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平野伸明「コハクチョウ」その1

秋が深まり、寒さが日に日に増してくる頃、日本では北から渡ってきたコハクチョウの姿が見られるようになります。

このコハクチョウたちは、春になると繁殖地のロシアへと帰っていきます。ロシアではどのような生活をしているのでしょう。

1995年に福音館書店より出版された「おおきなポケット11月号(44号)」に、そんな疑問を解くために平野伸明がロシアのツンドラで取材をした時の記事が掲載されていますので、数回にわけてご紹介いたします。

雑誌掲載時のままのテキストですので、小学生でも読める文体になっています。どうぞお楽しみください。

コハクチョウ(平野伸明)

コハクチョウは、秋から冬のあいだ日本ですごし、春になると、ロシアの北のはて、ツンドラに返ってゆくわたり鳥です。

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▲5月17日早朝 ロシア・マガダン上空を北へ

ぼくは、真っ白な羽毛をまとったコハクチョウがだいすきです。

でも、日本で、コハクチョウのすがたをみることができるのは、秋から春のはじめにかぎられています。

ある日、ぼくは、コハクチョウの背中にのって、ロシアのツンドラまでとんでいく夢をみました。とてもすてきな夢でした。

そして、いつかコハクチョウをおって、コハクチョウのふるさと、ツンドラまでいってみようとおもいました。

さっそく、ぼくは、たびの計画をたて、じゅんびにかかりました。

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▲4月20日 稚内大沼

春のまだあさい日のことでした。

日本のあちこちの沼や湖にきていたコハクチョウたちが、北海道のほうをめざして、いっせいにとびはじめました。

4月20日、ぼくは、日本の一番北にある、北海道の宗谷岬に向かいました。

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▲4月20日 クッチャロ湖

ちかくの、稚内大沼とクッチャロ湖には、北へたびだつコハクチョウたちが、あつまっていました。

それは、なんともいえないすごい数でした。

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写真・文・平野伸明

※「コハクチョウ」のコーナーは、1995年に福音館書店より出版された「おおきなポケット11月号(44号)」をWeb用に再編集したものです

平野 伸明(ひらの・のぶあき)
映像作家。1959年東京生まれ。幼い頃から自然に親しみ、やがて動物カメラマンを志す。23才で動物雑誌「アニマ」で写真家としてデビュー。その後、アフリカやロシア、東南アジアなど世界各地を巡る。38才の頃、動画の撮影を始め、自然映像制作プロダクション「つばめプロ」を主宰。テレビの自然番組や官公庁の自然関係の展示映像などを手がける。

主な著書に「小鳥のくる水場」「優しき猛禽 チョウゲンボウ」(平凡社)、「野鳥記」「手おけのふくろう」「スズメのくらし」(福音館書店)、「身近な鳥の図鑑」(ポプラ社)他。映像ではNHK「ダーウィンが来た!」「ワイルドライフ」「さわやか自然百景」や、環境省森吉山野生鳥獣センター、群馬県ぐんま昆虫の森、秋田県大潟村博物館など各館展示映像、他多数。
→これまでつばめプロが携わった作品についてはこちらをどうぞ。

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