ルポトー横キッズ~プロローグ~
『はじめに』
自殺、OD、違法薬物、ホスト、キャバクラ、売春。
欲にまみれる繁華街。新宿・歌舞伎町
そんな街で、僕は2年間酒に溺れていたのかもしれない。
歌舞伎町で過ごした2年間をここに記録して置こうと思います。
新宿東口を出てまっすぐ行くと、
ギラギラしたネオンが並び、居酒屋から夜のお店まで多種多様な人々が行き交う街。
『歌舞伎町』があります。
これは、何かと話題にあがる、『トー横』や『歌舞伎町』に2年ほど通い詰めて、様々な人々と関わり、経験したことをまとめたノートです。
これを読むだけでトー横や歌舞伎町についてのことはある程度知れると思います。
トー横界隈について
僕の体験談を綴る前に、予備知識として、歌舞伎町『トー横』について解説します。
・トー横とは
東京の新宿、歌舞伎町には、屋上に居るゴジラで有名な映画館が入っている『TOHOビル』が建っています。
そのTOHOビルの横に、TOHOビル横、
通称『トー横』と呼ばれてる道があります。
・トー横キッズとは
『トー横』へ行ってみると、見た目が若く地雷系と呼ばれるファッションやドンキホーテで売っているジャージやドンペングッズを身にまとった子供達がいます。
トー横に集まっている12歳から21歳ほどの若者、これが『トー横キッズ』です。
トー横キッズは、Twitterのハッシュタグを通じて集まっています。
2018年頃から「#自撮り界隈」「#トー横界隈」などとつけて今度歌舞伎町へ一緒に行ける人!と、一緒に行ける仲間を探して待ち合わせ感覚で集まりだしたのが始まりです。
トー横キッズは、集まってストロングゼロを片手にタバコを吸って雑談をしたり、Tiktokや写真を撮影するのが基本です。
中には、路上でリストカットを始めたり、飲み過ぎで急性アルコール中毒や、ブロンやキンパブなどの市販薬の過剰摂取で倒れる者も居ます。
このトー横界隈の多くは、学校にうまく馴染めない子だったり、家庭に事情があり、家出をしてきた子供です。
家庭に事情があるとは言え、虐待が全てではなく、お金持ちの家庭だが厳しすぎたり親が過保護すぎるという理由の子も居ます。
基本的に、何か問題を抱えている子供が集まっているため、お互いに支え合い、共感し合うため、仲間意識は非常に高いです。
・家出をしてきた子供たちはどのように暮らしているのか。
家出の子供たちは、ネットカフェやビジネスホテルを拠点に1部屋を1人分の料金で取り、そこへ5,6人で泊まっています。
もちろんいくつかのホテルは、無断で複数人で泊まっていることがバレて、出禁になり、次のホテルへ移動を繰り返しています。
・生活費は、どのようにしているか。
男の子は、バーテンやコンカフェで働いているものも居るが、
周りに居る女の子の貢ぎによって生活するヒモやホストのような男が多い。
界隈で人気のある子は、TiktokやTwitterを通じて地方からもお金を貢ぎにくる女の子が居るほどです。
僕も何回か、札束を広げている者、稼いできたお金を貢いでいる女の子を見かけたことがあります。
また最初は少なかったが、徐々に万引きや当たり屋、恐喝をしているグループが現れてきました。
わざと人に当たって喧嘩を売り、相手が攻撃してきたところで警察へ突き出して示談金で稼ぐ者。
あえて弱そうなサラリーマンなどをターゲットとし、因縁をつけて人目の少ない場所へ連れて行って集団で暴行を加えるなどをしてお金を奪う。
暴力的な少年達がメインの半グレ集団もトー横キッズから派生して生まれてきています。
女の子は、バイトをしているものが居るが、年齢などの関係でバイトができなかったりする中で、案件と呼ばれる援助交際などで売春を行っている者が多数います。
体だけは売れないと答える友達のために、体を売って共に生活する者など生きるために体を売っている。
周りがみんなやっているからという理由で罪の意識や抵抗が少なく、売春やパパ活に簡単に手を染める者が多いです。
・シネシティ広場
TOHOビル横のトー横がある通りの反対側に、「シネシティ広場」と呼ばれる広場があります。
ここは、元々一般人や大学生、ホームレス、観光客などが集まって飲み会をしていました。
僕が訪れた当初、トー横と広場は別でした。
しかしトー横で数々の事件が起き、社会的に問題視され始めたことにより、2021年の夏後半ごろからトー横の私服警官による見回りや警備が厳しくなり、キッズ達が座っていた植え込みには、ゴム状のトゲ付きのシートが置かれるようになりました。
自由に集まれたトー横が段々と厳しくなっていったことにより、トー横キッズたちは次に広場へと集まるようになっていきました。
最近は、トー横の通りとシネシティ広場を含むTOHOビル周りの総称が
『トー横』となっています。
僕は、ある意味、家出の少年少女で構成された村のようでもあり、日本のストリートチルドレンだとも思います。
居場所のない子供たちの行き着く場所で、児童相談所などが本来の居場所なのかもしれないが、児童相談所は環境があまり良くなく、自由が少ないため、トー横が自分の居場所だと答える子供たちが多い。
そんな少年少女が集まってできた世界が
『トー横界隈』なのです。
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