【今、思う】世界で活躍できるサッカー選手に必要な3つの要素
スペインで12年指導者として活動してから日本へ移住し2年が経って、世界で(特にヨーロッパで)活躍できる選手の要素がなんとなく見えてきたので、この機会にまとめを綴らせてもらおうと思います。
この気づきは、スペイン在住の時に感覚で感じていたことを日本でサッカーに関わってきたことから可視化したものになります。
前提として「世界で活躍できる選手」の定義はヨーロッパのELやCL、プレミアリーグ、スペイン1部リーグといった欧州でもトップクラスのクラブでレギュラーで出続ける、というものとなります。
今回の内容は、その様なリーグでプレーするできる選手たちが兼ね備えている要素を3つにまとめたものです。 私が考える欧州トップクラスの環境でプレーすることができる選手の3要素は次の通りです。
①コンペティティブである
②監督のオーダーを汲み取ってプレーすることが可能(特にチーム戦術)
③ ②の中でプラスαとして自分の個性を表現できる
これは、私がスペインのサッカー環境で指導してきたことからの気づきです。
実際に私が指導してきた(&見てきた)選手で上記の欧州トップクラスまでたどり着いた選手たちがいますが、この3つを満たしていることに最近気付きました。
と同時に、日本人選手で欧州サッカーにアジャストせずに才能を発揮できなかった選手は、この要素で何らかが足りなかったのだろうと思っています。
後述でも綴ろうと思いますが、スペインで指導してきた経験から感じるのはスペインでは自然とこの3つを兼ね備えた選手が評価されて階段を登り、カテゴリが上がっていく育成環境がありました。
しかし、日本ではその様な環境がないのでこれから綴ることを意識して育成をしていく必要があるのではないかと私は考えています。
①コンペティティブである
この“コンペティティブ“という要素にはいくつかの要素が含まれます。
ハイインテンシティーで野獣のようなヨーロッパ人の圧力に負けず(もしくは逆手に取る)にプレーできるフィジカルとメンタリティを兼ねそなえていることです。
私が見てきた例ですが、日本人は技術的にレベルが高くそこそこスピードがあるので「良い選手」に見えがちですが、ヨーロッパ人からするとその良さを消すことは難しいことではありませんでした。
実際にスペインのチームで日本チームと戦ったり、日本人の短期留学生が苦しんでいる姿を見てきましたが、その中でもうまくいった例を分析すると「この中でプレーできなければ評価されない」というマインドセットに加えて、ハイインテンシティのサッカーでボディコンタクトに慣れたり、ハイスピードの中で攻撃のアクションを遂行する、責任や役割が伴う中で重圧に押し潰されずに、欧州基準にアジャストすることができた選手はチームに溶け込めることができていました。
これを身につけるには、トレーニングのインテンシティ(強度)をあげることに尽きます。日本人の選手がヨーロッパに来てまず感じるのはこの強度の違いです。
②監督のオーダーを汲み取ってプレーすることが可能(特にチーム戦術)
2つ目の要素は、監督の望むプレーを汲み取ってプレーすることの重要性です。欧州のトップクラスのチームにもなると複雑性の高い規律の中でプレーしなければなりません。
守備の戦術も攻撃の戦術も見ているよりかはとても複雑です。それを落とし込みのトレーニングでリハーサルして監督は「この選手は理解できているか」をチェックして選手起用を決定します。
ですので、練習でも試合でも監督やコーチからあーだこーだ言われることは日常茶飯事です。多分、欧州と日本の環境ではここがかなり違うところです。なので、欧州の選手は戦術の理解がとても進んでいるし、監督から勝利に近づくためのプレーモデルを提示されて自分がそれに応えることの重要性を理解しています。
これが育成年代から始まっているのでシーズンごとに監督が変わった時に選手は「この監督はどんなサッカーをしたいのだろうか?」という探りから始まり、練習と試合を重ねながら監督にアジャストしていき、良い選手というのはその飲み込みが早く「彼はサッカーを理解している」「ピッチ上で何をすべきかを理解している」という評価を得るのです。
③ ②の中でプラスαで自分の個性を表現できる
こちらもとても重要で、前述の②は規律のあるプレーができるという面になりますが、みっつめは②の中でどれだけ自分の特徴を出せるか?ということになります。
身体的特徴、メンタル的な特徴、技術的特徴などの個人の特徴をプレーで発揮することです。所謂、「違いを生む」という表現になるのでしょうがその選手にしかできないことを表現するということです。
一見すると②と相反するように見えるのですが実はそうではなく、欧州トップレベルでプレーすることができる選手は②を「プレーするための条件」と捉えています。
監督が言っていることは「身の回りで起こることを整理・理解する情報」と捉えていて、重要なのはその環境下で自らが考える最適なプレーを行おうと考えているのです。
ですから頭が②に完全に持っていかれてしまい、そこに一生懸命になり過ぎると個性が発揮できていないという風に見られてしまうわけです。
これには、メンタル的な自信やチームという社会活動を俯瞰的に理解する感覚も必要とされるので②の環境下に選手を置いてあげることがまずは必要かなとも思っています。
以上、簡単ではありますが【今、思う】世界で活躍できるサッカー選手に必要な3つの要素をまとめてみました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?