見出し画像

爆破ボタンの民主化

爆弾やミサイルの発射で、パスワードや鍵がついていて、それを解除してボタン押すと、爆発装置が作動するなんていう、アクション映画なんかで見るアレ。

大量破壊兵器が徐々に高度化する一方で、核兵器とまではいかなくても、自爆ドローンのように、それなりに大きな被害をもたらす可能性のあるロボットを、比較的安価に作れるようになりつつある。

もちろん、わざわざ作らなくても、既存の大量破壊兵器が、悪の手に渡ってしまう可能性だってある。

もっと極端な例をあげるなら、ある日、誰かが実験室でブラックホールを作ってしまい、この宇宙ごと消滅する。なんていう妄想。これは、大量破壊技術の民主化を示す、究極の姿だと思う。

さすがにこれは、規模が大きすぎだが、通り魔、自動車によってもたらされる殺人、銃乱射のように、個人が起こす大量殺人は、度々起きている。

バイトテロ

現在は、個人が発信する投稿が、短時間で拡散され、マスメディアがそれを拾って、報道するなんてことも珍しくない。独り言を、誰もいないところでつぶやくのは問題ないが、ソーシャルにアップしてしまったら、そこはパブリックな空間。パーソナルな空間じゃない。

多くのバイトテロは、無自覚な行動が、拡散して大ごとになっている例が多いのかもしれないが、誰でも手軽にできるという点で、一つの例として上げておく。

セキュリティ弱国

近年でいうと、仮想通貨の盗難被害とか、セブンペイの不正利用など、現状の日本はセキュリティ大国と言える状況にはない。
従来、日本は、島国で、海にかこまれた地理的独立性があり、言語も独自なので、例えば、フィッシングサイトなんかは、ちょっとした日本語の不自然さで、怪しいと見分けられることもある。

とはいえ、現在、様々なサービスが、インターネットを通じて、世界中のスマホや、パソコンで利用できる状態になっている。たまたま、鍵をかけ忘れた自転車のように、脆弱性が放置されていると、たちまち盗まれたり悪用されてしまう。

セキュリティホールはどこにあるか?

比較的どこにでもある脆弱性。それは人間である。
あらゆるものがそうであるように、人間は完全じゃない。
そして、時々うっかりする。
機械であれば、うっかりすることはないが、それも人間が作ったものであり、バグがあったり、環境が変わると、想定通り動かない事もありうる。

テクノロジーの発展はどうだろうか。
多くのテクノロジーは、人々の暮らしを便利にする事もあれば、破壊する事もある。月並みな表現をするなら、使う人次第という事である。

民主化された爆破装置を止めるには

民主化された爆弾の起爆スイッチがあるとする。それはあなたの隣に住む住民の机の上にあるかもしれないし、誰でもアクセスできる、ネット上のサイトかもしれない。

止めるにはどうしたらよいだろう?
1.個人の良心にゆだねる。
これはない。良心にゆだねて世界が回っていれば、警察はいらないって話である。

2.あらゆる場所をしらべて、疑わしきものを精査する。みつけたらボタンを破壊する。
大変な労力が必要だが、ひとたび、そんな危険なボタンが一般に出回ってしまったら、これも必要だろう。

3.人々を監視して、疑わしき人々を精査。必要に応じて行動を制限する。
個人的な感想として、現代社会は、今このフェーズに突入するべきタイミングなんだと思う。(中国だと、これを政府が実施している。)

そもそもは、爆弾を民主化させないというのが、正しい考え方だと思う。
もちろん爆弾を作らなければ良いという話でもあるが、これは、現在のテクノロジーの発展によってもたらされた、破壊力をもつシステムの比喩として考えていただきたい。

爆弾という例えがわかりにくいと思う方は、アメリカにおけるだったり、日本国内でいうなら原発、飛行機、自動車に置き換えて考えていただきたい。

自由と制御

この社会に生まれると、子供は親などから教育を受ける。この社会の規範の中で、行動できるようにするためである。
この社会には、法律がある。人々が共同で生活するにあたり、必要な制御を行うためのものである。
しかし、前述の通り、人間はうっかりすることがあるし、ルールを無視する事もある。

テクノロジーの発達は、個人の力をエンパワーメントする。規範を無視すれば大きな被害をもたらす事が容易となる。

それを抑制するには、個人のプライバシーがいくらか損なわれても、大多数の生存権が著しく脅かされない程度に、人々は制御されるべきだと思う。

今後、人々を制御するのは、政府なのか、企業なのかわからないが、社会の発達が、制御を必要とするのは必然的なものであり、それでも自由を求めるのであるならば、人々は無力化された状態で生存するか、孤独になるしかないのかもしれない。

「孤独とは言い換えれば自由」(by 椎名林檎)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?