スペシャルコース
「おーい、そろそろ夕飯ができるぞー」
ルーカスが声を上げ、手を拭きながら表に出てきた。
「あら!じゃあ、今日はここまでにして、お風呂に入って汗を流しましょう!」
マヤはぽんと手を打って機嫌よく声をかけた。
オリビアとブレンダはその声を聞いてその場にへたり込んだ。
「あの子達なかなか筋が良いじゃない?
マヤのスペシャルコースであれだけついてこられるのだから、なかなかのものだわね」
お稽古を見学していたミケが、オリビアとブレンダの様子を見に出てきたユウキに向かって言った。
「そうか、それは何よりだな。で、なにをどこまでやったんだ?」
それを聞いたルーカスは、駆け寄ってきたマヤに向かって言った。
「ん〜、基礎の基礎ね、魔法の行使の基礎。つまりそれぞれを司る精霊との対話の方法のおさらいとイメージの具現、魔力効率についてってところね、ほとんど座学よ〜」
マヤは答えた。
「……座学であんなにボロボロにはならないだろう……」
ユウキは聞こえるか聞こえないかの声でつぶやきながら、オリビアとブレンダの方へ向かった。
ユウキはへたり込む二人に声をかけて、風呂場へ案内をした。
風呂場にはケイトリンが先にいて、オリビア、ブレンダとマヤも一緒に汗を流した。
「うふふ〜、みんなぴっちぴちね〜、羨ましいわ〜」
「そんな、マヤ様こそみずみずしいお肌で羨ましいです、なにか秘訣が?」
などと、マヤとブレンダは意気投合をしたようだ。
「お先にいただいてしまって申し訳ありません、いい湯でした。魔王国にもあのような立派なお風呂はありません。ありがとうございました」
髪の毛にタオルを巻いたオリビアは、ユウキのそばに来て言った。
「あ、ああ、じいちゃんが、どうにも風呂にこだわっててさ、『風呂は命の選択だ〜』なんて言って、何を選ぶんだかよくわかんないんだけど、とにかくじいちゃんこだわりの風呂なんだよ」
ユウキは料理を運ぶルーカスを見て言った。
「ところで、ユウくんはいつもあんな修練を積んでいるのですか?」
オリビアにそう聞かれて、ユウキはオリビアの方をなんとなく向いた。
「あ、ああ、まぁ座学の場合は、だいたいその後に実戦して、そのあとじいちゃんと剣の鍛錬をして、最後に二人同時に相手してその日やったことの復習をするみたいな感じかなぁ」
湯上りで頰を染めるオリビアに目を向けたユウキは、すぐに目をそらし頰を指でかきながら答えた。
「なんと!アレの後に剣の鍛錬ですか……」
ブレンダが驚きの声をあげる。
「ああ、そうだな、明日は私も二人に剣の稽古をつけよう、そうだな1週間くらいでだいぶ良くなるだろう。オリビアちゃんは剣は使わないみたいだから、護身の体術が良いな、それよりも早くしないとせっかくの料理が冷めてしまうぞ!」
いつの間に話を聞いていたのかルーカスが声をかけた。
「シャー!しれっとユウくんなんて呼んで、聞き逃さないんだからねぇ!なれなれしいのよ!!!」
何故かミケがジタバタしていた。
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