いま、”地べた”で起きていること　〜今日からできる政治参加のきっかけ探しの話〜

ごきげんよう、海石榴（つばき）です。
最近は、「桜田門の方から来ました、”交渉人”真下正義です」と自己紹介しています。え？どなたですか、「水道局を騙る訪問営業みたいな口上ですね」なんておっしゃるのは。

今日は、”地べた”から見た政治のしくみを解説しつつ、今日からできる政治参加のきっかけ探しについてお話します。

「社会保険料は高くても仕方ない」、訳ないですよね

---フジテレビ系列『踊る大捜査線』シリーズの登場人物「真下正義」さんですね。海石榴さんは、ユースケ・サンタマリアさん演じる"警視庁のキャリア官僚"というよりは、"ただの専業主婦"だったのでは？
1990年台後半、一世を風靡した『踊る大捜査線』の撮影には、たくさんのファンボランティアが動員されたそうです。「友達が出てるんだ」と聞けば、当然視聴率も上がりますよね。今、永田町の裏側では、当時を彷彿とさせる歴史的な展開が繰り広げられています。ぜひ、これを読んでいる皆さんにも、わたしと一緒に参加して頂けませんか、とお願いに参りました。

---急にボランティア参加を！と言われましても、世間のほとんどの人は、仕事に家事に勉強に忙しいと思うのですが…
分かります！まず、政治に参加する動機がないですよね。じゃあ、今の生活で困っていることとか、不満に思っていることはないですか。

---う、うーん。・・・長い休みが取れないこととか？
も、もうちょっと大きい悩みとか不満を期待していたんですけど（笑）。２０〜３０代の方に「最近買った高い買い物」を聞くと、あまりの倹しさにわたしは暗澹たる気持ちになりますけどね（もっと高い買い物をしろ！と言いたいのではなく、若い方の手取りの少なさを嘆いています）。月々のお給料に天引きされている社会保険料分が増えたら、何か欲しいものはありますか？

---そ、そう言われると・・・。
「日本の高齢者福祉は手厚いらしいから、社会保険料は高くても仕方ないかな」と漠然と考えている若い方の多さに驚きます。それから、
「正社員のように長時間働くのは無理だから、ハケンがいいんです」
「好きなことを仕事にしているから、安いお給料は自己責任」
などとおっしゃる方もいます。これら全部、肚の底から「違いますよ！」と全否定したいですね。

---じゃあ、どうすればいいんですか！！
あなたが心から信頼できそうで、あなたのお給料を確実に守ったり増やしてくれそうな政治家を探しに行きませんか。

アーキテクチャで政治を捉える

現実の政治経済を理解するのは、本当に大変なことです。４年間ほど政治の現場を見聞きしてきて、IT業界で言うOSI参照モデル(*1)と似ていることに気づきました。

---OSI参照モデル？
ふだん、わたしたちが「政治」だと思っているもの（例えば、選挙結果、内閣支持率や政治家が配るチラシ）は、大きな政治システムの表層に現れるものにすぎません。つまり、アプリケーション層です。「舌先三寸」で「舌の根も乾かぬうちに」発言内容を変える政治家がいたら、「その下の構造に変化があったんだな」と推測してみてください。

その下には、政党や組織化された業界団体や各種利益団体の利害があります。ときどき、○○会や○○組合が政治的立場を表明することがありますよね。「まとまった組織票のありかを示すプレゼンテーション層」です。

---まだ下があるんですか？
その下には、「人同士のおつながり」があります（ざっくりとネットワーク層、*2）。実際の経済活動を支える各種事業所や商店街、各種許認可を請け負う自治体や、水道や電気といったインフラ層があり、一番下の物理層は、不動産オーナー、つまり「地主」になるのでしょうか(*3)。

「政治力がある政治家」は、どれだけ地に足がついているか（実体経済が伴うか）と、どれだけ票を集める力があるか、で決まります。政治家が配るチラシや政策提言を見ながら、OSI参照モデルのどの層からどのくらい支持を受けているのかを考えてみるといいかもしれません(*4)。

そろそろ"無党派"はやめませんか

---あんまり実体経済と政治の関わりを考えたことがありませんでした。
世間の皆さん、口を揃えてそうおっしゃいますね。
ただ、すでに一番下の物理層で地殻変動が起きています。危機を煽りたいわけではありませんが、一度、自分のお給料の原資は何かを考えてみることをお勧めします。「公務員ではないが、原資は公的財源である」方は、とても危険です(*5)。

---どきり。
よく”利権政治”などと揶揄されますが、「利益誘導ではない政治はない」とわたしは考えていいます。「会社や団体に所属して毎月お給料をもらっていること」など、あなたがすでに手にしている”利権”だってあるのです。それをできるだけ柔軟に守ってくれそうな政治家を探してください。

もし、ご自身にリスクを取れる余裕があったら、将来の”メシの種”を蒔いて育てていきませんか。うまくいかない場合に備えて、セーフティネットのあり方を一生懸命考えている人たちもいます。信頼できる情報は、タダではないこともどうかお忘れなく（これはボランティアで働くわたしからの切実なお願いです）。

---信頼できそうな政治家を見つけたら？
SNS上のいいね！やシェアで共感を表現してみてください。自分なりの意見を書き込んでもいいですよね。え？恥ずかしい？心配は無用です。そのうち「推しが尊すぎて」「先月も○○に課金しちゃって(*6)」「へ〜そうなんだ〜」程度の話題になるはずです。

---ほかには？
富裕層に属する一定の年齢以上の方には、勇退をお勧めしています。
多くの資産を持つご高齢の方が「もうお金儲けする必要はないから、知り合いの仕事を安く請けているんだ」などと宣うことは、若年層の就労機会を減らし、子供を産み育てる余裕を無くすことに直結します。ご自身に自覚がないことが多いのですが、れっきとした社会悪と言ってもいいでしょう。もう十分働いて凝られたのですから、これからは楽しく遊んだり、後進を育てていくことで社会に貢献されるのはいかがでしょうか。若い世代の新しい挑戦を受け入れる余裕を持つことが、その地位に相応しい資質だと思います(*7)。

---意思決定層に言いたいことは？
氷河期世代に子供を持たない人が（それ以前の世代に比べて）多いこと、つまり、日本に第三次ベビーブームがついぞ生まれなかったこと(*8)は、間違いなく為政者に責任があります。少子化の原因に手を付けなかった失政を潔く認め、すみやかに引退すべきでしょう。

---海石榴さんが考える「少子化の原因」とは？
また、次の機会にお話しします。

(*1) 現実のOSI参照モデルの説明は、その道の専門家の方にお任せします。
(*2) これまで永田蝶を支えてきた宗教団体やマルチまがい商法にメスが入っていることは、周知の通りですね。
(*3) 政治家の三種の神器”地盤・看板・カバン”の「地盤」に相当する部分ですね。警察をはじめとする「お上」にも「ヤクザ」にも”縄張り意識”という行政機関の本質を見出すことができます。
(*4) 戦後のGHQが手がけた財閥解体と農地改革で、旧皇族・華族といった地主層は大きな打撃を受けました。「”生まれ”による差をなくそうとする」力学は、時代が下るにつれ、「ネットワーク頼り」の政治、さらには「地に足のつかない」政治になった結果、一部の業界団体の利益誘導が目立つ政治構造になったのではないでしょうか。あくまでも現場の印象論なので、専門家のご意見をお伺いしたいです。
(*5) 税による再分配に頼るのではなく、誰かのお給料が増えることで、自分にも返ってくる循環を増やしたい。労働市場改革についても書いていきたいと思います。
(*6) 高額なオタク趣味、各種レジャー施設を含む旅行、子どもの進学塾などは「社会に有意義な無駄を生むコンテンツ」という点において等価値であると考えています。
(*7) 何の実績も持たないフリーランスによる飛び込み営業の勝率を嘆いています。”失敗を認めない”というよりは、”失敗さえさせてくれない”組織は、遅かれ早かれ衰退するでしょう。
(*8) 厚生労働省「令和2年版　厚生労働白書－令和時代の社会保障と働き方を考える－」より　図表1-1-7　出生数、合計特殊出生率の推移　https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-07.html