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【読書】ラスト・イニング

長男は
大学生になって
野球を始めた。

初心者寄せ集めのサークルで、
試合のたびに
メンバーを揃えるのに苦労していた。

でもとても楽しそうだった。


わたしは初めて
野球のウェアを買った。

長年疑問に思っていた
野球のウェアの
「膝のところ」の
謎が解けた。

野球をプレイするひとたちは
長ズボンとハイソックスを
どう組み合わせて
あの
すっきりとカッコいい
「膝のところ」を
整えているのだろう…

ずっと不思議に思っていたのだった。
ズボンに仕掛け(?)があるとは
思いもしなかった。

そして
ベルトをするスポーツなんてあるんだ
という
新たな謎にも出会った。


コロナ禍の大学生活は、
サークルどころか
授業さえもままならない中で始まった。

ようやく
サークル活動ができるようになり
運動してもよいような雰囲気になってきても、
野球の試合は
全て
「無観客」だった。

わたしは
一度も
長男がグランドに立つ姿を見なかった。

そうして
無観客の試合を終えて
長男は引退した。

彼は
どんな顔をして
白球を追っていたのだろう。

玄関にはまだ
彼のスパイクが置いたままだ。


あさのあつこ作
『バッテリー』
の続編。
というか、番外編かな。

前作で最後に描かれていた試合の
結果が分かる。
これが蛇足にならないのがすごい。


わたしの見ることのできなかった試合と
そして
野球を楽しんでいた長男の気持ちを
思い浮かべながら
読んだ。

スボーツは、いい。
思い出になってしまった試合も、
想像するしかなかった試合も、
書物の中の試合も、
すべて
いい。

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