これからの新時代をサッカーと共にどう生きるか
こんにちは。
女子ワールドカップ優勝を通してアメリカ代表のラピノーのスピーチや発信が世間に影響を及ぼしています。
ここスペインでも女子サッカーの発展と進化は社会に大きな影響を及ぼそうとしている風潮は感じます。
ヨーロッパでは、サッカーが社会に根付いている度合いは日本よりも上であることはバルセロナに住んでいても十分に感じますが、日本もその流れに置いていかれまいと現役の選手たちがアクションを起こしているのは一つの動きですね。
最近の私は、サッカー指導の現場を一時休止する決断をしたため「サッカーと社会」の関わりを深く考えるようになってきました。
日本国内でも女子ワールドカップ直後に「なでケア」というもの発足し、女子サッカー関連の活動が盛んになってきていますね。
素晴らしいことだと思います。
色々と思考が頭を駆け巡る中、今日は日本の社会の中でのサッカー界の未来について私見を展開しようと思います。
今日のお話はこれからの「働き方」や「生き方」と関連することでもあるので、その時代の真っ只中を生きる若い世代の人にはぜひ読んでいただき、吟味してこれからの生き方のオプションにしてもらえれば幸いです。
働き方改革がサッカー界に与える影響
近年「働き方改革」という言葉をよく耳にしますが、今後日本の生活というか生計の立て方は大きく変化していくことは巷で言われています。
それはグローバル文化が日本に入って来ていることに加えて、テクノロジーの進化、特にAIの力によって雇用形態も変化していくでしょうし、人間の思想そのものが変わって行く時代に私たちは生きています。
今後は、専業から兼業や副業へのシフトチェンジが行われ、プロジェクト単位で関わる仕事の方法がメジャーになってくといくオプションが活性化していくでしょう。
この余波は早かれ遅かれサッカー界にも及ぶことになるので、サッカーやスポーツに関わる仕事をしたいと考えている人は今からの内容はもしすると参考になるかもしれません。
現在サッカーやスポーツの仕事の仕方は、選手・指導者・フロントの人も含めて仕事人は次の2つの層に分かれています。
①専属契約で、その仕事だけで収入を得る :例えば、Jリーグのプロクラブのようなところで専属的に一つの組織に時間を捧げる
②副業、または兼業で何かをしながらサッカーに携わっていく :フリーランスで何か、チームの関係企業で働く、教員など公務員で働く+サッカーの現場に出る(お父さんコーチはここに入ると思います)
という層です。
これまでは①の形でサッカーに関わるのことをサッカーで働く子供達や若者は目指していました。
プロ選手(Jリーガー)になることが最初の登竜門でした。
次第に、Jクラブが育成部門を設置したり、普及活動として子供達向けにサッカースクールを展開する中で「プロコーチ」という役職ができてきました。
それに加えて、Jクラブではありませんがローカルクラブで子供たち(ご家庭)から会費をいただき、それを糧にコーチとして生計を立てていくプロコーチも一部では出てきました。
しかし、これはサッカーに関わる本当に一握りの人しかできない方法です。
それに何よりも、Jクラブはトップチームの観客収入やスポンサーのお陰で資金があるので、上記のプロコーチたちもそれなりの収入を得ることはできましたが、ローカルクラブでの指導者の収入は生活をしていくのにギリギリなくらい、というのが一般的です。
現在は、福島にあるいわきFCのように選手はクラブが用意した労働環境(アンダーアーマーの工場)で働くことができるように、クラブ側が②の環境を整えているような実例もあったりします。
そして、今日、一番伝えたいポイントは
スポーツで働くことに関する世間の見方がこれから変わって行く
ということです。
Jリーグのチームでコーチをしている人を見ると「サッカーで飯を食べているんだ。①のプロコーチはすごいな」となりますよね。
実際、昔も自分もそこを目指していましたし、キャリアの中で清水エスパルスというクラブに所属していて、契約する時は「ついにサッカーコーチで食っていける」とめちゃくちゃ喜んだ記憶があります。
サッカーだけでという「専属」感がなんかいい感じだったんでしょうね。
それにJクラブに所属するという、大きな組織に属するということが誇りを与えてくれました。
しかし、ここ数年の社会の仕組みの変化によってこの見解は大きく異なるものになるでしょう。
なぜか?
それは「プロコーチ=生活の全てをサッカーに掲げているから優れている」というのは量が評価される思考なんですね。
しかも、昔は何かサッカーコーチとして優れているのか?の定義もはっきりしなかった時代です。
さらに「元プロだからコーチとして優れている」がなんとなくで通っていた時代でした。
(これは決して元プロを批判している訳ではなく、私も彼らに対して選手としての経験はリスペクトしていますし実際に選手としても指導者としてもすばらしい実績を残している人もいらっしゃいます。が、選手として優れていた=指導者として優れているとは言えませんよ、という話です)。
しかし、今は情報も世界のものが手に入りますから勉強の仕方によっては、生活の全てをサッカーにかけている人よりも、ネット社会&グローバル社会の真っ只中に生きる若者世代で生活の一部にしかサッカーの時間を充てていない人の方が質の高いサッカー人材になる可能性も十分にあり得る時代になってきているのです。
両足を一つのところに突っ込まない生き方
そしてもう一つ大事なパラダイムシフト。
これからの働き方は、プロジェクト単位で仕事に関わる方法が一般化されていくことです。
数年はとあるプロジェクトに時間をかけて、目標を達成したら次のプロジェクトに移って行く。
そんなフットワークが軽やかな働き方が増えていくので「仕事を選ぶことができる」ようになり、同様に「仕事をする時間を選べる」ことになります。
だから、朝起きて昼過ぎくらいまでは友達と一緒に進めてるアパレルのプロジェクトに参加して、その後にウーバーイーツの宅配をササっとこなしてから自分のランチを済ませて、昼寝したら夕方からサッカーのコーチをする、なんていうライフスタイルも十分に可能だったりします。
で、そんな生活を3、4年したらサッカーとアパレルで培った人脈の掛け合わせでスポーツブランドでも立ち上げて服の販売でもしようかな、なんていう展開から5年くらいはそんなスタイルを追求したりと、人生の歩み方はフェーズによって異なるという生き方は全然アリだと思います。
そこで重要になってくるのは、次のフェーズに進むためにどんなスキルや経験を持っているか?になってきます。
で、最近すごく思うのは「一つのこと」だけを追求していると必ず頭打ちになる時期がくるんですね。
一つの領域のことを極めると、目の前の問題の解決方法がその領域を見渡しても見つからない、ってことってありませんか?
実際、グアルディオラだって他の競技や業種の人からアドバイスをもらったり研究してヒントを得ているし、そういうことなんですよね。
この考え方はキンコン西野さんの「新・魔法のコンパス」を読んで、「そうそう、わかる!」と納得したので深く知りたい方はそちらをご覧ください。他にもいい話が載っているのでオススメですよ。
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希少価値の高い人になろう
あと、もう一つ大事なのは希少価値の高い人になることです。
あとは、前だったら「サッカーがプレーできる→選手で稼ぐ」「サッカーを教えられる→コーチで稼ぐ」というのは希少価値がそこそこ高い時代があったのですが、サッカー人口も増えてだんだんとその競争は激しくなってきています。 **
じゃあ、その中で貴重な人材になろうと思ったら「サッカー×何か」の組み合わせを考えるといいです。
自分の場合は、日本国内でキャリアを積むことに限界を感じたので、スペインに来て「サッカー×スペイン」という掛け合わせが出来上がりました。
それに加えて「書く=発信する」ということを地味に続けていてブログを読んでもらえるようになったので、さらに広がって「サッカー×スペイン×書く(考えを発する)」という掛け合わせが出来上がっていたんですね。
その掛け算+ご縁もあって、日本に帰った時には講演会やセミナーをさせてもらったり、書籍を出させてもらったりと、仕事(自分の価値を他の人に届ける)のチャンスを広げてもらいました。
若い世代の人たち「100万人に1人の人材」という言葉は聞いたことありますか?
収入を増やすためには希少価値の高い人間になる、というのは仕事をする上での原理原則のようなものです。
その基準が100万人に1人という数字です。
この数字を聞くと、自分には難しいかなぁと思いますよね。
そこで藤原和博さんの言葉を借りると、「違う分野で100人に一人の存在になり、それを3つ重ね合わせれば100万人に一人になる」となるんですね。
そこで働き方についての話に戻りますが、これからはプロコーチだけではなく、多様性のある100万人に一人の存在になることだって貴重な人材になれる時代がきます。
見方を変えるだけで、これまでとは違った形で社会で活躍できる大きなチャンスが広がっている時代が来ています。
それによって、好きな時に好きな場所で好きな仕事をしてフットワーク軽い生き方を歩んで行くことができるんですね。
流動性の高まる新時代の社会の中でサッカーと関わりながら生きている方法はこんな生き方だって可能になります。
私の見解では、ここ5年で大きくサッカー界での働き方にもパラダイムシフトが起こるのではないかと思っています。
そういう環境の中で、私たちがどのようなアクションを取っていくのか?
どんな生き方をしていくのか?
今、改めて考えるタイミングなのかもしれません。
とりあえず、僕は100万人に一人と言わず1億人に一人の人材になれるように動いていくつもりです。