リスくんのマーケティング物語 #16 お客さんどうしをつなげている?

[前回のあらすじ]

お客さんが「ドングリッキー (どんぐりだけで作ったクッキー) 」を作るのをたいけんできるイベントが人気になり、リスくんはお客さんといっしょに価値を生みだすことのおもしろさを知りました。

クッキー作りたいけんは、やがては大きくひろがっていきます。

第十六回は「お客さんどうしをつなげている?」です。

お客さんどうしをつなげている?

クッキー作りたいけんは、それだけにはとどまりませんでした。

クッキー作りたいけんに来てくれた動物さんたちが、クッキーができあがったあとに、その場でみんなでいっしょに食べる「楽しいおやつの時間」になっていったのです。
お客さんたちのいこいの場になったことが、リスくんやモモンちゃんにはうれしく思えました。

なかには、かたちがくずれているクッキーもありましたが、たいけんをした動物さんたちは自分たちの手で作ったものをおいしく食べています。
お年よりの動物は「お年よりドングリッキー」を、赤ちゃんをつれてきたママやパパは赤ちゃんには「赤ちゃんドングリッキー」、自分たちは「ドングリッキー」を食べます。いろんな動物が、お年よりから赤ちゃんまで、みんなとても楽しげでしあわせそうでした。

いつしか、クッキー作りたいけんのあとや、たいけんがない日でもみんなでドングリッキーを食べるあつまりは「どんぐりクラブ」とよばれるようになりました。

ドングリッキーをみんなでたべる「どんぐりクラブ」

どんぐりクラブは、リスくんが思ってもいなかったはたらきをしました。

ひとつは、どんぐりクラブでのお客さんと話をすることで、お客さんが何をもとめているのかを知ることができました。リスくんが大切にしている「答えはお客さんの中にある」が、どんぐりクラブでもあらわれたのです。

もうひとつは、どんぐりメンバーによく来るお客さんが新しい動物をつれてきてくれたことでした。
どんぐりクラブのことを知ってリスくんのところにはじめてやって来て、クッキーを作ったのをきっかけに商品であるドングリッキーを買ってくれるようになったお客さんもいました。

どんぐりクラブのメンバーは、新しくきた動物さんは大かんげいでした。みんながやさしくしあい、どんぐりのクッキーをいっしょに作ったり、作ったクッキーを交かんして楽しみました。

そこは森の動物たちのしあわせな場所になっています。

* * *

リスくんは、クッキー作りたいけんからどんぐりクラブができたことを伝えるために、シマ先生の家に行きました。

シマ先生のところにやってきたリスくん

リスくんからの話を聞いたシマ先生は、うれしそうに口を開きました。
「クッキー作りたいけんでおわらず、”どんぐりクラブ” というみんなで集まり楽しいおやつの時間になったんだね」
「はい、そうなんです。ネズくんやハリネちゃんは毎回 “どんぐりクラブ” を楽しみにしていると言ってくれます」

「リスくんがつくりあげたのは、お客さんどうしをむすぶ “コミュニティ” なんだ」
「コミュニティ?」
「そう。コミュニティというのは、お客さんたちが集まりたい、いっしょにいたいという時間と場所のことだね。チームやグループと言ってもいいかもしれない。コミュニティはお客さんどうしをつなぐ場所だコミュニティがあることで、お客さんは安心して来ることができ、自分のいばしょが生まれ、うれしかったり楽しめる時間になるものなんだ」
リスくんはコミュニティという言葉をはじめて知り、ノートにしっかりと書きとめました。

シマ先生に学ぶリスくん

「まだあるね」と少しあいだをおいて、シマ先生は続けました。
「どんぐりクラブでリスくんがお客さんたちと話をすることで、お客さんが何をもとめているのかを知ることができた。これはまさに “答えはお客さんの中にある” ということだね。リスくんは商売へのヒントがどんぐりクラブからたくさん手に入ったんじゃないかな?」
「はい、そのとおりです。どんぐりクラブでみんなと話をしていて、知らなかったことがたくさんわかりました」

シマ先生はうなずき、つぎの話に入りました。
「どんぐりクラブにはじめてやってきて、そのあとにドングリッキーを買ってくれるようになった新しいお客さんもいるとリスくんは言ってたよね?」
「はい、そうです。シマ先生」

「これが意味するのは、コミュニティの価値がお客さんつれてきているということなんだ」
ひとこきゅうをおいてシマ先生はつづけて言います。
「クッキー作りたいけんからはじまり、ドングリッキーをみんなで楽しむおやつの時間になった。そしていつしか “どんぐりクラブ” とよばれるようになり、お客さんとリスくんのコミュニティができた。コミュニティの楽しさやお客さんが感じている価値が広まり、新しいお客さんを増やしているということなんだ」
「新しいお客さん…」
「そうだ、リスくん。商売で大事なのは、今のお客さんに喜んでもらうこと、そして新しいお客さんも増やしていくこと。このりょうほうが大切なんだ。リスくんの作ったコミュニティは、今までのお客さんと新しいお客さんの二つをつなげているということだね」
「リスくんの商売がいいほうにむかっていると思うのは、こういう意味からなんだよ」

リスくんはシマ先生の話をノートにとりおえ、商売のおもしろさをあらためて感じていました。

* * *

リスくんはシマ先生にお礼をつたえ、家にもどりました。

家に帰ってきたリスくん

リスくんはシマ先生の話を聞いてとったノートのメモを読みかえしました。ですが、いつものように書いてあることが頭にうまく入ってこないことに気づきます。リスくんは少し頭がふわっとした感じがしました。

「ここさいきんはずっと、いそがしかったからつかれてるのかも」
なんとなくけだるさを感じたリスくんは、水をのみに行こうと立ち上がったときでした。

そのしゅんかん、リスくんの目の前がまっしろになりました。
リスくんは気をうしなって、たおれてしまったのです…。

 (つづく) 

シマ先生のかくにんテスト


今回の学びのテストです。(   ) の中にふさわしい言葉を入れてください。

  1. コミュニティは (    ) をつなぐ場所。コミュニティがあることで、お客さんは安心して来ることができ、自分のいばしょが生まれ、うれしかったり楽しめる時間になる

  2. コミュニティでお客さんたちと話をすることで、(    ) を知ることができる。答えはお客さんの中にある

  3. 商売で大事なのは、(    ) に喜んでもらうこと、そして (    ) も増やしていくこと


答え

  1. お客さんどうし

  2. お客さんが何をもとめているのか

  3. 今のお客さん / 新しいお客さん

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