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マーケターは変化を捉えよ!アース製薬に学ぶ、新しい現実と新しい問題に対応する方法

生活者の環境は日々変化しており、それに伴い新たな問題も生じています。マーケターは変化に対してどう向き合い、いかに対応すればいいのでしょうか?

今回は、アース製薬の事例を通じて、新しい現実と新しい問題にどのように対処すべきかを見ていきます。


アース製薬が商品を再定義

取り上げる事例はアース製薬です。

以下は関連記事からの引用です。

川端克宜社長が 「人類の歴史は害虫との戦いの繰り返し」 と評するように、ごきぶりホイホイが重ねてきた50年もまた同社とゴキブリとの戦いの歴史を物語る。

(中略)

一方で同商品の発売から半世紀が経過し日本の住宅事情は大きく改善。「不快な虫の活動自体が減っているわけではないが、気密性の向上などで家の中で虫を目撃することが少なくなった」 (川端社長) 。

(中略)

川端社長は 「虫を見かける機会が減ることによる危機感はあった」 と話す。

日経 2023.3.29

こうした状況から、アース製薬が2017年に打ち出したコンセプトが 「虫ケア」 です。アースジェットなどに代表される虫を殺す 「殺虫剤」 という概念から転換し、嫌な虫を見ないように予防するための商品として再定義したのです。

先ほどの記事から引用すると、

虫との遭遇を予防する商品として再定義した。虫を見かける機会が減った分、虫にひとたび遭遇したときの衝撃は相対的に大きくなった。「『 (虫を) 1匹でも見ないようにしよう』ということになる」 (川端社長)

日経 2023.3.29

再定義された虫との遭遇を予防する商品例はこちらの2つです。

イヤな虫 ゼロデナイト (出典: アース製薬
マモルーム (出典: PR TIMES

川端社長が近年の虫ケアトレンドを象徴する商品として挙げるのが22年発売の 「イヤな虫 ゼロデナイト」 や 「マモルーム」 だ。いずれも空間にスプレー噴射したり、継続的に薬剤を拡散したりして室内の害虫をまとめて駆除する商品だ。マモルームは室内への害虫の侵入も防ぐ。

日経 2023.3.29

では一度ここまでをまとめておきます。

  • 不快な虫の活動自体が減っているわけではないが、日本の住宅事情は改善され、気密性の向上などで家の中で虫を目撃することが少なくなった

  • アース製薬は 「虫ケア」 というコンセプトを新しく打ち出し、従来の 「殺虫剤」 から 「嫌な虫を見ないように予防するための商品」 として再定義

  • 新たに発売された商品 「イヤな虫 ゼロデナイト」 や 「マモルーム」 は、空間にスプレー噴射や継続的な薬剤拡散により室内の害虫をまとめて駆除し、室内への害虫の侵入も防ぐ

学べること

ではアース製薬の事例から学べることを掘り下げていきましょう。

新しい現実と新しい問題

生活者を取り巻く環境は常に変わり続け、その環境の変化によって問題もその都度新しく生じます。

ビジネスの成功のカギは、「新しい現実」 における 「新しい問題」 をいかに見極め、お客さんよりも先回りして課題感に気づき対応することです。そして、新しい問題を解決する方法を見出し、価値と思ってもらえる提案を行います。

アース製薬の問題設定と解決策

アース製薬の場合、住居環境の変化によって生じる問題 (発生頻度が低いからこその虫との遭遇時のショックの大きさ) に着目しました。

解決策として予防する商品を提案し、商品が室内全体を一年中予防することで、安心して過ごせる価値を消費者に提供しています。

整理をすると、

  • 現実: 住居環境の変化

  • 問題: 虫を見てしまった時の大きいショック

  • 解決: 予防する商品。室内全体、一年中予防する

  • 価値: 殺すのではなくそもそも見ないようにする。安心して過ごせる

マーケティングの役割

アース製薬の事例から学べるのは、変化を察知し、適応し続けることの重要性です。

お客さんの理解から価値提供につなげることがマーケティングの役割です。

そのためには、お客さんの置かれた環境や状況、行動、その行動の背後にある心理や価値観を理解することが大切です。こうした顧客理解から求められるニーズを見極め、価値提案へつなげることで、マーケティングの成功が生まれるのです。

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