恋ってなに?
恋をしているときがいちばん幸せ。
彼がいるだけで世界が違って見える。
生きていてこんなことなかった。
何も話さなくてもいい。
ただ、同じ空間にいるだけでとても幸せだった。
最初はなんとも思わなかった。
だけど、いつしか彼のことを気にするようになっていた。
今日会えないと思うと一日が少しブルーに感じる。
だけど今日会えると思うとそれだけで一日がハッピーになる。
彼が来る時間が近づくとそわそわし始める。
「もう少しで来る」と思うと胸が高鳴ってだんだんと期待が高まる。
彼の声が聞こえてようやく「来た!」と思う。
今日こそはぜったいに言おうと決めていた。
「髪切ったんですね。格好いいですね」って。
ただ、それだけのことなのに。
頭の中ではいっぱいシミュレーションしてきたのに。
いざ本番になると結局言えなくてふつうに「おはようございます」とだけ言った。
彼に話しかけられると嬉しくてドキドキする。
なのに、いつも戸惑ってしまってうまく答えられない。
ほんとうは笑顔で答えたいのにいつも淡々と答えてしまう。
ほんとうはいっぱい話したいことがあるのに勇気がなくて聞けない。
だけど、それだけでも今日はいつも以上に話せた。
それだけで幸せだった。
今日はいつもより近くに彼を感じた。
今日はいつもより彼とそばにいた。
だけど、次の日は彼が別の女性と楽しそうに話していた。
わたしよりも楽しそうに話していた。
それだけで、わたしの心はすごく落ち込んだ。
昨日はすごく幸せだったのに今日はものすごくイヤな気分だった。
ある日、彼が声をかけてきてくれた。
「それ取ってください」と頼まれた。
わたしは彼にそれを渡した。
彼の指先がわたしの指に触れる。一瞬。
それだけで、わたしの胸は高鳴った。
でもお互い平然な態度。
幸せってこうゆうこと。
好きってこうゆうこと。
ちょっとしたことで嫉妬して、ちょっとしたことで喜んで。
だけど、そのちょっとしたことがわたしにとってものすごく幸せだった。
「お疲れ様でした」
お互い、最後に交わした言葉。
今までで言ってきた「お疲れ様」の中でいちばん丁寧だった。
最後くらい何か言えばいいのに、お互い何も言わない。
これがほんとうの最後で、最後にしては驚くほど呆気なかった。
だけど、彼と過ごした甘酸っぱい時間はとても幸せだった。
もう彼はいない。
また、元に戻っただけ。
彼のいない世界は、味気ない、いつもの日常だった。
片思いってね、すごく幸せなんだよ。
だって・・・
残酷な結末を知ることはないから。
あなたは、恋、してますか?
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