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贈り物に変わる防災グッズ。マーケティングの魔法で生まれる新しい価値

以前と比べて、災害への備えがより身近な問題となっている昨今。そんな中、防災グッズを大切な人に贈るという新しいトレンドが生まれています。

一体どのようにして、従来は自分や家族用として捉えられていた防災グッズが、大切な人への贈り物となったのでしょうか?

今回の記事では、この興味深い現象をマーケティングの観点から探求していきます。新たな価値をつくり出すというマーケターの役割について一緒に考えていきましょう。

防災グッズを大切な人に贈る

つい後回しにしてしまう災害への備え。そんななか、防災グッズをギフトにする動きが広がっています。

例えば東京の防災ベンチャー企業 KOKUA は、防災カタログギフト「LIFEGIFT」を提供しており、消費者が好きな商品を1つ選べるサービスです。

「防災グッズを贈り物にするという発想はこれまでなかったけれど、贈ってみるととても喜んでもらえた」。東京都杉並区の保育士、工藤英子さん(51)は声を弾ませる。2022年春以降、3人の友人の結婚祝いに、偶然ラジオで知った防災グッズのカタログギフトを贈ったのだ。

利用したのは KOKUA が20年12月に発売した「LIFEGIFT」(ライフギフト, 1万4300円)。モノトーンカラーの住宅用消火器や、停電時に自動で点灯する発光ダイオード(LED)充電ライト、マグネット付きで玄関扉の内側にくっつけられる防災バッグなど、デザイン性の高い16品の中から好きな商品を1つ選べる。

「防災グッズは必需品として購入してきたが、これならそろえる時も楽しい」という工藤さん。最も心を動かされたのはカタログギフトのコンセプトだ。「あなたの無事が、いちばん大事」。KOKUA の泉勇作最高経営責任者(CEO, 30)は「防災グッズだからこそ伝えられる気持ちを大事にしたかった」と話す。

日経 2023.3.10

学べること

防災グッズは、これまで自分自身や家族のために購入するものとして捉えられていました。

防災グッズが大切な人に贈るものという事象をマーケティングの観点で捉えると「パーセプションチェンジ」の事例です。

パーセプションとは

パーセプションを日本語に訳すと知覚や認識です。

マーケティングの文脈でパーセプションとは、お客さんが商品やサービスに対して持っている認識やイメージのことです。マーケターはお客さんからの商品のパーセプションを変化させることで、新しい価値を生み出し、お客さんにとっての商品の魅力を高めることができます。

防災グッズの事例では、従来は「防災グッズは自分で買って手に入れるもの」というイメージがありました。これを「大切な人を思い心を込めて贈るもの」という新しいパーセプションに変えることで、防災グッズに新しい価値が生まれました。

マーケティングの役割

この事例からマーケティングの学びとして、既存のものに新しい価値を見出し、お客さんにとっての意味づけをし、魅力的な提案を行う重要性です。

お客さんにとっての意味合い、捉え方、パーセプション(価値イメージ)を書き換えていくことがマーケターの役割です。

防災グッズを贈り物として捉えることで、大切な人への気遣いや安心感を伝えることかできるようになります。また、贈る側も贈られる側も防災に対する意識が高まり、より安全な社会へとつながっていくでしょう。

このようなパーセプションチェンジの考え方は、さまざまな商品やサービスにも応用することができます。マーケターの大事な姿勢は、お客さんのニーズや価値観を理解し、新たな価値創造に挑戦していくことです。

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