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画の呼吸、一の型「気韻生動」図画見聞詩

図画見聞詩(とがけんもんし)とは郭若嘘(かくじゃくきょ)が292名の画家の伝記を纏めたもの。

中国最初の画史、張彦遠(ちょうげんえん)「歴代名画記」が841年まで扱っている事から、その年から1074年までの絵画史を綴っている。
図画見聞詩は全6巻で1巻「叙論」では16事項について論じ、2巻から4巻は「紀芸」では唐末~北宋後期までの期間の292名の画家の略伝を記している。
5巻では「故事拾遺」、6巻では「近事」として様々な逸話を紹介している。
この事から図画見聞詩は唐末から北宋時代後期までの期間の最も纏まった絵画史である。

■この書の重要な概念
「気韻生動」
対象のもつ生命や精神を描く事を意味している「気韻生動」を、画家自身の精神を投影して描く事が重要というように、描き手の精神が重要というように転換している。
中国の絵画史は北宋時代以降、技巧に優れた職業画家と精神性の表現を追求した文人画家がそれぞれ芸術を重ねていく。
図画見聞詩は後者の文人画を理解するうえで重要な文献である。

「論三家山水」は五代から北宋時代中期にかけて活躍した山水画家について述べたもの。
この時代は山水画が急速に発展して、それまでの人物画に変わって絵画史を牽引しつつあった。
本論は山水画の原動力になった三家の画風の特徴と画壇への影響について述べている。

■画の六法
①気韻生動(きいんせいどう)
②骨法用筆(こっぽうようひつ)
③応物像形(おうぶつしょうけい)
④随類賦彩(ずいるいふさい)
⑤経営位置
⑥伝模移写(でんもいしゃ)

②~⑥については学べても、①の気韻については生まれながら身についている能力で、技巧や細工を極めたからといって会得出来るものではない。
当然、歳月をかけたからと言って到達出来る訳でもない。
心が悟り、知らずしてその状態に達する。
人品がすでに高ければ気韻が高い訳で、気韻がすでに高ければ生動しない訳がないという事である。
画というのは気韻をめぐらせてこそ世の宝とされるのであって、そうでなければ画といっも本当の画とはみなせない。
生まれながらの英知による精神の発露は継承する事が出来ないのである。

画の呼吸、一の型「気韻生動」は継承する事の出来ない奥義なのである。


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