書記体系と支配【サピ7章】
サピエンス全史の7章です。
書記と記憶
大規模な集団を形成するには、収穫物の量や住民の数、法体系や税体系を、文書にしておく必要があった。すなわち脳のサイズを決めている脳の記憶装置を、外部化することに、シュメールの人たちは成功した。
シュメール人の使っていたものは、数値と人や動物、品目を表す記号の2種類があったようだ。24時間や円の360度は、6に基づく数値で彼らが使っていたものの名残らしい。
スペインが南米のインカ帝国に侵略する前、その土地では、「キープ」という会計や課税に使う情報記録システムを使っていた。スペインの入植してすぐは、キープの運用の専門知識を教わりながらそのままシステムを使っていたらしいが、キープの知識に情報の非対称性が生じるため、彼らにいいように扱われる危険があった。すぐに彼らはラテン語で情報を保存することに切り替えた。
つまり、あたりまえだが、書記体系や言語を握ることは、支配にとって極めて重要なことだ。大規模な組織を運営することは、言葉をきちんと使うこととほぼ同義なのではないかという気もする。
組織に暗雲が立ち込めるときは、言葉を適当に使い出したり情報の管理がグダグダになりはじめるときかもしれない。現在に敷衍して考えると、「黒塗りの文書」など、色々と思うことがあるだろう。
著者は、本章の最後に現在のコンピュータの2進法の書記体系を挙げて、新しい知能が生まれようとしていることを述べている。「マトリックス」、「ターミネーター」の世界は、書記体系が2進法に覆われた世界であるという解釈だ。
現在のコンピュータでは、0、1で表されているが、量子コンピュータでは、量子重ね合わせという概念も生まれている。
人間の書記体系から離れて、量子コンピュータから派生する独自の書記体系が生じたとき、どうなるだろうか。非常に楽しみだと思う。
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