スシローの企業分析~銘柄について質問してみた~
つばめ投資顧問では、現在(パイロット運用採用銘柄を中心に)企業分析レポートについて議論を行っています。
議論の目的は、多面的な観点からその企業を深く見つめ、会員の皆さまの学びを深めてもらうことです。
普段からその企業の商品・サービスに触れるなどして、貴重な情報を持たれている方などの意見が加わることによって、どの証券会社にもない「生の声」を反映したレポートとなれば理想的だと考えています。
今回弊社社員元村がレポートしたのは、スシローを運営する【3563】FOOD & LIFE COMPANIES
現在株価はピーク時から大幅に下落しています。
果たしてこの株価水準は買いなのでしょうか?
そのレポートと、FOOD & LIFE COMPANIESに対しての会員様から寄せられた質問及びその回答を紹介してみたいと思います。
※質問文を公開することは会員さまの許可を取っています。
スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)の企業分析
おとり広告問題などがあり、株価がピーク時の半分以下となってしまった「FOOD & LIFE COMPANIES」
今の株価は買いなのでしょうか?
ホルダーは買い増すタイミングなのでしょうか?
元村の結論は。あくまで私ならという条件付きで
「買うべきではない」
「ホルダーでも売ってしまう」
という判断を下しました。
果たしてどのような分析をした上で、そのような結論となったのでしょうか?
詳しくは動画を見て頂きたいと思いますが、この記事でも簡単に分析内容をまとめてみたいと思います。
業績
ご覧の通り業績は、売上高・当期純利益共に過去最高を達成。
しかし当期純利益については
コロナによる時短要請協力金
有利買い付け(自社にとって有利な価格で買い付けをする)
の2つの要因があったことを加味して考えなければいけません。
1店舗あたり売上高
スシローは1店舗あたり売上高が競合のくら寿司、ゼンショーHD(はま寿司)より高い。
⇒客単価が高いということになります。
原価の高い商品のフェア
原価率50%前後でコントロール
ITを活用して顧客情報などを整備
などが要因となっています。
おとり広告
商品やサービスが実際には購入できないにもかかわらず、購入できるかのように表示してしまいました。
対象店舗の9割強で在庫不足により終日提供できない日が1日以上あったほか、販売初日から提供のない店舗もありました。
対象期間である2021年9月~12月には、北海道のウニが大量死、アラスカでの禁漁などネタの供給量自体が減少する事態。
⇒ネタ不足でありながらキャンペーンの宣伝を続けてしまったのです。
仕入れの不安定化
以下のような要因などで仕入れの不安定化が続いており、寿司ネタで勝負するスシローにとって痛手になっています。
生物学的に持続可能なレベルにある水産資源の割合は減少を続けている(資料:国際(連合)食糧農業機関)
日本の魚介率の自給率も減少
中国の買い付け強化
鮮魚の消費者物価指数の上昇
中期経営計画
調達で競合優位性を強化
⇒養殖、お米の収穫などを自社で手掛けるDXで無駄・コストを削減
特色あるリテールブランドを拡大
DXは強みとして生かせるのではないか、一方で養殖は軌道に乗るまで時間がかかりそうです。
利益第一主義?
値上げするタイミングの前で国内のスシローの原価が1.6%改善している。
⇒ネタにお金をかけなくなったのでは?
利益第一主義に陥っていないか?顧客離れが心配です。
既存店売り上げ実績(上期のみ)を比較すると、売り上げ前年比はくら寿司に負けている。
結論 今は買いではない
元村個人としては今は買いではないという結論に達しました。
理由はこれまで述べてきた分析に加えて、下記の理由などからです。
PERが36倍(動画撮影時)と割高
調達を自社でまかなう
⇒時間がかかるホルダーであってもいったん売る
⇒他の割安銘柄に乗り換え(株価が下がっている今、業績が良くて割安な銘柄が多く存在する)
銘柄ディスカッションに参加してみましょう
つばめ投資顧問では、企業分析したレポートに対して自由に質問したり会員様同士でディスカッションできる場が設けられています。
スシローの企業分析に対して、会員様から寄せられた質問の内容(会員さまからnoteに転載する旨の許可はもらっています)の一部を紹介してみたいと思います。
質問 今後買うタイミングが来るとするならば、どのような基準で見ていけばよいでしょうか?
こんにちわ。
スシローの企業分析
興味深く拝見させて頂きました。
元村さんが動画をアップされた後にも、生ビール半額キャンペーンでトラブルが発生してしまいました。
おとり広告に懲りず、今度はおとりキャンペーンか?とSNSでも大炎上してしまいました。
おとり広告問題の際にも、お詫び文に「多くのお客様からお問い合わせや、がんばれといった応援のご連絡を頂いています」などの空気を読んでいない文面を出したことで、反省の色なしなどと言われていました。
株価はさらに下落を続け、現時点で2,100円~2,200円となっています。
私自身もスシローは好きなお店の一つで応援はしていきたいのですが、このような企業体質は簡単には変わらないのでしょうか?
また今後買うタイミングが来るとするならば、どのような基準で見ていけばよいでしょうか?
最後に(関係ないですが)隠れスシローがバレて、どのようになったのでしょうか?
自分自身同じ隠れ回転寿司する仲間として気になりました(笑)
回答 私なら当面買いの検討はしません
ご質問ありがとうございます。
私は、企業体質は経営者が本気にならないと変わらないと考えています。
とある本で読んだ内容です。
日本航空の再建に向け稲森和夫氏が就任した2010年当初は、大半の社員が自部署の正義を主張し、他部署の批判をする状態だったと言います。稲森氏は最初の数か月間は四面楚歌で、それでも根気強くフィロソフィ教育を続け、再建に至りました。
幹部社員の心のコップが上向きになるまで、経営の神様と呼ばれる稲森氏ですら弱気になることもあり、体調を崩すこともあったようです。
その位、企業体質を変えるには労力を要するということだと思います。
スシロー(3563F&LC)ですが、私なら当面買いの検討はしません。
ガバナンスに不安のある企業は、巨大なほころびが表に出てくるリスクが大きいからです。
現代はVUCA時代とよく言いますが、だからこそ現代の経営は「企業目的」を明確にし社員が理解する必要があります。
スシローを分析した印象は、企業目的が利益重視の方向性にズレている可能性がある、ということです。利益重視偏重となると、社内ガバナンスが効きにくくなる場面が生じることは容易に想像できます。
スシローの内情はわからない部分も多いですが、内部に爆弾を抱えている可能性のある企業に投資をしようとは思いません。他にも沢山ある素晴らしい企業に投資をしたいと考えます。
隠れスシローは家族が私の動画を見てからというものの、100回以上のツッコミを受けました。。家内の心中で「罪」から「いじりネタ」へと消化してくれていることを願っています。
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つばめ投資顧問の会員サイトでは、スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)のようにアナリストが企業分析した銘柄が50近く閲覧可能となっています。
会員様であれば、その銘柄についてのディスカッションをすることができます。
今回の記事のように分析したアナリストに質問することも可能ですし、会員同士で議論し企業に対しての理解を深めることもできます。
現在会員サイトではパイロット運用採用銘柄を中心に、大変議論が盛り上がっております。
議論の中で様々な意見を目にする中で、自分の中で答えを持った状態で投資すれば、どのような結果になったとしてもそれに納得することができるでしょう。
そこでの反省を活かしてより良い銘柄や投資法を探すようになれば、まさに一生モノの投資スキルが身につくことになるはずです。
また「具体的にこの銘柄に関してアナリストに質問してみたい」という人に対しては、個別の銘柄相談(有料)もございます。
実際に質問してみた記事もございますので、ぜひ参考にしてみてください。
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追記
不祥事が続くスシロー、その後代表の栫井が解説動画をアップしました。
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