カラムーチョの逆張り戦略がおもしろい。崖っぷちからの戦略とマーケティング
今回のテーマは、戦略とマーケティングです。
おもしろいと思ったカラムーチョの戦略を取り上げ、マーケティングの観点も入れながら学べることを解説します。
カラムーチョの逆張り戦略
こちらの記事を読みました。
「カルビーに勝つにはこれしかない」 湖池屋がカラムーチョという禁断の味に手を出したワケ|SankeiBiz
圧倒的シェアのカルビーへの対抗
カラムーチョを取り上げた記事で、1980年代前半の頃のスナック菓子市場での、圧倒的に高いシェアだったカルビーに対抗するための湖池屋の戦略がおもしろかったです。
一言で言えば徹底した 「逆張り戦略」 で、強者がやらない弱者の戦略でした。
以下は記事のリード文です。
「カルビーに勝つにはこれしかない」
1984年のスナック菓子市場は、カルビーが圧倒的なシェアを占めていました。
カルビーの逆をやる
では、「カルビーの逆を行こう」 とは、具体的にどのようなことを湖池屋はやったのでしょうか?
少し長いですが、また記事からの引用をすると、
マーケティング 4P で整理すると
カラムーチョが新発売当時にやったことを、マーケティング 4P で整理してみます。
✓ Product [商品]
当時はタブーとされた辛い味付け
大人向けにし、おつまみ感のあるスティックタイプ
突き抜けた商品名 「カラムーチョ」 。パッケージには 「こんなに辛くてインカ帝国」 のダジャレ
✓ Price [価格]
200円の高価格帯
カルビーのポテトチップスは当時100円で、スナック菓子は150円でさえ高いと思われていた
✓ Place [販売チャネル]
はじめはコンビニで展開
コンビニの店主は元は酒屋さんから転向した人が多く、大人向けの辛い味付けのカラムーチョに 「おつまみとして売れるかも」 と思ってくれた
従来の取引先だったスーパーは最初は扱ってくれなかった
✓ Promotion [コミュニケーション]
あらゆる面でポテトチップスっぽく見せないようにした
子ども向けのお菓子ではなく、大人向けのおつまみと位置づけて訴求した
以上のように、マーケティング 4P の全てで一貫性を持ち、カルビーとは一線を画すことをカラムーチョはやったのです。
学べること
では、ここからの後半は、カラムーチョの話から学べることを掘り下げていきましょう。
戦略の本質
1984年に発売されたカラムーチョは、今もコンビニやスーパーに定番のスナック菓子として売られています。ロングセラー商品の背後には戦略があったわけです。
ここであらためて、そもそもの戦略とは何かを考えてみましょう。
結論から言うと、戦略とは目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとです。大きな方針となるのが戦略です。
ポイントは 「やらないこと」 にあります。覚悟を持って捨てることを決めるために戦略をつくると言ってもいいです。「やらないこと」 を明確にするからこそ、残った 「やること」 に注力できるのです。
カラムーチョには 「全部カルビーの逆を行こう」 という明確な 「やらないこと」 がありました。
差異化からのブランディング
カラムーチョからマーケティングの視点で学べることも見ておきましょう。
ポジショニングとブランド構築で示唆があります。
ポジション形成ができるのは他とは違うことをやるからです。マーケティングの観点で大事なのは、違うことをやったことによって、それがお客さんへの価値を生み出しているかどうかです。価値がもたらされ、お客さんの頭の中で他にはない価値イメージが定着すれば、ブランドになります。
つまり整理をすると、「違うことをやる → 価値創出 → 独自のポジション → ブランド化」 という流れです。
カラムーチョは差異化を図って価値を提供し、独自のポジションを形成しました。その結果として、他にはないカラムーチョというブランドになったのです。
まとめ
今回はカラムーチョを取り上げ、戦略とマーケティングで学べることを見てきました。
最後にまとめです。
カラムーチョの逆張り戦略
戦略とは目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごと。ポイントは 「やらないこと」 を決めること
カラムーチョは 「全部カルビーの逆を行こう」 という方針をとった
大人向けに、当時はタブーとされた辛い味付け、200円の高価格、コンビニで売り、あらゆる面でポテトチップスっぽく見せないようにした
差異化からのブランド化
ブランドができるのは、「違うことをやる → 価値創出 → 独自のポジション → ブランド化」 という流れ
カラムーチョは差異化から価値を提供し独自のポジションを取り、他にはないカラムーチョというブランドになった
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