これからの「製薬会社」(主にグローバルメガファーマ)はどうなるか?/医師への接待/MR/接待弁当を食べる医者はより薬を処方する

 高給取りで有名なMRの待遇・職場環境が、ここ数年で急速に悪化していましたが、コロナがかなり拍車をかけているようです。

MR(Medical Representative)は、担当の病院やクリニックに足しげく通い、自社製品を使ってもらうために医師や薬剤師に営業をかけるのが仕事だ。武田や第一三共といった国内大手クラスだと2000人以上のMRを抱えており、単体従業員の3分の1以上を占めている。

 しかもMRはかなりの高収入職種だ。大手であれば40歳で年収1000万円超えは当たり前。福利厚生も充実している。しかし、製薬会社にはその営業部門の人員が負担になり始めている。

2019年度のMR数は5万7158人と、2018年度に比べて2700人余り減った(約4.5%減)。ピークだった2013年度からはおよそ1万人、1割以上減っていて、6年連続で減少している。しかも減少スピードは年々上昇。2019年度の減少幅は過去最大となった(MR白書)。

今回、武田がMRを中心とした人員リストラに踏み切ったことに、コロナ禍が影響しているのは間違いないと社内では噂されている。「MRが活動していないのに売り上げが変わらないことに業を煮やしたクリストフ・ウェバー社長自身がリストラを断行したようだ」(同社関係者)という声もある。

コロナ禍によって、医療機関は感染予防のため外部からの訪問者を厳しく規制、各社のMRが医療機関に張り付き、医師の勤務の空き時間に殺到する営業スタイルは根本的に変革を迫られることになった。

 上記(建前)には書いていませんが、言い方悪いですが、MRは医者の接待屋さんでした。これを全面的に否定できるMRや医者はほとんどいないのではないでしょうか。薬の説明はします(建前の仕事)。現実は、説明はかなりさらっと行い、メイン(本音)は、高級弁当の配布、飲み会の付き合いはもちろん、おねーちゃんのお店も。学会や学会雑誌には広告を出すという名目での実質寄付行為、付き合いでの野球やサッカー。製薬会社は、講演会や勉強会を主催します。会場の予約から会場費支払い、受付業務、懇親会の設定、帰りのタクチケ配布、などなど。医者がしゃべるための発表スライドの作成から、統計解析論文作成までやっていました。

ちなみにこのような行為は、エビデンスがあります。

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2528290

  そしてその中であの「ディオバン事件」が起きました(同じ医者として情けない限りです)。

 医者のご機嫌取りは上に書いたような接待だけではなく、実弾攻撃もあります。直接お金をあげる「だけ」というのはさすがに難しいので、座長をやってもらったら、教授なら10万円、講演会(薬のCM)をお願いしたら10万円、原稿書いたら10万円、コンサルティング(?)でいくらなど。他にも上で書いたような明らかに過剰なまでのタクシーチケットや学会などへの旅費の支給。ざっくり言えば、今の50歳以上くらいの医者は、こういう接待を、いわば当たり前のものとしてとらえている(製薬やMRを食い物にする)感じがありますが、どうも私含めてロスジェネ世代後半以下くらいからは、その様な接待に大いなる違和感をいだきながら、距離をとったり、下の尾崎氏のように公然と厳しく非難している医者もいます。お金の流れも最近では見える化されています。


製薬マネーデータベース

https://yenfordocs.jp/

このデータベースで以下のようなランキングも作られている

 

製薬から学会理事にお金が流し込まれることは何を意味するか?それは学会が出すガイドラインにおける薬の使い方に影響を与える可能性が高まる。

ちなみにランキング1位の皮膚科学会の理事長

https://www.dermatol.or.jp/modules/about/index.php?content_id=2

を調べてみると

とでて年間100万円ちょっとの金額である。
正直これはかなり少ない(上記の平均をはるかに下回る)。
つまり、他の理事でかなりもらって平均を引き上げている人がいるということだろう(理事を一人一人調べれば誰かはわかるでしょうけどここではしません)。


ちなみにちょっと前に東大を定年退職された循環器の教授(現在は某有名私大の管理職ポスト)は桁が違います。

本給と同じくらいでしょうね。
もっとも製薬からだけでこれなので、製薬以外からの収入も合わせれば、3-4000万円くらいはいくのでしょうね(もっと?)

 中には(特に他の産業で経営している人)「医者への接待は、まぁ違法じゃないならやらしておけばいいじゃん、他も派手にやっているよ」と、物わかりのいい大人ぶっている人もいます。
 が、この業界はそれでいいよね、とはならないのは、その行為が社会への影響が大きいからです。国内の標準的な治療の目安となるガイドラインの作成にも製薬会社の「営業努力」は大きな影響を与えます


 有名なプチ接待として、「製薬会社が用意したちょっと高額なお弁当を食べながらお薬の説明を聞く」というのがありますが、お弁当を食べれば食べるほど、医者はその薬を処方するという報告がすでに出ています。

Pharmaceutical Industry-Sponsored Meals and Physician Prescribing Patterns for Medicare Beneficiaries. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27322350/

 製薬からすれば医者に弁当を配るのは極めて経営合理的であり、evidence based practiceなわけです。
 一方で社会からすれば、おいおい、となります。ですので、これは単に医者のモラルの問題とするのではなく、法的なルールが必要と私も感じます。が、現状の日本ではそれができていません(既得権益=製薬だけでははなく医者、が頑張ってモラルやら情報開示でとどめている印象)。

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