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解像度を上げた顧客理解。エレコムの「お1人様家電」戦略

「たまには1人で美味しく食事をしたい」── これはどんな人にでも共通する欲求ではないでしょうか?

この人間心理を見出したのがエレコムの「お1人様の家電」です。新製品を出した背後には、どんな狙いがあるのでしょうか?マーケティングでのお客さん理解の重要性について一緒に学んでいきましょう。

お1人様の家電

エレコムが家電ブランド LiFERE (リフィーレ) の新製品を発売します。

IH 炊飯器、ポット型コンベクションオーブン、卓上調理鍋の3種類で、いずれも1人前の調理に最適化されているのが特徴です。「お1人様用」 の家電です。

出典: ITmedia

炊飯器の開発は、消費者からの 「炊飯器が欲しくても置く場所がない」 「炊きたてのご飯を食べたいけど量は1合で十分」 「どうせ買うなら美味しく炊けるものが欲しいけれど、ぴったりなものがない」 という声から生まれました。既に他社製品のある IH 炊飯器において、超小型の製品がないという 「市場のホワイトスペース」 を狙ったわけです。

「自分だけの食事にしたい」という心理

この事例で注目したいのは、家電ブランド LiFERE の新製品は 「お1人様」 での利用を想定していますが、エレコムが考える 「お1人様」 とは必ずしも 「単身の1人暮らし」 だけではない点です。

同居している家族がいる場合でも、人は誰しも 「自分だけの食事にしたい」 という心理があります。エレコムはこのニーズに応えるべく製品の機能やデザインにこだわったとのことです。

LiFERE ブランドは小型調理家電を 「1人でいる時間を豊かにするもの」 と位置づける (出典: ITmedia

今回の事例から、マーケティングにおいてお客さんのニーズや心理を把握することの重要性が見えてきます。

複数人がいる世帯でも、消費者の心理は家族で一緒にいたいときもあれば、1人になりたいシチュエーションもあります。LiFERE ブランドは「1人でいる時間を豊かにするもの」という小型調理家電です。家族がいる世帯でも1人でおいしく食事をしたいというニーズを狙っています。

このように、お客さんの心理や行動への理解において解像度を上げるのは、マーケティングにおいて重要なことです。

解像度を上げる方法

ものごとの解像度を上げるために、タイトル名がずばりのこちらの本が参考になります。

サブタイトルにもあるように、4つの視点で解像度を高めることができます。

  1. 広さ

  2. 深さ

  3. 構造化

  4. 時間変化

それぞれをさらに詳しく見ていきましょう。

  1. 広さ
    見る領域を広げる。視野を広げることで、新たな視点や洞察を得ることにつながる。競合他社の動きやお客さんの行動パターン、業界の動向など、幅広い範囲から情報を集めることが重要

  2. 深さ
    掘り下げる。単に表面的な情報だけでなく、詳細なデータや背後にある原因・意図を探求する。具体的な事例やエピソード、インタビューや観察を通じて、より深い理解を得ることができる

  3. 構造化
    体系立てる。情報を構造的にまとめ、メカニズムや因果関係を理解することで、問題解決や意思決定に至るプロセスを整理するのに役立つ。データをビジュアル化し、関連性やパターンを明確にすることで、より深い洞察を得る

  4. 時間変化
    過去、現在、未来の時間軸を伸ばし、経年変化を見出す。変化やトレンドを捉え、将来の予測をする。過去のデータを活用し、現在の状況を理解し、未来の戦略を立てることが重要

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