ほぼ日手帳の成功物語。独自価値と市場ニーズのハーモニー
商品開発やマーケティングで、競合商品のことばかりを追い求めていないでしょうか?
ビジネスで成功をするためには、未来への見解、自分たちは何をしたいのかという信念や志が大切であり、そして、お客さんの理解も不可欠です。
今回は、「ほぼ日手帳」 の成功物語から学べることを掘り下げます。
ほぼ日手帳
ほぼ日手帳は、自由に使えるスペースが1日1ページあり、幅広い使い方ができるユニークな手帳です。
スケジュール帳として予定の管理、日記のようにできごとや思ったことを書くだけではなく、イラスト帳、スクラップブックなど自由な使い道があります。
ほぼ日手帳は2001年10月に発売されました。今では年間82万部を売り上げ、累計販売部数が1000万部を超えています。
驚くのは販売数が今も伸びていることで、直近では前年比 30 .3% 増という数字を叩き出しています (参考: 株式会社ほぼ日 2023年8月期 第3四半期決算通信) 。
ゼロベース思考での開発
ほぼ日手帳の開発は、競合製品となる他社の手帳に固執することなく、独自の発想とアイデアから進められています。
ほぼ日の糸井重里さんは、既存の手帳や事例研究を参考にしない 「ゼロベースの思考」 から、新しい価値を生み出す手帳を目指しました。
糸井さんは開発していた当時を振り返り、次のように語っています。関連記事から引用します。
ほぼ日の開発には、マーケティングの 「プロダクトアウト」 の発想が見られます。
プロダクトアウトとマーケットイン
プロダクトアウトとは、企業が自身の強みや技術を起点にして、商品をつくり市場に提供するアプローチです。これに対して 「マーケットイン」 は、市場ニーズやお客さんの要望から着想を得て商品を開発します。
プロダクトアウトが企業の内側から始まり外側に向かっていくのに対し、マーケットインは市場という外側の視点が起点になります。
2つを両立する
プロダクトアウトとマーケットインは一見すると相反するように見えますが、理想的な商品開発やマーケティングは、プロダクトアウトとマーケットインを両立させることです。
ほぼ日手帳の開発では、最初は社員に向けたカッコいい手帳を作るという意識が強く、同じものが欲しい方には 「お分けします」 という捉え方でした。
ただし、自分たち用の手帳を目指しつつ、ユーザーのフィードバックを受け取り、手帳の改良に活かしています。
糸井さんはこんなことをおっしゃっています。
先ほどの関連記事から引用します。
ほぼ日手帳は、プロダクトアウトから入りつつ、マーケットインの視点も大切にしているのです。
企業の強みや技術を活かした商品にし、市場ニーズをしっかりと捉え反映させお客さんからの 「買いたい」 をつくる。プロダクトアウトとマーケットインの2つは、二項対立のようなどちらか一方だけではなく、融合させることが大事です。
まとめ
今回は 「ほぼ日手帳」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
ほぼ日手帳は 「ゼロベースの思考」 で開発され、競合の手帳を過度に意識せず独自の価値を追求してきた。自らの強みや技術を最大限に活用する 「プロダクトアウト」 の発想がある
ほぼ日はユーザーの意見は受け入れ、その通りだと思うことは手帳の改良に反映させている。市場ニーズを捉える 「マーケットイン」 も大切にしている
プロダクトアウトとマーケットインは相反するものではなく、両方の視点を取り入れ、より多くのお客さんからの 「買いたい」 を生み出すことが大事