―「ウンブリア」ではなく「影」の土 ― ○「アンバー」は暗いもの、殊に「影」を描くのに最適な絵具です。カラヴァッジョやレンブラント、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールたちのように、「キアロスクーロ(chiaroscuro)」つまりは劇的な明暗法を使った絵画を描く場合、黒以外にアンバーをパレットに加えれば、影の表現に幅を持たせることができます。 『ウンブリアの影の土 No.1』でも触れましたが、レンブラントの作品からアンバーが検出されています。 彼の持つパレットにもアンバー
―「琥珀」ではなく「ウンブリア」― ○水彩絵具や油絵絵具に「ローアンバー(raw umber)」という色があります。地味ではありますが、渋く、実に味のある茶色です。これは英語で「生の(raw)」「アンバー(umber)」といった意味です。 美しい褐色を効果的に使ったレンブラントも「アンバー」を使っており、化学調査において彼の作品からアンバーが検出されています。 ○「アンバー」と片仮名にしてしまうと見分けが付きにくくなってしまいますが、この「アンバー(umber)」は、
―「押す」ものではなく「初めのもの」として ― ○前回は、イタリア語としては「インプリ[ミ]トゥーラ」が正しいらしい、というお話をさせて頂きました。 しかし本当に、単なるヴァザーリの文法的なミスだったのでしょうか? ここからは私の仮説です。 ○とりあえず「インプリミトゥーラ(imprimitura)」という言葉の観察を続けてみます。 前回は動詞「インプリメーレ(imprimere)」と、動作性のある名詞を作る接尾辞「トゥーラ(-tura)」とに分けてみました。 ○
―「マ」なのか「ミ」なのか ― ○眠くなるような噺を一席。 西洋絵画の古典的な技法として、絵を描く前にまずイエローオーカーやバーントシエナ、はたまたヴァインブラックと鉛白の混色による灰色等を、画面全体に塗布することがあり、これを英語では「インプリ[マ]トゥーラ(imprimatura)」と呼びます。 ○レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci: 1452- 1519)の未完に終わった『東方三博士の礼拝(Adorazione dei Magi)』では
― ヨーロッパ絵画における下地塗料について ― ○油絵などを描く際の下地塗料として「ジェッソ」があります。この「ジェッソ(gesso)」、本来イタリア語で「石膏」を意味する言葉であり、その昔イタリアの古典の画家たちがテンペラ画や油絵を描く前に、支持体への下地塗料として石膏(硫酸カルシウム)の粉と膠水を混ぜ合わせたものを使っていたことに由来しています。イタリア初期ルネサンスの画家チェンニーノ・ダンドレア・チェンニーニ(Cennino d'Andrea Cennini: c.1
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