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ユニリーバが本気のショート動画制作ワークショップ開催。 「百見聞は "一体験" にしかず」 から、深い顧客理解に行き着く方法

外資系の大手日用品メーカーのユニリーバ。ユニリーバが社内のマーケター約50人に、ショート動画制作のワークショップを行いました。

著名インフルエンサーを講師として招き、約50人のマーケター全員が参加して動画制作を学び、実際に動画をつくるという力の入れようです。

このワークショップにはどんな狙いがあったのでしょうか?

今回は、ユニリーバの取り組みから学べることを解説します。


全マーケターへの短尺動画ワークショップ

出典: 日経クロストレンド

ユニリーバが、社内の全マーケター約50人にショート動画制作のワークショップを開催しました。

人気インフルエンサーから全工程を学ぶ

外部から招かれた100万人のフォロワーを持つインフルエンサーが教える側として参加しました。ワークショップの内容は、ユニリーバの社員を約8人で1組のグループに分け、そこに1人ずつインフルエンサーが担当として付き、ユニリーバの商品の PR 動画を制作するというものです。

人気インフルエンサーから直接、知識と技術を学び、マーケター自身が動画制作の全過程を理解し、実践する機会をつくったわけです。

動画制作のワークショップを開催の狙い

社内のマーケター全員が参加したワークショップを実施した狙いは、「広告代理店任せから脱却」 でした。

それまでは、ユニリーバのマーケターは、動画などのコンテンツを使ってのマーケティングコミュニケーション施策をやる場合に、外部とのやりとりは広告代理店どまりでした。その先にいる動画などの広告クリエイティブを制作するクリエイターとは直接関わってはいませんでした。

ゆえにクリエイターやコンテンツ制作への理解が浅くなってしまい、マーケターがマーケティングの中で考える範囲が、広告やコンテンツを流すメディアまでだったわけです。

ユニリーバはここに課題感を感じ、自社のマーケターがクリエイターの発信から戦略や施策立案を逆算できるようになることを期待し、ワークショップを開催しました。

学べること

ではユニリーバの事例から、学べることを掘り下げていきましょう。

百見聞は "一体験" にしかず

日本語では 「百聞は一見にしかず」 と言います。さらに言えば、百回聞いたり見るよりも、自分でやってみて体験することで、得られる経験に勝るものはないでしょう。つまり 「百見聞は "一体験" にしかず」 ということです。

ユニリーバは社内のマーケティング担当者の視野や知見を広げ、経験値を増やすために、具体的にはマーケティング施策でイメージできる範囲をメディアまでだったところから、その先のクリエイティブにも拡大するために、マーケターが自分の手でショート動画をつくるワークショップを開催しました。総勢約50人の全てのマーケターが参加し、著名なインフルエンサーを講師に招くほどでした。

100回の動画方法を見たり資料を読むよりも、1回の実体験によって得られるものは大きかったことでしょう。

顧客理解への示唆

ユニリーバの取り組みから汎用的に学べるのは、相手の立場になってものごとを捉えるにはどうすればいいかです。

さらに学びへの着想を広げると、お客さんを理解することにも示唆があります。

マーケティングを成功させるためには、お客さんを理解することが大切です。

最初にやるべきはターゲットとなるお客さんを決め、お客さんのことを深く理解することから始まります。

顧客理解にもとづいて提供する価値を定義し、お客さんに価値を提案し、商品やサービスを通じてお客さんへの価値を実現する。これがマーケティングの基本的な流れです。

では、どうすればお客さんを深く理解することができるのでしょうか?

お客さんを深く理解する方法

その答えはシンプルで、お客さんの立場に自らを置くことです。

お客さんの普段の環境に自ら身を投じ、同じ状況で同じことをやり、お客さんの文脈や世界観に入り込むことで、お客さん目線になれます。

お客さん目線とは、お客さんが見ている景色を自分たちも同じように見ようとすることです。

そのためには、お客さんの行動、使う言葉、感じることを追体験や疑似体験し、お客さんに憑依できるレベルを目指します。行動に影響を与える奥にある心理 (思考や感情) 、何に価値を見出すかの価値観までです。

これらは、オフィスの机に向かってデータや二次情報に触れているだけでは到達できない領域です。現場でのお客さんの一次情報を得る、体験することが重要なのです。

顧客体験を持っている価値

一般化して表現をすると、お客さんを理解するための良い方法は、自分自身がお客さんと同じ経験をすることです。顧客体験を通じて得られる情報は価値が高いのです。

自社の商品やサービスを自分たちも使ってみるやり方がありますが、さらに一歩進んで、自社のターゲットとなるお客さんが直面する現場に自ら身を投じることで、より深いレベルでの顧客理解に行き着くでしょう。

そして、お客さんを理解しての商品開発やマーケティングにつなげるのです。顧客体験を持っていることの意味がここにあります。

まとめ

今回は、ユニリーバが実施した社内マーケター向けのショート動画制作ワークショップの事例から、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • 百聞は一見にしかずだが、100回にわたって方法を見たり資料を読むより、1回の実体験によって得られるものは大きい。百見聞は "一体験" にしかず

  • マーケティングでは、まず最初にやるべきはターゲットとなるお客さんを決め、お客さんのことを深く理解すること。顧客理解にもとづいて提供する価値を定義し、お客さんに価値を提案し、商品やサービスを通じてお客さんへの価値を実現できる

  • お客さんを深く理解するためには、お客さんの立場に自ら身を置くといい。同じ状況で同じことをやり、お客さんの文脈や世界観に入り込む。行動に影響を与える奥にある心理 (思考や感情) 、何に価値を見出すかの価値観までをうかがいしれ、お客さん目線になれる

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