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それでも、くら寿司は 「回転」 にこだわる。強みを最大化し、楽しさを生み出すマーケティング

今回のテーマは、楽しさと強みを追求する方法です。

くら寿司がなぜ 「回転すし」 にこだわり続けるのか。その秘密を明らかにしながら、差異化を図るための自社の強みを明確にし、そして、強みの源泉を守り育てることの重要性を掘り下げます。


それでも回転にこだわるくら寿司

出典: PR TIMES

世間を騒がせた迷惑行為の影響もあり、大手回転ずしチェーンの各社は 「お寿司を回転レーンで提供する」 という方法にメスをいれつつあります。

一方のくら寿司は、お寿司を回転させることにこだわり、迷惑行為を感知する新システムを開発しました。

新 AI カメラシステム

各座席の回転レーンに設置された AI カメラが不審な動きを察知することで、迷惑行為を防ぎます。

以下は関連記事からの引用です。

くら寿司は2023年3月2日、回転レーンにおける迷惑行為を防ぐ 「新 AI カメラシステム」 を全店舗に導入した。

迷惑動画が外食チェーン全体で問題視されていることを受けての対応だ。各座席のレーンには、すし皿をカウントする 「AI カメラ」 が設置されており、そのカメラがレーン上の不審な動きを察知する仕組みだ。迷惑動画が社会問題化してから約1カ月というスピードで全店導入までこぎつけた。

ITmedia 2023.3.9
出典: 食品産業新聞社

回転にこだわる理由

新しいシステムを開発してまで、くら寿司が回転にこだわる理由はどこにあるのでしょうか?

先ほどの記事から詳しく見てみましょう。

3月2日に開催された新システムの発表会において、広報・マーケティングを担当する岡本浩之本部長は 「回転すし」 にこだわる理由を語った。

岡本本部長は、外食において 「安心・安全」 「おいしさ」 「リーズナブルな価格」 を実現するのは当たり前だと強調する。たくさんのお店がある中で顧客から選ばれるには、この3つの要素に加えて 「記憶に残る "楽しさ" 」 が必要だという。

回転レーンが提供するのは、「ウィンドウショッピング的な楽しさ」 (岡本本部長) だ。具体的には、「さまざまなメニューが回転レーン上を流れているのを目で追いかけるワクワク感」 「すぐに取って食べられる手軽さ」 「商品を選べる楽しさ」 を挙げた。

ITmedia 2023.3.9

前半のまとめ

一度ここまでの内容をまとめます。

  • くら寿司は回転レーンでの迷惑行為を防ぐため、新しく AI カメラシステムを開発し全店に導入

  • 新システムを開発し回転ずしにこだわる理由は、安心・安全、おいしさ、リーズナブルな価格に加え、記憶に残る楽しさを重要しているから

  • くら寿司は回転レーンを残し、ウィンドウショッピング的な楽しさ、すぐに取って食べられる手軽さ、商品を選べる楽しさをお客さんに提供していく

学べること

くら寿司の事例から学べることを掘り下げていきましょう。

顧客体験を向上する価値

回転寿司チェーンの回転レーンは、単に店舗運営を効率化するだけでなく、お客さんに楽しさやワクワク感を提供するための大事な要素です。ウィンドウショッピングのような楽しさを通じて、他の料理店にはないユーザー体験を提供し、差異化を図っています。

もし回転レーンをやめれば、別の価値を提供することが必要になります。くら寿司は新たな AI カメラのシステムを開発・導入しましたが、これは強みやお客さんへの提供価値を死守するための投資であり、顧客体験の向上につなげていく覚悟が見て取れます。

価値をもたらす強みの明確化

事例から学びを一般化すると、自社の強みとは何かを明確にすることの重要性です。

強みとはお客さんに提供する価値であり、他ではなく自分たちが選ばれる理由です。

くら寿司の場合、回転レーンがその強みの1つとなります。お寿司が回転しながら運ばれてくる仕組みが、ウィンドウショッピング的な楽しさ、すぐに取って食べられる手軽さ、商品を選べる楽しさをもたらしているわけです。

強みの源泉は育てるもの

さらに一歩踏み込んで、強みを実現する源泉は何かを考えるといいでしょう。

源泉は意思を持って長い目で育てていくものです。戦略的な視点で長期的な取り組みを行うことが求められます。くら寿司は AI カメラを新たに導入することで顧客体験の向上に取り組み、競争優位性を維持しようとしています。

何を持っている・やっているから強みにつながっているのかを明確にすることが大切です。源泉は、守るべきものであり、中長期的に育てていく存在なのです。

まとめ

今回はくら寿司の事例を取り上げ、学べることを見てきました。

くら寿司の例から学んだマーケティングのポイントをまとめておきます。

  1. 顧客体験を重視し、差別化を図る

  2. 自社の強みや提供価値を明確にする

  3. 強みの源泉を守り、中長期的に育てていく

お客さんに提供する価値を自社の強みにし、価値の源泉を強化していくことで長期的な成功につながります。

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