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日本企業が値上げできない理由、値上げを成功させる方法

ついに日本もインフレ時代に突入し、多くのビジネスで価格設定の見直しが求められています。その一方で、少なくない企業が適切な値上げを実施できていなのではないしょうか?

この記事では、値上げができない構造的な要因は何か、売上と販売数量を減らさずに値上げを成功させる方法について考えていきます。インフレ時代を生き抜くための新たな道を一緒に歩んでいきませんか?

なぜ、値上げに踏み切れないのか

一般的に企業は値上げを躊躇し、できれば回避する方向で動きます。しかし、これは長期的な視点からは、自社のビジネスを脅かす要因にもなりかねません。

では、なぜ日本の企業は値上げに踏み切れないのか、その理由を考えてみましょう。

値上げへの体制や仕組み

まず理由として挙げたいのは、値上げを行うための体制や体系的な仕組みが不十分であることです。

企業では価格設定や値上げをしていく場合に、値上げ交渉を個々に依存した属人的な方法でしか行われないことがあります。組織全体として統一した戦略が策定されず、実行するためのアプローチが不十分な状態です。

また、交渉にあたる営業担当者に、値上げを行う重要性や意味合いが曖昧である場合もあります。

これは見過ごされがちな論点ですが、値上げが成功するためには、営業担当者がそれを実行するための動機付けが必要です。具体的には、値上げによって個々人の成績や人事評価にメリットがあるというようなわかりやすいインセンティブです。

経験や能力

他に、値上げに踏み切れない理由としては、値上げを成功させるための過去の経験が少なく、組織としての能力が十分ではないこともあります。

値上げはただ価格を上げるだけではなく、値上げとともに製品の価値や品質を向上させ、サービスの改善といった形でお客さんにも値段以上の恩恵をもらたすことが大事です。

このようなアプローチをとるには、組織全体で情報を共有し、共通の理解を持つことが重要です。また、実際の経験を通じて得られるお客さんや市場の反応を分析し、値上げのアプローチやときには戦略を改善していく取り組みも必要になります。

値上げを成功させるためのポイント

では、価格戦略を成功させるためのポイントを掘り下げていきましょう。

✓ 値上げを成功させるための5つのポイント

  • 目的の明確化と値上げ目標の設定

  • 値上げへの根拠の精査

  • 自社製品やサービスの価値訴求と価格提示

  • 一貫性のある明確なコミュニケーション

  • 短期的な成果を求めすぎず中長期で取り組む

順番に見ていきましょう。

目的の明確化と値上げ目標の設定

まず第一に、目的の明確化と値上げ目標の設定が求められます。

値上げは単に収益を上げるだけでなく、ビジネス戦略全体をサポートするものでなければなりません。具体的な目標を設定し、その目標が全社のビジネス戦略にどのように結びつくのかを明確にすることが重要です。

値上げへの根拠の精査

次に、値上げへの正当な理由付けが必要です。お客さんに対して価格を上げる理由をしっかりと伝えることで、理解を得られる可能性が高まります。

コストの増加、品質向上の必要性、市場の価格動向など、値上げの背景にある要素を詳細に分析する必要があります。

価値訴求と価格提示

三つ目のポイントは、自社製品やサービスの価値訴求と価格提示です。

価値を提示しての価格交渉が重要となります。お客さんに対して自社の製品やサービスの独自性や品質を十分に伝え、価格に反映されていることを理解してもらうことを意味します。

価格だけでなく、価値にも注目してもらうためには製品やサービスの特徴や強みを際立たせることが大事です。

一貫性のある明確なコミュニケーション

第四に、一貫性のある明確なコミュニケーションが必要です。値上げを行う際には、その理由と目的をお客さんに説明することが重要です。

ここで大事になるのは、情報が一貫していることです。担当者によって、また時間が経過して伝えるメッセージがブレないように注意しましょう。

中長期で取り組む

あまり短期的な成果を求めすぎず、中長期で取り組むことが大切です。

値上げはすぐに結果が出るものではなく、お客さんの認識や行動を変えるには時間がかかる場合があります。そのため、価格戦略は中長期的な視点で策定し、組織全体でその達成に取り組むといいです。

おわりに

値上げは難しいテーマであり、成功させるためには体系的なアプローチと組織全体での取り組みが不可欠です。だからこそ成功したときの恩恵は大きいです。

最終的には、良質な製品やサービスを提供し続けることがお客さんの満足へとつながり、その対価として適切な売上を得られるのです。

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