備忘録メモ R6/6/16 日経1面トップ記事の「不健康な飲酒、女性蝕む:50代は倍増 社会進出、仕事も飲み会も」は本当か。橋本 健二氏の「女性の階級」との対比から考える。

●不健康な飲酒、女性蝕む:50代は倍増 社会進出、仕事も飲み会も

これは日曜日の日経1面トップの記事ですが、この記事を見ると、いわゆる「バリキャリ」な女性たちが、50代になりアル中になっていると言いたいように思える。
しかし私が記事を読んだ限りでは、そのような個人レベルの分析は一切なく、いわゆるエコロジカルな分析(というか申し訳ないが分析でもないようにも思えるレベル。「雰囲気」レベル)をベースに、記事を書いているように思える。

疫学を理解している人なら理解できると思うが、エコロジカルでの相関関係(繰り返すが日経の記事を見る限りでは相関すら見ていない「雰囲気」(思い込み?結論ありき?)での記述)は、仮説にはなれども、個人レベルでの因果関係を論じるには程遠い話である。なのでこの時点で、おいおいとは思うわけではあるが、ちょうど関連する本を読んだばかりなのでここでは話は終わらない。

一方で、ちょうど最近読んだ、橋本氏の最新の本「女性の階級」の中では、日本のミクロデータ(SSM)を分析し、その結果をもとに現在の日本の女性の生活や価値観が丁寧に記述されている。

この中では、家庭の様子や所得や政治的な思想だけではなく健康関連行動など様々な問題が論じられている。
その中に、女性の階層ごとのアルコールの問題も取り上げられている。
個人的には、衝撃的なアルコール問題の割合の高さだった。
アルコールの問題が多いのは、日経記事で取り上げあげられているバリキャリ女性ではない。
この問題に多く直面しているのは、バリキャリ女性ではなく、無職や、シングルマザーの女性であることが、数字とともに報告されている。
こちらは個人レベルの分析なので、真実に近いと思われるのはこちらといっていいだろう。
そうなると、日経1面トップで論じている内容は、誤報(事実誤認のイメージ記事?)と言えるレベルの文章なのではないのか?と思ったが、これ大丈夫なのだろうか・・・。
ちなみに橋本氏の本の中で同時に衝撃的だったのは、アルコールだけではない。
無職や、シングルマザーの女性は、アルコール飲み過ぎなだけではなく、喫煙も確か25%あり、明らかに平均女性喫煙率の数倍の高さである。
いうまでもなく、彼らは経済的にも困窮し、メンタル不調も多かった。

メディアが大きく報じるべきはむしろそっちなんじゃないの・・・・


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