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社会貢献もする 「焼き芋の自販機ビジネス」 。ヒット理由をマーケティング 4P で解説

今回はマーケティングの 4P で、人気商品のヒット理由を分析します。

おもしろいと思った 「焼き芋自販機ビジネス」 を取り上げ、人気を呼んでいる理由をマーケティングの視点で解説しています。

そこから、マーケターとしてより高みを目指すためにどうすればいいのかも掘り下げています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

焼き芋の自販機ビジネス

こちらの記事を読みました。

 「甘〜い焼き芋」 の自販機ビジネスが、社会貢献に繋がる理由とは|DIAMOND Chain Store

自動販売機で焼き芋を販売している、宮崎県の農福産業を取り上げた記事です。

焼き芋の自販機 (出典: 農福産業)


障害者雇用での社会貢献

農福産業は障害者の雇用を積極的に行っていて、社会貢献にもつながっています。

記事から引用すると、

自動販売機で焼き芋を販売し売上を伸ばしている宮崎県のユニークな企業がある。「農福産業」 だ。

同社の焼き芋は焼き上げから包装まで、障がい者の手によって行われており、その社会貢献度の高さも注目を集める要因の一つだ。北は青森から、南は沖縄まで焼き芋自動販売機を設置する同社の戦略、焼き芋ビジネスの可能性を聞いた。

DIAMOND Chain Store 2021.12.17


マンゴーより甘い焼き芋

農福産業が自販機で売っている焼き芋は、一般的なスーパーで売られている焼き芋と比べると2倍近い価格だそうです。

それでも、時には自販機に行列ができるくらいの人気を呼んでいるのは、他にはない甘さがある焼き芋だからです。

各施設や自治体などにも売り込みを続け、今では設置された道の駅や温泉施設に設置する初日など多い時には、1500個の焼き芋が売れることがあるという。

今後は、大きいサイズのみに変更する予定があるというが、現在は、110グラム (400円) と190グラム (500円) のそれぞれに温かいものと、冷たいものの計4種類の商品から選べる。スーパーで売られる焼き芋と比べると、2倍近い価格だが、人気の理由はどこにあるのだろうか。

答えは、その甘さにある。農福産業の焼き芋は糖度40度以上で、マンゴーより甘く、スイーツ感覚でスプーンを使ってすくって食べる人も多いそうだ。

営業責任者の松岡氏は、「『ねっとりした甘さ』が他の焼き芋より際立っていると思います。先般も南道後温泉に自販機を設置させていただいたところ、長蛇の列が出来ていました。毎日、購入されている方もいらっしゃいます。」 という。

DIAMOND Chain Store 2021.12.17

甘さの秘密

マンゴーよりも甘い焼き芋なのは、独自のやり方をしているからです。

農福産業では、40度以上の糖度を実現するために、「キュアリング」 と呼ばれる製造手法を採用する農家からさつま芋を仕入れている。これは泥がついたままの生のさつま芋 (紅はるか) を40日間以上冷蔵保存する手法だ。「お芋は賢くて、冷たいところに長時間いると、自分を守るために中のでんぷん質を糖分に変化させるそうです」 (松岡氏)

この製造プロセスの効果は絶大で、一口で、キュアリングを経た焼き芋とそうでないものの違いが分かるほどだという。手軽に美味しい焼き芋を楽しめる裏には、こだわりの製法が隠されているのだ。また、農福産業では、「焼き芋を缶に入れて売ること」 で特許を取得している。

(中略)

農福産業の取り組みはマスコミを通して伝えられ、多くの客がその理念に共感し、焼き芋を買っているという。

DIAMOND Chain Store 2021.12.17

学べること

マーケティング 4P からのヒット理由分析

では、自販機で販売される農福産業の焼き芋について、ヒット理由を掘り下げていきましょう。

マーケティングのフレームである 「4P」 がきれいにつながっていて、ここに人気の要因があると見ました。


✓ マーケティング 4P

  • Product: 売る商品やサービス

  • Place: お店や EC サイトなどの販売チャネル

  • Price: 価格

  • Promotion: 広告や販促


4P を自販機の焼き芋に当てはめると、次のようになります。

✓ 農福産業 「焼き芋自販機」 のマーケティング 4P

  • こだわりの独自製法で、甘さが他の焼き芋よりも際立っている (マンゴーよりも甘い) [Product]

  • 焼き芋自販機で販売 (焼き芋を缶に入れての販売は特許を取得) [Place]

  • スーパーで売られる焼き芋よりも2倍近い価格 [Price]

  • 障害者雇用もする農福産業の取り組みはマスコミで伝えられ、多くの客に理念を共感されている [Promotion]


マーケティングの 4P がきれいに流れていて、一般的な焼き芋とは違い差異化されています。

4P の土台にあるもの

ではここからさらに掘り下げていきたいのは、マーケティング 4P の奥に何があるかです。

土台としてある志や信念です。農福産業の場合は、同社の経営理念がそれに当たります。

農福産業の経営理念は、「農福連携を基軸に、障がい者の所得向上と働く場所を提供し、社会に貢献する」 です (参考) 。障害者の雇用を明確に言っています。

理念を実現するためのマーケティング

マーケティングの 4P は、いずれも具体的な打ち手であり施策です。

つまり手段であり、何のための手段かと言えば理念を実現するためです。

農福産業の自販機で売られる焼き芋は、4P の中の Price (価格) は一般的にスーパーで売られているよりも2倍の値段です。背景には 「障害者の方が賃金は安く、そもそも働ける場所が限られている」 という現実があります。この問題を解決するために、マンゴーよりも甘い焼き芋 (Product) を、自販機 (Place) で、高い値段 (Price) で売るというマーケティングがあるのです。

マーケターとして高みを目指すために

マーケティングでは 4Pという打ち手において、4つに一貫性と具体性があることが大事です。

ただし、マーケターとしてより高みを目指すためには、もう1つ上の視座に立ちたいです。それは、マーケティング 4P の土台には 「どんな志や信念があるのか」 という問いに答えられることです。

信念には企業やブランドとしてもあるし、1人のマーケターとしての大切な価値観や矜持もあるでしょう。

信念を実現するためにマーケティングがあるという捉え方をしたいです。

まとめ

今回は 「焼き芋自販機ビジネス」 を取り上げ、マーケティング 4P でのヒット理由分析と、マーケターとして大切にしたい姿勢を見てきました。

最後にまとめです。


 「焼き芋自販機」 のマーケティング 4P

  • こだわりの独自製法で、甘さが他の焼き芋よりも際立っている (マンゴーよりも甘い) [Product]

  • 焼き芋自販機で販売 (焼き芋を缶に入れての販売は特許を取得) [Place]

  • スーパーで売られる焼き芋よりも2倍近い価格 [Price]

  • 障害者雇用もする農福産業の取り組みはマスコミで伝えられ、多くの客に理念を共感されている [Promotion]


マーケターとして高みを目指すために

  • マーケティング 4P (打ち手) の土台にあるのは志や信念

  • 4P は手段であり、信念を実現するため

  • マーケターとして高みを目指すために、信念を実現するためのマーケティングという捉え方をしたい



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