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見た目で判断されるんだよね、って実感した出来事・それ大事って思った話【つれづれに綴る文章】

 表は皮、裏は毛皮というジャケットを5年ローンで買ったのは21歳くらいの頃だったか。ローン支払い完了の頃、ジャケットは気に入らなくてほとんど着ることはなかった。
 それから36年。
 最近、ファッションについてちょっとだけ気にかけるようになった。
 食生活を見直して一変させ、2ヶ月で5キロ体重が落ちた。痩せたというよりやつれたのだが、体は半年前よりも確実に細くなった。
 もしかして、と、高額の毛皮のジャケットをひっぱりだしてきた。そういえば、革を表にしても毛皮を表にしても着られるっていう、リバーシブル仕様だったっけ。今日は、毛皮を内側にして皮を表で。
 ……き、着られた。
 お腹も余裕でボタンがちゃんと閉まる!
 やっぱり、わたし、痩せたんだわーい!

 気分がよくなったので、でかけることにした。
 上り電車に乗っちゃうよっ!
 洋服が入っている引き出しから、ふだんは着ない1枚を引っ張り出して、足の形がぴったり出るレギンスを履いて、ついでに革靴もスリムなタイプでジャケットと同じ色にしてみた。
 バッグも、しまってたひとつをとりだす。ジャケットと靴が濃いブラウンだから、思いっきり個性的な柄のブルーグリーン。このバッグもずいぶんひさしぶりに持っていくなあ。

 今日のわたしは、昨日までとは違う。

 都心の百貨店内の文房具売り場を見に行った。
 万年筆が並んでいるところが大好き。
 特に、中央のショーケースには、お高くて美しい万年筆が並んでいる。ペン先も大事だけれど、軸の美しい装飾もとっても大切よね。

「よろしかったらお出ししますので、お声かけくださいね」

 突然、店員さんから声をかけられた。
 この文具売り場には数回来ているけれど、はじめてだわ、声をかけられるなんて。
 いや、ケースに入っている数十万円の万年筆、買えませんけど?
 買える人に見えたのかな。
 このジャケットのせいで?
 百貨店の店員さんのことだから、もしかしたらこのジャケットの値段を見抜いたのかもしれない。さすがですね。数十万円の万年筆が買える人に見えたのかも?
 作家っぽく見えたのなら光栄です。
 出版した暁には、印税で万年筆を買いにきますわよ。

 百貨店だなあ、と、思った出来事でした。
 過去数回来たときは、確かに安っぽい服で気をつかってない服装でした。それでいいと思ってたから。ああ、美意識低い。
 やっぱり、服装に気を使うって、とっても大事なことでした。
 ファッションに目覚めたわたし、自分で自分をほめてあげよう。
 次に行く時には、作家オーラ全開で参ります。



なんでファッションに目覚めたんだっけっていうきっかけの記事はこれです
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中野谷つばめ
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