思考実験:地方の地方にある在宅専門診療所が、100床程度の病院を運営するときに何を目指すか?

●病院は医療器材よりも、アート・アメニティーにコストをかけるべきではないか。

・救命を目指すわけではないので、CTやMRIなどの維持コストがかかるものは不要ではないか。そもそも救命したければ、患者のためにも一旦搬送して精査加療すべきではないか。どうしても急性期病院に行きたくなければ、日本の場合、地方の開業医でもCT/MRIを持っていたりするので、アウトソースすればいい。

・一時療養・看取りが目的になってくると思うので、アート・アメニティーが重要ではないか。

内装の在り方については、姫野病院の病棟が参考になるのではないか。

https://www.himeno-hp.jp/nyuin/floor/6f/

アートと医療の融合を進めるべきではないか。

これは何も患者のためだけではなく、職員のため、経営のためでもあると思おう。これからの時代、昔の白いコンクリートの病院に働きたいという人は減っていくだろう。むしろ、暖かみのある建物、魅力的な施設ではないか。特に地方では、働いてくれる人に選んでもらう施設はとても重要であろう。

●入院機能だけではなく、外来・老健・通所・訪問部門との連携・融合を進めていくべきではないか

自宅療養と入院のゼロイチではなく、外来・老健・通所などその間をつなぐものがあったほうが魅力的ではないか。それは患者にとってだけではなく職員にとっても。急性期以外を包括的に行いかつ1つの法人で包括的に学ぶことができるのは、職員が集まるのではないか。ライフステージに合わせて働き方も選べると嬉しいのではないか。

できることなら、ここに、保育園・病児保育・学童・障がい者就労施設・カフェ・居住施設なども欲しい。それを実現させたのがアンダンチともいえる。

アンダンチは、仙台都心・仙台駅・高速道路・空港へのアクセスも近く、これは本当にすごいと思う。

●ICTとの融合を進めていくべき:電子カルテ・AI問診・ウエアラブル・Maas、との融合

電子カルテなど記録の電子化は必須としてそれらをどう使って行くか。

AI問診機能との融合も欠かせない。以下が関連記事

ウエアラブルとの連動も望まれる。

Apple watchなどにより常時、バイタルサインをモニタリングし、異状があれば医療チームがまずは電話で連絡。転倒やSOSアラートがあれば電話、必要に応じて訪問。

ウエアラブルで測定されたデータは電子カルテに連動する。

上記の「医療チーム」の実際の移動は、Maasで。

これは絵空事ではなく既に長野の伊那市などで行われている。

構成は、最小限で行くならナース1人だが、できれば、ナース2人や、ナース1人とアシスタント(運転も兼ねる)ではないか。

往診で使うようなエッセンシャルドラッグ・採血セット・迅速検査キッド(TropT?コロナ?)・エコー・AEDなどを積むことで応急処置・診断もできる。


必要に応じて、医者と遠隔でつなげる。

これはつまり遠隔医療の D to P with Nパターン。

https://www.innervision.co.jp/sp/carevision1/question/oshiete_houmon06

定期受診こそMaasで良い。

現在訪問診療で行っている半分以上~9割くらいは、医師の直接訪問の必要性はないと思うので、これでかなり代替できると思う。

実際、この伊那市の実証実験は、安定している人の受診がメインらしい。

伊那市の人のプレゼンを見たが、「医師の仕事が40%減った、ナースの仕事が240%増えた、患者の医療機関での待ち時間が減った」とのこと。

まぁナースの仕事が激増しているのは、全部ナースにやらせているからだろう。安定している定期受診であれば、ナースじゃなくていいことがほとんどである。いわゆる診療アシスタントでもできるだろう。介護の経験がる人なら容易にできるのではないか。そんな感じで考えれば人件費を考えればペイはしそうである。

ただ問題は、診療報酬制度だろう。利用する患者が良くても、現行の診療報酬では、オンライン診療では医療機関の収入が減る。

手間がかかり、固定費も増えるのに、収入が減る。

つまり民間では参入するメリットがない。

ここがすべてのネックではないか。

初期投資も維持も難しいのではないか。


なので更に価値を創出して収入を増やすと考えると、例えば、必要に応じて患者を乗っけて搬送すること。救急車のようなことだ。その意味で医療Maasは、消防庁救急部門を統合できるハズと思うが、これが収益として伸びることはあまり期待できないだろう。できるとすれば、市町村の救急から業務委託を受けることができれば安定収益とできるかもしれない(まぁしかしそれはできないでしょうね)。

さらに収益を考えるなら以下か。


●Maasと医療が融合しての地域包括ケア:より生活にも融合

地方の地方は、コンビニやスーパーなどもなくて日々の生活の買い出しに困っているところもある。であればむしろ、買い出しの物を届けるサービスも融合できる部分はしてもいいのではないか。医療Maasが訪問するときに、あらかじめ注文されている食材をスーパーで拾ってから、患者の家に行く。

場合によっては、ナースが患者対応をしている間に、もう一人のアシスタントが調理をしていてもいいかもしれない。本人だけではできなくて困っている、部屋の掃除や電球の交換をしてあげてもいいかもしれない。冬がは雪かきもしてほしいかもしれない。そういう時はバイトの若い人も載せていったらいいと思う。都市部にいる若い人にとっては地方の生活を知るきっかけにもなるかもしれない。

また、そういう地域は郵便・佐川・新聞などの各種配送も非効率であろう。毎回ではなくとも、そういう配送と融合してもいいのではないか。配送業者からの業務委託もできるか?

医療Maasが運ぶのはモノだけにとどまらない。診療ついでにその人をどこかに送迎してあげてもいいのではないか。たまには外に出たいだろう。こういう地域では、電車やバスは使い物にならないし、タクシーはすごい料金になる。医療Maasが、地方の不採算、公共交通サービスの代替サービスにもなりうるのではないか(それを想定すると、7-8人乗りでは不十分でもう少し大きい車がほしくなるが)。これらの公共移動サービスの代替として、自治体からの業務委託もあり得るか。理想を言えば、この車は自動運転にしたいし、定額やサブスクやなんなら無料サブスクにしたい。

実際に、月5000円のサブスクが行われているとのこと。


このように人や物の配送を、医療Maasを経営する医療法人が、業務委託で受けることで、医業収益以外の収入にもなり得るとは思う(でも厳しいかなぁ)。いわば移動型地域総合商社のようなものか。


●地域Maas実証とりくみ

・あらゆる移動をオンデマンド化するUber、公共交通MaaS「Routematch」買収

”Uberは16日、ジョージ州アトランタを本拠地とするMaaS企業「Routematch」を買収したと発表した。詳細な金額は明かされていない。Uberはつい最近、カリフォルニア州マリン郡のバス会社と提携したのを皮切りに、Uberのアプリから公共交通機関の乗り換えデータを表示した上で、オンデマンド型で乗車チケットを購入できるパートナーシップを発表するなど、公共交通機関サービスをアプリ内に統合するSaaS型の機能に力を入れていた。Routematch買収により同社は、かつてからの目標である「個人の自動車所有を過去のものとし、あらゆるものにアクセスしやすい公共交通機関を提供すること」に前進することになりそうだ。このディールは最近の買収劇に続くもので、Uberは祖業である配車サービスを遥かに超えた拡大を続けているのである。同社は食料品配達を加速させるという野望に向かってCornershopの買収を進めており、また、27億ドルというPostmatesの直近のディールによって、Uberがなんでも運べる日はどんどん近くなってきている。”

 

・トヨタの実証都市「ウーブンシティ

ここは、私の理解では豊田さんの私有地なので、各種規制を無視していろいろできそうで、イノベーティブな取り組みを行うにはとてもいいと思うが、一方で、作られた地域であり、現実地域のリアルが欠けているように思う。なので現実の地方の地方の課題(例:ここには足のない高齢者はいないだろう)を解決することがここでできるのだろうか?という疑問がある。




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