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【美術館訪問】東京国立近代美術館(TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション)

竹橋にある東京国立近代美術館で開催されている「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアートコレクション」に行ってきた。

上記3つの都市に存在する美術館に所蔵されているアートのうち、同じテーマで描かれているものを比較して鑑賞してみようというコンセプトの展示であった。

自分が一番印象に残った作品は、絵画ではなく動画の作品である「Marathon Life(Julien Discrit作)」である。一人の青年が、ジョギングをしながら生まれてから死ぬまでの彼の人生の物語を語るという作品である。

映像自体はずっと、夜中にジョギングしている青年の横顔を映し出している。そして、その青年は走りながら彼の少年時代、青年時代、老年時代の思い出を語るのである。

学生時代は、こんな職業に就くためにこういった勉強をしている、気になる女の子がいるといった青春らしい話が語られ、しばらくすると彼の社会人生活の話に移り、仕事の話、結婚・子育ての話へと移り、今後の結婚生活や子育てへの希望が語れる。その後は、離婚し、子供たちとも疎遠になる。中年になり孤独を感じ、老後への不安も出てくる。再婚はするが、元妻が亡くなり、自分にも死が近づいているのを感じる。それでも「自分は走り続けるんだ」と老衰に抗う。そして最後は「もう喋れない」という言葉とともに、走るのをやめるところで作品は終了する。

人生は走り続けることなんだなというメッセージを自分は受け取った。嬉しいこと、哀しいこと、悩み、孤独、愛情、希望など様々な出来事、感情が次から次に自分に直面してくるが、それでもただ走り続けること、それが人生なのだという気がした。人生は走り続けること、そしてそれはいずれ終了する。それはどんな人生を歩んできた物にとっても平等に訪れる始まりと終わりである。

どんな人生でも大小様々な喜びと悲しみがあるが、「走る」ことを心から味わい尽くそう、そう感じさせてくれる作品であった。

上記の日記内の作品とは関係ないが本展示で個人的に気に入った絵画

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