくする、目をしっかりと休めることは必須です。
網膜色素変性症では、目を酷使することで症状が進行するという事はないと思っているのですが確信はないです。
業務内容によるとは思いますが基本的に目が疲れることは避けられないと思うので、これからプログラマ(エンジニア)になることを考える場合は、この事実は認知しておくと良いかもしれません。

■ キーボード操作では業務上使いにくいツールがある問題

症状が進行してマウスでの作業が難しくなることを考え、キーボードで操作できる部分はマウスを使わずに操作するようにしています。業務をする上で主に使うツールではほとんどの場合でキーボード操作はできますが、一部のツールではマウスでの操作が必須であったり、ブラウザの拡大によって表示が崩れるために使用しづらいものもあります。

  • Visual Studio Code

    • コードを書く作業ではVisual Studio Codeを使用しています。コマンドパレット機能(Ctrl +P)を使うとほとんどキーボードのみで作業が出来ます。

  • Slack

    • 多くはキーボードでの操作が可能です。

  • Windows Terminal

    • ほとんどがキーボードでの操作が可能です。SQLクライアントとしてA5:SQL Mk-2を現状使用していますが、若干キーボード操作でやりづらい部分があるので、Windows Terminalでの操作に切り替えようかと思っています。

  • GitHub

    • VSCodeと同じく、コマンドパレット機能があるので多くはキーボード操作を行えると思っています(検証は不十分です)。

    • GitHub Cliを使えばWindows Terminalでのキーボード操作で基本的な機能が使用できます。

  • Notion

    • Markdownが使えるのでドキュメントを残す作業はキーボードで行えます。

    • キーボードショートカットを使用すれば多くの場合は問題なくキーボードで使用ができます。

    • コントラストが原因なのか若干文字の読みづらさを感じることがあります(ダークモードでも同様)。

  • Datadog

    • キーボード操作は基本的には難しいという認識です。今は文字を拡大することで問題なく作業が出来ますが、症状が進行した場合には使用できなくなるのではと思っています。

    • Linux コマンドによる調査方法に詳しくなれば一部代替が出来るとは思いますが、Datadogの一部機能が使えなくなるのは若干痛いと感じています。

  • ジョブカン

    • 勤務開始と終了の際に打刻するのに使用したり、実行稟議などの申請を行うために使用します。

    • 打刻に関してはSlackのショートカットコマンドで行えたりしますが、ほかの作業に関しては未検証です

■ 症状が進行することへの心配事

どのような仕事を選んだ場合でも付きまとう心配事でありプログラマという職業を選択した場合の特有のものではないですが、症状が進行した場合に同じように仕事が出来るのかという事は時々頭をよぎります。しかし、コードを書くという業務に限ると、症状が進行した場合でも業務を滞りなく行うための選択肢が多くあることは確かだと思っています。

まとめ

プログラマは視覚障害があっても働きやすくするための方法が多くあるということが1年働いた感想です。

そして、自分の症状に対して配慮や気遣いをしてくれる環境とチームにとても感謝しています。

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