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視覚障害者はプログラマーとして生きられるか ~エンジニアになれたので就活を振り返る~

こんにちは、土田淳也(@mocoatuya)です。
網膜色素変性症という目の病気により視覚障碍者となりながらも、プログラマーとして生きていくために考えたこと、実践したことなどを綴る記事です。

2020年の11月から就活をはじめ、2021年4月に就活を終えました。
そして、2022年4月から自社のWebサービスを開発するエンジニア(プログラマー)として働いています。

視覚障害がある状態における就活情報はほとんど出回っていないと思うので記録として残します。

👀 視覚障害の状態

網膜色素変性症という病気のため視野狭窄が進み、現在は障害者手帳2級をいただいています。見え方としては中心部分と最外側の視野が残っているという状態です。最近では中心部分の視野欠損も進み、小さい文字が見えづらくなっていますが、拡大すれば問題なく文字を読むことができます。

他の症状としては以下のものがあります。
・夜盲症(暗い部分が人より見えづらい)
・軽い羞明(眩しさを感じやすい )
・コントラストが低い文字などの読みづらさ

🙍 簡単なプロフィール

■ 学生時代
地方私立大(機械工学部)に所属 ➡ 地方国立大の大学院(情報工学専攻)に進学

■ プログラミング経験
プログラミングは大学1回生の時に講義で初めて触れました。
大学3回生の頃から少しずつ個人で簡単な制作物を作るようになり、
大学院1年生の時に半年間開発のインターンに参加をしました。

ここで伝えたいことは、
「早い時期からプログラミングを初めていなくても就職自体はできた」
ということです。

エンジニアとして働いている視覚障害がある方のブログや情報はいくつか存在するのですが、
「中学、高校などの早い時期からプログラミングに触れている」など、自分から見れば超人のような方の情報しか見当たりませんでした。

そのため、プログラミングを始めた時期が比較的遅い自分がエンジニアとして就職できるのかということに不安があったのですが、大学からの経験でも問題なく就活は進められました。

仕事・職場について

■ 仕事内容
自社のWebサービスの開発・運用・改修などを行います。

■ 環境
基本的にフルリモート勤務のため、自宅で仕事を行います。
PCの文字を読むことができれば、問題なく業務を行うことができるため、
視覚障害が進行した場合でも、長く働くことができるのではと予測しています。(*オフィスが縮小したため、今後のコロナの動向に関わらずリモート勤務)

■ 障害についての周知状況
視覚障害については、自身と関わる方々全員に症状を伝えてあります。

就活について

■ 就活時期・結果
2020年11月から2021年4月上旬まで就活をしていました。
就活は自社のWebサービスの開発を主な業務とする募集に対して、10社ほどエントリーをしました。誇れるものではない、かつ恥ずかしいので詳細は載せないですが、視覚障害があることにより就活が進めづらいとは感じませんでした。(インターンでの開発経験が効いたのではないかと予想してます)

■ 就活方法
就活は以下の方法で進めました。

・就活エージェント(キャリアセレクト)
・Offer Boxなどの逆求人サービス
・会社のWebページからの応募

就活エージェントを使う場合は注意が必要です。
エージェントを使用している場合、ほかの経路からの応募や、紹介された企業以外への応募に対して良い顔はされません。人とぶつかることや、話を断ることが苦手な方は避けた方が良いかもしれません。

■ 就活についての所見
〇 視覚障害の公表
進行性の視覚障害の場合、頑張れば障害を隠し通すことが出来る症状・状態の方は多いかと思います。
こういった場合に視覚障害を公表するべきなのかどうかという点について
絶対に公表するべき」だと私は考えます。

理由は以下の点です。
・ 業務に対する配慮をいただける可能性が高く、安心して働ける
・ 後になればなるほど、障害を打ち明けることが難しい
・できない業務が発生した場合に、会社も自分も困る

障害を公表しない主な理由としては「健常者と比べ、内定を得られにくくなる」ことが考えられます。しかし、それを踏まえたうえでも公表はすべきだと思います。

まだ就活の準備ができる段階であれば、
しっかりとスキルや自身のアピールポイントの取得に努めて、内定をもらえる確率を上げることをおすすめします。
(開発インターン経験は、就活に役立つことに加え、視覚障害があっても働けるという自信となるのでお勧めです)

〇 障害の公表タイミング
公表する場合、どのタイミングで公表するとよいのかという話ですが、
最適解は正直分かりません。
私は書類審査の時点では障害について軽く触れる、もしくは触れない場合が多く、一次面接の段階では障害について必ず触れていました。

やって後悔したこと
自身の就活で視覚障害に関連する「やって後悔したこと」は

エントリー書類のアピールポイントに「障害を持ったことで、他者にやさしくなれたといった、病気によって獲得した受動的なアピールポイントを書いたこと」です。

アピールポイントには「自信が能動的に動いた結果により得られたこと」を書くべきだったと後悔してます。

就活の終盤では改善し、「障害を持ったことで、アクセシビリティに興味を持ち、勉強会に積極的に参加した。個人開発のプロダクトはアクセシビリティを考慮して開発するようになった」などをアピールしていました。(これが良いのかは正直分かりません)


伝えたいこと

私の場合、大学浪人の最中に病気が進行していることを知り、自暴自棄になる時期がありました。

同じように、将来に対して、努力しても無駄だと自暴自棄になったり、無気力になっている方に伝えたいことがあります。それは

努力しているときや何かに夢中になっている最中は病気のことを忘れられるので良い

ということです。

それなりに学習を頑張った結果、エンジニアになれたと思っています。今の自暴自棄や無気力状態を抜け出すためにエンジニアを目指してみるというのも一つの選択肢としてありなのではと思います。

まとめ

視覚障害があってもエンジニアになった事例のサンプル数を1追加できました。
これからは、実際に働く中で役立つ情報を発信できたらと考えています。


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