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【読書日記】想像力が問われる?ブレイディみかこ『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』

すごい難しかったというのが、感想です。

『ぼくはイエローでホワイトで時々ブルー』のなかに登場したのが、他者の靴を履くという表現。

初めて聞く言葉は、印象が残ったし、作品のイメージを作ったといえます。

「他者の靴を履く」「エンパシー」とは、何ぞやと考えさせられるのが、ブレイディ みかこさんの『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ 』です。

ぼくイエの感覚で読んだら、全く別物だった

ブレイディさんの本は、ぼくイエこと『ぼくはイエローでホワイトで時々ブルー』と『ワイルドサイドをほっつき歩け』を読んでいて、イギリスの新たな一面を知ることができました。

私は、ぼくイエの後日談みたいな感じなのかなと思って読んだら、全く違いました。

ぼくイエの中に登場した「エンパシー」という言葉が、独り歩きしていったことから、掘り下げて書こうというのが著者の考えみたいです。

エンパシーから読み解く世界は、複雑で、かなり難解でありながら、自分の身近な世界が書かれていました。

エンパシーとは、本当に共感するだけなのだろうか?

コミュニケーション能力に必要なもののひとつが「共感力」といわれます。現代社会は、人の気持ちが理解できる、寄り添えることが強調されている部分がありますよね?

大事なことではあるけれど、共感や寄り添うことばかり強調されると「うっせぇわ」と言いたくなることも。

エンパシーを日本語訳にすると「共感」となります。

おなじく共感の意味を持つ言葉には「シンパシー」もあると著者は書いています。

似ていて、使い方を間違えてしまいそうな2つの言葉。エンパシーのつもりで使っていても、実はシンパシーだったりすることもあるのではないでしょうか?

私はこの本を読んでいて、エンパシーとは本当に共感をするだけなのだろうかと考えてしまいました。

他者の靴を履くという意味は?

ぼくイエを読んだ人ならご存知のように、他者の靴を履くというのは、著者の息子が、授業で「エンパシーとは何か」と聞かれた際に答えた言葉です。

最初は相手を思いやる、寄り添うことなのかなと思いましたが、それだけではないみたいです。

共感するだけではなく、自分の意見を述べる、その上で相手のことを尊重することなのではないでしょうか?

8月15日を前にして著者がNHKのニュースのインタビューのなかで、日本は本音が言いにくい社会になっていないかと言っていました。

これは、大日本婦人会などが誕生して、女性を戦争に向かわせた理由は何だろうということから、言われたことですが。

「本音」というと「???」という感じになりますが、私は自分の意見や考えを言うということなのかなと解釈しました。

みんなが同じ方向に向かっている時に「違う」ということや疑問に感じていることを言うのは難しいことです。

もやっとすることがあったら、まずは言葉にしてみることは大事なことなのではないでしょうか?

他者の靴を履くとは、もっと想像力を持とうということかも知れません。

エンパシーを理解するには、世界で何が起きているか知ることではないか?

暗いニュースが多く、テレビを見ているのも辛くなる時もあります。

流行り病の話題だけでなく、アフガニスタンの問題など国際情勢もニュースで問題定義されていますよね。

来年の冬には北京オリンピックが予定されていますが、飛行機の本数が少なくなっている影響で、重慶で予定していたフィギュアスケートのグランプリシリーズ中国大会が中止になりました。

政治やスポーツ、文化、世界で起きていることを知ることも、エンパシーを理解するのという意味では大切なことではないでしょうか。

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