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『ぼくのメジャースプーン』辻村美月 感想

🔴サンデル先生の『白熱教室』、ドストエフスキーの『罪と罰』と同レベルで頭を使う、すごい児童文学小説を読みました。

『ぼくのメジャースプーン』辻村美月
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動物を虐待し、少女の心を破壊した犯人は、
「器物破損」という軽い罪で片付けられ、刑務所に入ることもなく、のうのうと生きていた。
そんな中、「言葉を現実化させる」特殊な超能力を持つ主人公の少年は、いかにして犯人を反省させ、二度と同じ罪を起こさせないため何をすべきか、熟考を重ねる。果たして彼の出した結論とは–⁉️ …という物語。

『かがみの孤城』(本屋大賞を受賞しています)を読んだ時、
辻村美月さんは何て素晴らしい作家さんなのだろうと感嘆しましたが、こんなドストエフスキーのような小説も書けるのか!と、さらに尊敬しました。

罪と罰、死刑の是非、動物虐待について考えさせられました。
主人公は小学4年生ですが、答えのない問題について考えさせ、議論を生むであろうこの小説は、私の高校時代の倫理の授業を思い出させます。

また、数十年前に受けた試験で、英語で論文を書いた時、
「小さな命を傷つける者は、大きな命も守れない。動物を虐待する者は、人間も傷つけるだろう」
と結論に書いたことを、今でもよく覚えています。
根拠もなく、自分の信念を言葉にしただけの文ですが、この私の考えを念頭に入れてもう一度この小説を読むと、犯人は…

・・・と書き始めると止まらなくなってネタバレするので、
今日はこの辺にしますが、意欲的な小説で、ドストエフスキーが好きな人には是非お薦めしたいです。

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