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着る空間 (家シリーズ) / SP花園

家は「一生でいちばん大きな買い物」といいますが、建築士やっててよかったなー!と心底思ったのが、自分の家を建てた時でした。
だって、家は「自分で作れる最高に贅沢な工作」だったから。
1000万以上もかけて、作りたいものを町中に公然と作れるわけで。

まあ、愛子さんが書いていたように、仕事そのものはなかなか大変なので、
自分の家作りは”究極のご褒美”みたいなものかも💛
もちろん設計料はタダだし、妙なお得感もあります^^;

30代の私は、ユニークなお施主さんと才覚ある職人さんに恵まれて、いろんな建築を作ることができました。かたちも素材も作り方も色々実験できて、かなり熱中してたなあ。
40代になって自分の家を建ててみると、毎日をリゾート気分🍹で過ごしたくて、興味が「インテリア」に移りました。
家の中を公園化したり、オーガンジーで部屋のあちこちを仕切って空間を着せ替えたり。それはそれは楽しかったのですが、何かに熱中すると他がどうでもよくなるタチで、”自分自身”がずーっとほったらかしでした。
服は好きな色と素材なら何でもOK! 化粧は3分でOK! ヘアスタイルはずーーっと同じ形をキープ。

ところが。50代に入り、急にターゲットが自分へ向かったのです。
インテリアをあれこれするのに飽きた・・という理由が有力ですが、やはり加齢による外見や体力の衰えは顕著で、
『ここでもうひと踏ん張りしないと人生後半を謳歌できない! 自分に対して”現役”でいなければ!』と誓います。

すると。不思議なことに、興味が「服」へと移ったのです。
自分の究極の居心地を作るのは「服」だと。見た目と着心地の両方で。
思い付きで動ける私は、すぐに手芸屋さんで触り心地のよい生地を1mだけ買って、型紙もつくらず適当に裁断して組み立ててみます。
縫い合わせる、というべきなのでしょうが、私にとってそれは工作でした。
そうして出来上がった服は居心地よく、見た目もイイ感じ💙
嬉しくなってfacebookにアップしたんです。
そしたら、いつもファッションが素敵な知人女性から『買いたいです』という(想定外の)コメントが😲

その時、自分事だった「服」を、初めて外側から見ることができたんです。
『よし、これからは服を作ろう!! 人にいちばん近い空間は服じゃろ!
ここに着地するために建築から始めたんかなー?遠回りしたなー私😭』
・・みたいなことを独りごちます。

その後2年かかりましたが、とうとう今月、オリジナルブランドとしてリリースします! ブランド名は「T-PEACE」
(*縦のワンピースと横のスリーブを着合わせると、T型のシルエットになることから)
デザインルールは「着物のように直線的な構成とし、できるだけ生地を使い切る」。それでも余る端切れは「Re-PEACE」という名で、ストールやマスクに仕立てます。

量産はせず、受注後一着一着仕立てていくつもりです。
見ていただくと一目瞭然なのですが、ホームページ上のモデルはツバメルーフのスタッフ(+家族)総動員⚡

ちなみに「T-PEACE」のロゴは、愛子さんによるデザイン🖋
建築的だし愛嬌もあって気に入っています💘

振り返れば【建築】⇒【インテリア】⇒【服】へと、どんどん自分の好きな空間が最小化されていきました。
でも、スタートが建築でよかったなー!としみじみ思います。
若い頃はエネルギーもあったし、現場で時間を掛けてたくさんの人と建築を作り上げる工程が楽しかったけど、今は、思い付いたらすぐ自分の手で作り出せる「服」がパフォーマンス的にも合ってる感じです。

さて。建築士が服作りにシフトチェンジしたらどうなるのか?!
またいつか、ここでユニークな報告ができますように☆彡


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