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変わらないフォロワーシップ

先週の金曜日のこと。
市が運営するごみ銀行でおしゃべりしてた時のこと。

つばさ!動画を作れるか?日本人なんだから作れるだろ?
ごみ銀行の紹介動画を作って、再来週にある子供の日のイベントの時に流そう!俺たちも手伝うからやってくれ!
カメラは俺が持ってるから来週持ってくる。
ソニーのカメラだから、日本人なんだから使い方分かるだろ?

突然結構な勢いでそんなことを言われる。
日本人だから出来る、みたいな言われ方は本当に調子のいい時にだけ使われるけど、とりあえずはそれは一旦置いておく。


ちゃんとした動画なんて作ったことない。
昔からテレビっ子でドラマもバラエティーも好きだけど、
それは作り手としての視点ではないし。
仕事で簡単な動画を作ることがあって、
流れを考えたり、色々意見を言ったりはしたこともあるけど、、
撮影・編集はデザイナーさんがやってくれた。
作った記憶と言えば友達との旅行中とかに遊びで作ってケラケラ笑いあったくらい。


動画作りの知識もなければ経験もない。
作れる自信なんて少しもなかった。
期限は1週間ときた。じっくり勉強している時間もない。
しかもここはインドネシア。言葉が満足に通じない。
こういうシーンを取りたい、こういう風にしてとか、
そんなディレクションも細かくは出来ない。

そして目的も、ターゲットもいまいち理解出来ない。
何より多分そんな紹介動画なんてネットで検索すればゴロゴロ転がってるし、
改めて作る意味も良く分からない。
もし日本で仕事をしていて、クライアントにこんなこと言われたら
営業でも「お金もったいないから作る必要ないんじゃないですか?」って多分言うと思うくらい。

不安と謎がぐるぐる。



半分勢いに押されたのもあったけど、やることにした。


そもそも1週間前になってそんな話が出てくるってことは
多分作る予定なんてなかったんだろう。
予算も多分ついてない。
たまたまちょうどよく暇そうな俺を見て言っただけ。
頼られている訳でも、期待されている訳でもない。
多分使うのはそのイベントの1日だけだろうし、
誰かに教える(技術移転をする)訳でもないから、
それが終われば、そして俺が帰国すれば何も残らない。
そして何よりそれが必要とは思えなかったりする。



でもこの話をされた時にまず思ったことは、
やるべきことが出来る!
ということ。


毎日何をしていいか分からず、何が出来るかも分からずふらふらしている日々で、
これをやればいい!というものが出来ることがすごく嬉しかった。
それが何の意味があるかなんて関係ない。
ただやるべきことがあるのを幸せに思う。



そんな時にふと思い出した。
昔からそういう性格だったこと。

学生の頃から、社会人になっても、
やりたいことも、やるべきだと思うこともなかった。
会社で期の方針を作っても、
「これをやりたい!という想いが感じられない。
 現状の延長線上でしか考えていないからつまらない。」
思うと6年間そんなことをずっと先輩からは言われていた。
何事においても圧倒的に想いが足りない。情熱が足りない。
そんなものをいつだったか、どこかに置き忘れてきたんだろう。


でもその分、言われたこと、与えられた仕事はしっかりやる。
ちゃんと想いをくみ取って、誰かの想いを実現する手伝いをするのが好き。
良く言えば視野は結構広い方。悪く言えば周りを気にしすぎる方。
だからきっとすごく批判に弱い。
誰かが決めてくれたことをやることがちょうど良かった。
つくづくリーダーには向かない。リーダーをフォローする立ち位置がちょうどいい。
圧倒的なフォロワーシップ。


青年海外協力隊の活動では、この性格は不向き。
だってやるべきことなんて一つもないんだもん。
こうあるべき、こうしたいを考えて、それを実行するだけ。


でもそうだった。
自分でやるべきだと思ったこと、やりたいことを見つけて
実現出来なくても、失敗したとしてもそれをちゃんと実行に移して、
それが正解じゃなかったとしても、自分でそれを正解に出来る様な
そんな人間になれるかも、協力隊に参加した一つの目標だった。

そんなことにもはっと思い出したりした。



それ以外にも良く考えると、
日本人以外にも何か口に出してもらえる特徴が欲しかったし、
この機会に動画作る経験が出来たらそれはそれで面白いか!とか
今後授業とかやることになったら使おう!とか
仕組みをより深く理解するいい機会じゃん!とか
前向きに捉えると結構いいかな、なんて。

それでも絵コンテ作ってもろくにチェックしてくれないし、
途中経過見せても具体的な指摘は一切ないばかりか、
英語版と日本語版も作れとか、あれもこれもとどんどん要求ばかり高くなるし、
結局全然助けてくれないしで
毎日の様にイライラするし、何でこんなことやってるんだろうと思ったり。
でも興味ないってことは、何しても文句言わないってことだよね?って思い直しても、
でもきっとギリギリになって注文とか付けられるんだろうな、ここの人達のことだから。
そんな風にプラスとマイナスを繰り返す。


やっぱり今やるべきことがあるというのは
不安とか焦りとか無力感とか切なさとか、
そういう色々を忘れられるからいい。

きっといつまでも変わらないフォロワーシップ。


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