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【読書日記】『育休刑事』

『戦力外捜査官』シリーズで知られる似鳥鶏さんの新刊『育休刑事』を読みました。

『育休刑事』は、育児休暇中の男性警察官が、子供を連れて出かけた先で事件に巻き込まれるという話。主人公の秋月春風が、家事に子育てに奮闘する様子が描かれている。

男性も育児休暇を取るようにといわれているが、現実には、育休から復帰後に配置転換があったり、不本意な転勤を命じられる「パタハラ」も起きている。民間でも風当たりが強いのだから、警察官や公務員は、さらに育休は取りにくいかもしれない。実際『育休刑事』のなかでも、育児休暇を取ろうとするなら「税金で給料をもらっているくせ」にといわれると書いてある。男性の育児休暇は、周囲の理解や協力が必要だ。そういう意味では、秋月は恵まれているのだろう。

私は、子育てというものをしたことがないから、想像になってしまうのだが、育児休暇中の秋月が感じることは、多くの育児をしている女性が思っていることなのかもしれない。『育休刑事』では、ワンオペ育児や虐待、そして女性のキャリアについて、秋月という男性の目を通して描かれていく。

先日、スワローズのバレンティン選手が、奥さんの出産に立ち会うため、アメリカに一時帰国したことが話題になった。日本でも、立ち会い出産をする人は増えていると思うが、それでも「羨ましい」という意見があった。

男性の育児休暇や外国人選手の出産立ち会いがニュースになるのではなく、当たり前のことになれば、世の中はもっと変わるのかもしれない。この『育休刑事』は、似鳥さんのファンだけでなく色々な人に読んでもらいたいです。

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