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15【連載小説】パンと林檎とミルクティー~作家・小川鞠子のフツーな生活日記~

15)次の小説はいつなのか

 「立川園世」と書いて「たちかわそのよ」と読む。
 これが、わたしの次の小説の主人公の名前。
 たぶん40代。更年期障害が出始めるあたりの年齢。
 更年期は、自分が更年期かどうかはっきりわからないからつらい。つらいなら、おそらく更年期障害が出始めているのに、気づかずに無理してしまう。
 主婦とは、そういうもの。専業でも兼業でも、変わらない。

 作家の小川鞠子としては、ミルクティーが好き。ゆっくりしたい時には、牛乳をあたためてロイヤルミルクティーにする。
 立川園世は、もしかしたらコーヒー派かもしれない。
 カル〇イみたいなお洒落な輸入食品店に行って、コーヒー豆を買ってくる。豆のまま買って、自宅で必要な分だけ粉にする。
 
 今日は、細かく粉にして、丁寧におとして飲んでみようかなんて思う。
 疲れを感じていて、気分転換にコーヒーをおとすから。
 ゆっくり丁寧に好きなことをするなんて、贅沢な時間の使い方だ。
 けれど、ゆったり贅沢に過ごしたいときに限って、横やりが入るもので。
 まず、コーヒー豆を買いに行こうと玄関まで出たところで、携帯電話に呼ばれる。スマホの画面に表示されている名前は、いちばん出たくない面倒くさい相手。
 例えば、仲の悪い姑とか。
 例えば、単身赴任で帰ってきたら離婚になるだろう夫とか。
 例えば、面倒でかかわりたくないご近所さん。
 例えば、ゆっくり話したくなっちゃう仕事先の男性(好みの顔)。
 例えば、話してもつまらない舅とか。
 例えば、気が向かないときに限って電話してくる実母。

 気分はコーヒーなので、電話には出るけどさくっと終わらせて家を出る。
 次の横やりは、駅に着いたら電車が出てしまったこと。しかも、安全点検で次の電車はいつくるか未定。
 反対方向の電車はすぐに来たのに。

 やっと来た電車に乗ってお店に着いたら、臨時休業。
 結局反対方向の電車に乗ればよかったって。
 同じチェーン店の別店舗は、めちゃくちゃ混んでてなかなかコーヒー豆が買えない。あきらめて今日は、ドラッグストアで一杯ずつのドリップコーヒーにしようか。

 切り替えやあきらめで、気分転換すると良い方向に変わることもある。
 けど、今日の気分はすんごい凝ったコーヒーが飲みたいのだ。

 立川園世のコーヒーへのこだわりを考えていたら、小川鞠子は紅茶が飲みたくなってきちゃった。
 以前は、ダージリン一筋だったのに、北〇エースでアールグレイのティーバッグを買ったら、思いのほかおいしくて。アールグレイに鞍替えしちゃおうかと思うくらい。

 アールグレイのティーバッグで、今日はストレートティーを入れながら、立川園世だったら、困難に立ち向かって自分の7意志を貫くんじゃないかなあと思った。
 そういう性格なんだよね、きっと、立川園世って。
 こだわりの、好みがはっきりしている、性格。
 一度決めたらゆるがない。

 だがしかしbut。
 そんな立川園世なのに、どうしてもあきらめなきゃならない状況に追い詰められたら、どうするだろう。
 どんな状況が、立川園世のピンチなのか。
 そこから考えて小説を構想する。

 小川鞠子としては、クロワッサンを食べるかたまごサンドにするか迷いながら、そういえば林檎を切らしていたなあと思い出す。

つづく
 
 

 

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