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移動車販売の 「MIKKE! (ミッケ) 」 。弱者の戦略からのマーケティング

今回のテーマは、戦略とマーケティングです。

おもしろいと思った移動販売サービスを取り上げ、戦略やマーケティングの観点から学べることを見ていきます。

移動車販売の MIKKE!

ご紹介したいのは、移動車によって販売サービスを展開する 「MIKKE! (ミッケ) 」 です。

出典: デパートニューズウェブ
出典: ITmedia

サービス名は 「MIKKE! (ミッケ) 」 。三井不動産とグループ会社の ShareTomorrow がタッグを組んで、東京の湾岸エリアを中心に “動くお店” を展開しているのだ。

具体的にどんなことをしているのかというと、飲食店の移動販売 「キッチンカー」 とよく似ている。オフィスの近くや公園などのスペースにクルマが停まっていて、そこで 「お弁当」 を買ったことがある人もいるだろうが、ミッケは違う。取り扱っている商品がとにかく幅広いのだ。

ITmedia 2022.3.20

取り扱っている商品は例えば、サンドイッチやシフォンケーキなどの飲食メニューの他に、生活雑貨、アパレル、リラクゼーション、食器、写真プリントなどもあるようです。

店の 「小ささ」 が武器に

おもしろいと思ったのは、移動販売車という限定された店舗サイズが、デメリットではなくメリットになっていることです。お店の小ささが、お客さんにとっての買いやすさにつながっているのです。

好調の理由は、どこにあるのだろうか。大型の商業施設と違って、移動販売はクルマの中である。

販売スペースはとにかく 「狭い」 わけだが、そのデメリットをメリットにした動きをした。スペースが 「狭い」 ので、たくさんの商品を並べるわけにはいかない。あれもこれもそれもといった世界ではなく、「これはどうですか?」 「オススメです!」 と提案できるかどうかが勝負の分かれ道になるのだ。

一方のお客は、どのように感じるのだろうか。店内に100アイテムが並んでいれば、その中から気に入ったモノを選ばなければいけない (または買わない) 。

しかし、あれもいいこれもいいと迷ってしまえば、結果的に 「決める」 ことができずに 「また、今度にしようか」 となって、購入につながらないこともある。

しかし、移動販売は先ほどお伝えしたようにアイテム数が少ないので、お客は限られたモノの中から選ばなければいけない。例えば、うな重のメニューに 「松」 「竹」 「梅」 を用意しているところがあるが、多くの人は無難な 「竹」 を選ぶ。こうした感じで、移動販売で買いやすい仕組みを導入していることが、いまのところ 「吉」 と出ているようだ。

ITmedia 2022.3.20

高いコンバージョン

商業施設での一般的なお店と比べて、移動車販売はコンバージョンが高いとのことです。

コンバージョンとは、お店の前を通ったり来店した人のうち、買ってくれた人の割合です。

このほかにも、商業施設と移動販売には 「違い」 がいくつかある。

大型の商業施設には、たくさんのお客が来店する。その中から店の前で立ち止まる人もいれば、店内に入る人もいれば、商品を手に取る人もいれば、実際に購入する人もいる。コンバージョンはどんどん下がっていって、結果的に 1% ほどになるといった世界だが、移動販売は違う。

商業施設と違って、クルマの前を歩く人はそれほど多くない。ただ、マンションの敷地内であれば、住民はクルマで販売している商品を何度も何度も目にすることになる。

商品との接点が増えていくことで、心理的なハードルが下がって購買につながりやすいことが分かってきたのだ。先ほど紹介したように、商業施設の場合、1万人が来店して、実際に購入するのは1人といった感じ。一方、移動販売の場合、クルマの前を100人しか通らないが、10人が手に取って、そのうちの2人が購入するといった形である。

ITmedia 2022.3.20

データ分析から移動販売を最適化

MIKKE! で興味深いのは、データ分析からお客さんの嗜好や購買行動を把握し、移動販売に活用していることです。

具体的には販売場所と出店時間の最適化をやっています。

出典: ITmedia

また、各移動販売車が1日の中で、どういう順番で回るかの移動販売プランにもデータ分析を活かしています。

出典: ITmedia

学べること

ではここからは、今回の学べることを掘り下げていきましょう。

弱者の戦略

移動車販売の MIKKE! がやっていることを戦略の視点で捉えると、「弱者の戦略」 です。

ここでの弱者の意味合いは、店舗面積が大きい商業施設ではなく、移動販売車という小さいお店で身軽に営業展開ができるプレイヤーのことです。

移動者販売は、大きい店にはできないことをやることで差別化を実現しています。弱者の戦略の中でも局地戦や接近戦、ゲリラ戦です。


✓ 移動車販売の 「弱者の戦略」 

  • 局地戦: 移動車で出店エリアのポイントを絞って展開

  • 接近戦: お客さんの方に出向き直接会いに行く

  • ゲリラ戦: 出店場所や曜日・時間を柔軟に変える神出鬼没な販売


強者である大きな店は、MIKKE! がやっているようなここまでのきめ細かい対応は難しいでしょう。

顧客接点での理解からのマーケティング

マーケティングの観点で MIKKE! から学べるのは、お客さんとの直接の接点をつくりにいく重要性です。

確かに、自社とお客さん (エンドユーザー) の間に販売代理店を入れることで、効率良く販売ができます。一方で、お客さんとは間接的にしか接することができないので、お客さんのことについて解像度が粗く、顧客理解が浅くなってしまいます。

意図を持ってお客さんとの直接の接点をつくり、顧客理解を深めることが大事です。

MIKKE! は詳細な顧客データ (顧客の嗜好や購買行動) を取り、移動販売プランに活かしていました。

直接の顧客接点からお客さんのことを深く理解し、マーケティングや販売に活かしている事例として MIKKE! は興味深いです。

まとめ

今回は移動車販売の MIKKE! を取り上げ、戦略やマーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。


移動車販売 MIKKE! の 「弱者の戦略」 

  • 局地戦: 移動車で出店エリアのポイントを絞って展開

  • 接近戦: お客さんの方に出向き直接会いに行く

  • ゲリラ戦: 出店場所や曜日・時間を柔軟に変える神出鬼没な販売


顧客理解とマーケティング

  • お客さんとの直接の接点をつくり、顧客理解を深めることが大事

  • 直接の顧客接点からお客さんのことを深く理解し、マーケティングや販売に活かそう



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