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「ガブリエル・シャネル展」で、シャネルの魅力に触れる

三菱一号館美術館で開催中の「ガブリエル・シャネル展」に行ってきました。
20世紀で最も影響力のある女性デザイナーであるガブリエル・シャネルの回顧展は、日本での開催は32年ぶりなのだとか。



シャネルの作品の回顧展

今回の展示は、シャネルの作品の回顧展なので、作品は基本、年代順の展示となります。
「貴重な作品と資料により、シンプル、シック、エレガントが体感できる展覧会」と紹介されていますが、展示された作品を見ていると、どれも古くささが感じられないのが不思議でした。それでいて、一目で「シャネル」だとわかります。

着ている人が、体を痛めつけたり窮屈な思いをすることがなく着ることができる動きやすい服。そのために、従来は下着に使われていたジャージー素材を使ったり、軽い素材を使ったり。余計な装飾が少なく、シンプル。
それでいて、女性らしく、エレガントで美しい雰囲気は失わない。
シャネル自身の哲学というものが、作品の一つひとつに表現されているように思いました。

「リトル・ブラック・ドレス」に代表される黒いドレス。
解説によると、「黒い服」は使用人が着る服の色だったのだとか。そんな黒をシルク、サテン、チュール、クレープなどの異なる素材やレースなどを組み合わせて使うことによって生み出されたエレガントでシックなドレスたち。

シャネルを代表するツイード素材のスーツも、実は芯地、ショルダーパッド、ダーツがなく、それでいて、ラインは柔らかな曲線を描いています。
きちんとした中にも女性らしさがあり、しかも動きやすく、実用的なポケットもついている。
実は、シャネルスーツは素敵だけれど、何となく堅苦しいイメージを持っていたのですが、今回、展示された作品を見て、その柔らかさと女性らしいシルエットを感じることができました。シャネルスーツの人気の秘密がわかりました。

2階の廊下からの風景

三菱一号館美術館のクラシカルな雰囲気に、シャネルのドレスやスーツがマッチしている点も良かったと思います。


バッグ、靴にも気配りポイントが!

シャネルのバッグと靴も、一目で「シャネル!」とわかる特徴があります。

1955年2月に発表されたことから「2.55バッグ」と名付けられたバッグ。その日の状況に応じて使い分けができるよう3種類のサイズがあります。
特徴的なチェーンのショルダーストラップは、金属の擦れる音を押さえるために革紐が編みこまれているのだとか。
バッグの内側は、中身を見つけやすくするために羊革や赤い裏地で、たくさんのポケットや口紅専用の仕切りもつけられているそうです。

シャネルの靴と言えば、つま先が黒いベージュの靴。
ベージュの色には脚を長く見せる効果があり、つま先の黒色は経年劣化による傷から守るだけではなく、足をより小さく見せる効果があるのだとか。ヒールの高さなども、履き心地と自由な動きを約束するように計算されたもの。

バッグ、靴とも、シャネルのドレスや服に似合うんは当然ですが、そこまで細かい工夫がされていることまでは知りませんでした。


シャネルを代表する香り、No.5

「ガブリエル・シャネル展」を見て、改めて、シャネルの服やバッグ、靴の魅力を知ることができました。ただ、私にとっては縁のない、憧れの存在なのかもしれないな、と思い知らされた感じもあります。展示品を見ながら、
「素敵だけれど、おそらく自分は着こなせないな。」
と思いました。

一方で、シャネルの香りは何度か使っていたことがあります。何よりも、シンプルなボトルがおしゃれだと思います。
No.5のボトルの展示もありましたが、最初の頃からマイナーチェンジはあるけれど、一見しただけではわからないかもしれません。あのボトルを見ただけで、
「シャネルの香水!」
とわかるのはすごいと思います。

No.19は叔母からもらって使いました。チャンスはどれかは忘れましたが、使ったことがあったような? ガブリエルも使っていました。
ただ、甘い香りが苦手なため、No.5は使ったことがありません。出口でNo.5のサンプルをいただきましたが、展覧会の後で参加したイベントで、知り合いに譲りました。

いただいたサンプルを三菱一号館美術館前のベンチで記念撮影。
シャネルのショッピングバッグもモノトーンで素敵だと思います。

なお、サンプルは数量限定。8月はガブリエル・シャネルの誕生日である8月19日から行うようです。(私が「ガブリエル・シャネル展」に行ったのは、7月下旬です。)


音声ガイドはスマホで

『ガブリエル・シャネル展』では、宮沢氷魚さんがナビゲーターの音声ガイドを無料で利用することができます。
ただし、利用するにあたっては、スマートフォンかタブレットに「三菱一号館美術館音声ガイドアプリ」をダウンロードし、会場ではイヤホンで聞くことになります。

「展示室内は通信環境が不安定です。展示室に入る前にダウンロードください。」という案内があったので入口でアプリをダウンロードして使いましたが、ダウンロードは自宅でもできます。
これから「ガブリエル・シャネル展」に行かれる方は、事前にアプリをダウンロードし、イヤホンを持って行かれることをお勧めします。

音声ガイドは何回も聞くことができますし、自宅でも聞くことができました。


図録も購入しました

展示を見終わって、ミュージアムショップ「Store 1894」へ。
ポストカードとか、クリアファイルとか、「ガブリエル・シャネル展」のオリジナルグッズもありましたが、店内をぐるぐると見て回った結果、図録を購入しました。

ショップの方から
「気をつけてお持ちください。」
と言われたのに、持ち歩いているうちにどこかにぶつけてしまったのか、帰宅した時には、背の上部に跡がついていました……。

図録には、より詳しい解説もあるので、ゆっくり楽しもうと思っています。


32年前の展覧会にも、行っていました

「シャネルの展覧会、行ったことがことがあるような?」と思ったら、1990年11月~12月に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「マドモアゼル・シャネル」展に行っていました。(自宅に、展覧会の図録がありました。)

左が「ガブリエル・シャネル展」の図録。
右が、1990年に行われた「マドモアゼル・シャネル」展の図録。
「マドモアゼル・シャネル展」の図録は、日焼けや汚れが目立ちます……。

「マドモアゼル・シャネル」展は、今回と同じく、シャネルの生涯を回顧する内容だったと思いますが、「カンボン通り31番地のアパルトマンの部屋」が再現されていて、その中に展示品が並べられていたように思います。

2つの展示を見て、改めて、学芸員の方の、展覧会場をどう作るか・見せるかも含めて、キュレーション力はすごいな、と思いました。(もちろん、30年以上前の記憶は曖昧ですが……。)

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