盗難自転車から医療機器へ。奥にある本質から学ぶ商品開発

今回のテーマは、商品開発です。

おもしろいと思ったある企業のサービス展開を取り上げます。そこから学べることとして、商品やサービス開発、個人のレベルでの新しい挑戦へのヒントをご紹介します。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

BtoC から BtoB へ

以下は、日経新聞の記事からの引用です。

2016年5月の本コラムで取材したペダルノート (東京・豊島) は当時、盗難自転車の追跡サービスを手掛ける企業だった。それが6年の歳月を得てガラリと事業内容が変わっていたので再度取材した。

新事業は、医療機器が病院内のどこにあるのかを常に可視化するというサービスだ。ビーコンを付けた自転車をスマートフォンのアプリで追跡するという盗難防止サービスで蓄積したノウハウが、今度は医療現場で役に立っているようだ。

日経 2022.1.24

医療機関向けのサービスの中身について、同じ記事から見てみましょう。

当時、小原社長は盗難された自転車を街中で追跡するサービスには、発信器の普及など成長に向けては課題があると感じていた。病院内の医療機器の追跡サービスにビジネスを切り替えられないか考えた。

小原社長らは、医療機関を訪問し、現状を調査した。すると、調査した中で多いところでは、7000以上もの医療機器を抱えていたという。これを臨床工学技士 (ME) たちがメンテナンスをしているが、毎朝貸し出している機器が病院内のどこにあるか探すところから業務が始まるなど、無駄な時間が多かったことに衝撃を受けた。

そこで、場所が一瞬でわかり、更にメンテナンスの周期も管理、報告業務も簡素化できるサービスを提供することにした。

(中略)

このサービスはスマホ連携とすることで使いやすい、医療機器の稼働時間などの情報を電子カルテと連携すると診療請求漏れがなくせる、といったメリットもあるという。すでに大学の医学部付属病院などの地域の基幹病院で導入されているという。

日経 2022.1.24

ペダルノートは盗難自転車を追跡し発見する BtoC のサービスは今もやっていますが、主要サービスは医療機関向けの医療機器発見サービス (BtoB) です。

一見するとバラバラ、でも本質はつながっている

ペダルノートのホームページを見てみると、ペダルノートが展開している事業サービスは、他にはペットケアサービスがあります。これはペットが迷子になった時に探せるというサービスです。

ペダルノートの3つの主要サービス、医療機器、盗難自転車、ペットは一見するとバラバラです。しかし抽象化し俯瞰すると、共通点があります。

対象物が意図せぬ移動をして、場所が分からなくなった時の不都合を解決しているのです。ペダルノートはこれを一言で 「探さないを当たり前に」 と表現しています。

このように関連性はないように見えても、奥にある本質を見出せれば共通点があるわけです。

学べること (まとめ) 

では、今回のペダルノートの事例から学べることを整理してみましょう。

既存の資産や仕組みの活用

新しい商品やサービスをつくる時のヒントがあります。

表面的には新しいことでも、表からは見えない奥に既存の商品・サービスとの共通点があると、新しい取り組みは展開しやすくなります

ここで言う共通点とは、ペダルノートの例に当てはめれば、盗難自転車のビジネスで蓄積したノウハウを医療機器発見のサービスに活かしていることです。技術と仕組み、運用ノウハウによって、すぐに見つからないモノを探せるようにしています。

BtoC から BtoB へ対象とするターゲット顧客が変わっても、奥にあるサービスの本質は共通しています。ここから学べるのは、既存の資産や仕組みを活用することの重要性です。

新しいチャレンジへの応用

個人のレベルにも活用できます。

何か新しいことに挑戦する場合に、自分が持っている経験・専門知識・人脈などを活かすと良いです。こうした 「自分の資産」 を活かせるということは、奥には共通点があり本質レベルではつながっています。

具体的な目に見えるレイヤーでは異なっても、一歩下がり、抽象化し俯瞰できれば本質理解ができます。本質が見出せれば、新しいチャレンジにはきっと活きます。



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